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エロゲ世界の悪役公爵子息に転生したけど、聖女を救うと世界が滅ぶらしい  作者: 海鳴雫


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第79話 隔離

 森の上空に、結界が降りた。


 透明な圧が、半球状に広がる。


 外からも内からも、遮断。


「観測対象α、拘束準備」


 制圧班の声が重なる。


 封鎖は完了している。


 逃走経路はない。


 レオナールは空を見上げる。


 静かすぎる。


 歪みがない。


 揺らぎもない。


 世界が息を止めている。


 黒装束の女が、彼の前に立つ。


「強制隔離よ」


「分かってる」


 制圧班が包囲を狭める。


「対象、抵抗すれば封印処置に移行」


 敵意ではない。


 排除でもない。


 管理。


 女が一歩前へ出る。


「あなた達は分かっていない」


「理解はしている。

 だが放置はできない」


 緊張が走る。


 女の指先が、結界の縁を乱す。


 制圧班が即応。


 魔力が衝突する。


 小規模戦闘。


 だがレオナールは動かない。


 同調すれば、均衡が傾く。


 侵食が進む。


 使えば近づく。


 空間が、軋む。


 歪みは発生していない。


 それでも、圧が一点へ集まる。


 胸の奥が応じる。


 世界が決めようとしている。


 固定点を。


「……来るわ」


 女の声が低く落ちる。


 制圧班の結界が最大出力に入る。


 だが、意味がない。


 上位構造の圧が、空間を支配する。


 言葉ではない。


 ただの確定。


 ――固定する。


 空がわずかに裂ける。


 光ではない。


 概念の裂け目。


 レオナールは理解する。


 今、決めなければ。


 強制的に核にされる。


 選択の余地なく。


 女が振り返る。


「核になる気?」


 初めて、恐れが混じる。


 制圧班も息を呑む。


 レオナールは、静かに目を閉じる。


 溶ければ楽だ。


 だがそれではない。


 固定する。


 他を削らせないために。


 自分が一点になる。


「……俺が決める」


 目を開く。


 瞳が深く染まる。


 世界の圧を受け入れる。


 拒まない。


 逃げない。


 女が叫ぶ。


「やめなさい!」


 だが、止まらない。


 身体の輪郭が、揺らぐ。


 魔力ではない。


 存在そのものが薄れる。


 制圧班の結界が弾ける。


 森が静止する。


 空間が一点に収束する。


 レオナールの身体が、光ではなく“静寂”に溶ける。


 崩壊ではない。


 消失。


 痕跡すら残さず。


 最後に残ったのは、深い色の瞳だけ。


 それも、ゆっくりと閉じる。


 圧が消える。


 結界が崩れる。


 森は、完全な静穏に包まれる。


 歪みは発生しない。


 選別は止まる。


 固定は完了した。


 女が、その場に立ち尽くす。


 拳を握りしめたまま。


 選別は終わった。


 そして。


 一点が、世界に刻まれた。

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