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凡人でもできる現代ファンタジー攻略法  作者: 夜鐘
第二章 スケルトンダンジョン攻略 後編

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スケルトンダンジョン:感想戦2


 これまでダンジョンの攻略~ボス戦までの振り返りを行っていたが、実はダンジョン帰還後に起きた異(・)変(・)がある。



 スケルトンダンジョンの攻略報酬として、宝箱から入手した【ダンジョン踏破の証】、例の骨製トロフィーについてだ。



 特に効果があるアイテムでもなさそうなので、ただの記念品だと思って自宅の観葉植物の隣に飾っていたのだが...



 これが動くのだ。



 正確には、骨の手に支えられた頭蓋骨の部分が常にある方向を向くようになっている。


 頭蓋骨の正面、その空の瞳で見つめる先は例の工事現場。スケルトンダンジョンのゲートがある場所だ。

 単に、元になったダンジョンの方向を向いているだけかもしれないが、何故だか気になる。



 アイテムの説明文には、『飾るも誇示するも自由』と書いてあった。



 『飾る』とダンジョンの方向を向く、では『誇示する』と一体どうなる?一体誰を相手に誇示する?


 ここ最近気になっていた。

 怪我は治った、コンディションも悪くない。

 

 ならば現地で確かめるしかあるまい。



***********



 スケルトンダンジョンにやってきました。

 すでに攻略を終えたと考えると感慨深い。


 家から持ってきた【ダンジョン踏破の証】をインベントリから取り出す。

 頭蓋骨が下方向を向く。


 とりあえず、この不気味なトロフィーが示す場所まで向かうとしよう。

 ・・・なんだかダウジングみたいだ。



 

 階層を降りることしばらく、ついに五層目だ。

 

 放射状に広がる通路に続く中央の部屋まで来ると、下を向いていた頭蓋骨が、ある方向を向いた。



 その先にあるのは...最奥に弓スケルトンがいる通路だ。



*********



 トロフィーを小脇に抱えながら、通路のそばまで進む。


 ここまで来た時点で、いつもなら矢が飛んでくる頃合いだが、その気配がない。

 それどころか、最奥にいるスケルトンは弓を構えてすらいない。

 ・・・【ダンジョン踏破の証】の効果か?


 

 攻撃してくる気配はないが、慎重に進む。



 通路の半分ほどまで進むと、弓スケルトンがカタカタとこちらに進みだした。

 いままでの五層目のスケルトン達は無機質な反応で、その場から動くこともなかったのに。



 相手の顔が見える距離まで近づく。

 スケルトンに表情などないはずだが、今までのスケルトンと違って何か目の奥に意思を感じる。

 すでに弓を構えるには近すぎる距離だが、相手の反応が想定外なだけに緊張する。



 ふと、スケルトンの手から弓がこぼれた。



 落とした武器を気にもせず、カタカタと骨を鳴らしながらこちらに向かってきた。

 思わず身構える。普通なら安全を考えて、すぐに倒すべきだ。


 だが武器も持たず、普通ではない様子のスケルトン相手にそんな気にはなれなかった。

 

 様子を伺うと、こちらに進むにつれてスケルトンの体が塵になっていっていることに気が付いた。



 思わず駆け寄る。

 すぐそばまで寄ると、スケルトンの視線が手に持った【ダンジョン踏破の証】に向けられていることに気が付いた。



 これは文字通り「ダンジョンを踏破した証」であり、同時に「ボスを倒した証拠」でもある。

 一瞬、ダンジョンボスを倒されたことへの復讐かと身構える。


 

 だが、そんなこちら様子など気にもせず、【ダンジョン踏破の証】を持つ私の手を、その骨だけの指で包み込んだ。


 ・・・・・・


 ・・・


 私の手を握ったままスケルトンが何度も何度も手を揺する。

 その身が塵になっていくことを気にもせずに、何度もひたすらに。


 ついに、スケルトンの腕がすべて塵に還った。残されたのはわずかな胴体と頭蓋骨だけ。

 最後の最後に、今まで動くことがなかった、スケルトンの顎が動いた。



 何かを言ったのだろう、音は聞こえなかった。


 だが、【翻訳の指輪】をつけた私には、はっきりと伝わった。




 「ありがとう」と。



 ・・・・・・

 

 ・・・


 あぁ...そうか。今になってやっとわかった。

 私が倒した、この「スケルトンダンジョンのボ(・)ス(・)」は。

 彼らの『コミュニティのト(・)ッ(・)プ(・)』は、彼らにとって仇(・)だったんだ。



 長い間迫害されてきた弓氏族。

 コミュニティの暗部に追いやられ、死んでも墓地に埋葬されることすら叶わなかった彼ら。



 やっと理解した。


 スケルトンダンジョンの攻略。ボスの討伐。

 

 これらを通して、私は、彼らに代わって...

 いや、彼らを『代表』して剣・槍・魔法氏族を、このコミュニティを打ち倒したんだ。




***********




 ・・・思えば、ボスを倒した弓も、聖なる鏃も、彼ら「弓氏族」からのドロップだった。

 少しでも恩を返せただろうか。



 感謝とともに、彼らの冥福を祈りたい。

 今だけは純粋な気持ちで。

 


  


 塵になったスケルトンの足元に何かが落ちているのに気が付いた。


 

 【隠された■■■の鍵】


 「■■■■■■の弓」の資格を受け継いだ証




 どうやら、この物語はまだ終わっていないようだ。

 

 


__________


 スケルトンダンジョン攻略編 終了


 長い間お読み頂きありがとうございました!

 感想なども頂けると幸いです。

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