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エロゲ世界の悪役公爵子息に転生したけど、聖女を救うと世界が滅ぶらしい  作者: 海鳴雫


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第51話 選ばされる瞬間

 会議室の空気は、静かに張りつめていた。


「明朝、レオナール・フォン・グラントヴァルを呼ぶ」


 教員の一人が、そう告げる。


「個別面談という形でだ。

 詰問はしない。

 あくまで確認だ」


「それで十分だ」


 誰も反対しなかった。


 疑いは、仮置きの段階を超えている。


 だが、まだ断定はしない。


 だからこそ、直接話を聞く。


 それが、学園の結論だった。


 夜。


 レオナール・フォン・グラントヴァルは、机に手をついたまま動かなかった。


 胸の奥が、暴れている。


 これまでの“反応”とは次元が違う。


 圧縮。

 膨張。

 破裂寸前。


「……臨界か」


 遠隔観測用の結界札が、淡く光る。


 像が、はっきりと結ぶ。


 北西。

 街道沿い。

 内部圧、限界値。


 抑えれば、爆発する。

 封じれば、連鎖する。


 沈められるのは、自分だけだ。


 同時刻。


 廊下を、足音が進む。


 教員だ。


 レオナールの寮室へ向かっている。


 呼び出しが、来る。


 だが――

 それより早く、異変が来た。


 胸の奥が、焼ける。


「条件①」


 被害拡大の兆候。


「条件②」


 英雄不在。


「条件③」


 自分以外では止められない。


 すべて、成立。


 扉の向こう。


 エリシアが、こちらを見ていた。


 言葉はいらない。


 視線だけで、十分だった。


「行く」


 レオナールは、そう口の形で伝える。


 エリシアは、一瞬だけ目を閉じ、

 そして、頷いた。


 止めない。


 取り決め通りだ。


 レオナールは、机の引き出しから結界札を取り、指で弾く。


 視認阻害。


 気配遮断。


 静かに、動く。


 正規ルートは使わない。


 物資搬入口。

 点検用通路。

 外壁沿いの細道。


 足音を殺し、境界を越える。


 冷たい夜気が、肌に触れた。


 ――出た。


 学園の外。


 背後で、足音。


「レオナール?」


 教員の声。


 だが、もう遅い。


 彼は、闇の中へ溶けていた。


 北西へ走る。


 歪みの位置は、はっきりしている。


 間に合う。


 学園。


 レオナールの部屋の前で、教員が立ち止まる。


 扉をノック。


「レオナール、少しいいか」


 返事はない。


 扉を開ける。


 誰もいない。


 静かな部屋。


 ベッドは整っている。


 窓が、わずかに開いている。


「……いない」


 その一言で、空気が変わる。


 呼び出される前に、

 彼は消えていた。


 そして――

 もう、戻れない側へ踏み出していた。

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