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エピローグ
「また描いているのか」
ガサガサッと茂みから栗色の短髪の少年が出てきた。
周りは森のようで、サラサラと風に揺れる木の葉の音が聞こえた。
少し先には川も流れている水音も聞こえてきた。
木漏れ日の中、木にもたれて何かを書いている黒髪の少年がいた。
短髪の少年は、描いているノートの中を覗き込んだ。
「ふぅん、そいつなら持ってるよ」
短髪の少年がポケットからカードのようなものを出した。
「あ、それ。もう一回見せて」
「雪輪兎だろ」
「分かるものは全部、描いておきたいんだ」
「ふぅん。なんで?」
「うん、未来の人たちに残しておきたくて」
「そっか。あ、五家の集まりがあるから準備しろって探してたぞ」
「一緒に行くよ」
黒髪の少年は、ノートを閉じて立ち上がった。
ノートの表紙に書いてあった文字はこうだった。
“守紋金襴簿”




