表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エロゲ世界の悪役公爵子息に転生したけど、聖女を救うと世界が滅ぶらしい  作者: 海鳴雫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/56

第49話 疑いの矢印

 会議室の空気は、重かった。


 結界図と数値ログが、壁一面に投影されている。


「北西の件だが……」


 一人の教員が、低い声で切り出す。


「自然収束にしては、整いすぎている」


「同意だ。

 歪みが“削られている”」


 別の教員が続ける。


「外部勢力の可能性は?」


「痕跡がない。

 侵入経路も確認されていない」


 沈黙。


 結論は、ひとつ。


「学園内部だな」


 誰かが、そう言った。


 画面が切り替わる。


 管理対象生徒一覧。


 体調不良報告。

 魔力変動ログ。

 最近の行動履歴。


 項目が、次々に重ねられていく。


「条件に合致する生徒は……数名」


 その中に、レオナール・フォン・グラントヴァルの名があった。


「可能性の一つだ」


「断定はできない」


「だが、外す理由もない」


 意見は割れる。


 疑いは、まだ仮置き。


 だが、矢印は引かれた。


 同じ頃。


 学園内の巡回が増えていた。


 廊下の角。

 訓練場の出入口。

 寮の通路。


 以前より、人の目が多い。


 レオナールは、歩きながら気づく。


 視線の質が、変わった。


 好奇でも、無関心でもない。


 観測。


 エリシアも、感じていた。


 教員に呼ばれる頻度が、増えている。


「最近の体調は?」


「変化はないか?」


 形式的な質問。


 だが、回数が多い。


 放課後。


 人気のない回廊で、エリシアが小さく言う。


「……近い」


 レオナールは、頷いた。


「分かってる」


 否定もしない。

 驚きもしない。


 想定内だ。


 自由度は、さらに下がる。


 単独行動は、ほぼ不可能。


 それでも、準備は止めない。


 抜け道の再確認。

 視認阻害札の調整。

 魔力制御の微修正。


 静かに。


 その夜。


 胸の奥が、また反応した。


 弱い。

 だが、確実。


「……次が来る」


 小さく呟く。


 エリシアにだけ、短く伝える。


「兆候がある」


 彼女は、迷わず答える。


「……分かった」


 多くは聞かない。


 聞けない。


 二人とも、理解している。


 時間がない。


 矢印は、もう消えない。


 残っているのは、

 いつ向き先が確定するかだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ