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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
終焉: The demise of a World 【第六章】

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終焉

 フォン――


 部屋中の電子機器が一瞬光った。


 フッ――


 同時に全てが真っ暗になり止まった。


 床に倒された少年も同じだった。


 (りん)国王の聖剣からは、光が消えた。


 バラ……バラバラッ……


 周囲全体から、崩れる音が聞こえてきた。


「危ない!自動消滅機能が動き出した。ここを出よう」


 6人は急いで建物の外に出た。

 見渡す限り、大陸全体の機械が粉々に砕けていくのが見えた。


 (ゆう)(すず)守紋(しゅもん)の虎に乗り、空へと飛び上がった。

 (たまき)はゼンと守紋の蝶の群れに乗り、空へと飛び上がった。

 (りん)国王と志々度(ししど)総隊長は、守紋の鹿に乗り、空へと飛び上がった。


 黙ったまま、

 ガラガラと崩れ、

 消えゆく機械と大量にあったミサイルの姿を

 空中から見下ろしていた。


「アナログがデジタルかどちらかなんて選べない……。だって、鳥も……右と左の両方の翼があってこそ、飛べるから」


 悠が同意を求めるでもなく

 アカツキノ大陸と遠いツクヨミノ大陸を見つめながら言った。


 ほどなくして、静かになり、機械の姿が消えた。

 白く色彩がない人工物が消え、

 その下に眠るむき出しの建物などの跡が出てきた。

 そして、大陸には、徐々にうっすらと色彩が現れてきた。


 6人はゆっくりと地上に降りて行った。

 そこは、まるで遺跡の跡のように

 ほとんどが土と瓦礫(がれき)だった。

 空気は前よりも清らかに感じた。


「まるで、遺跡みたいだな」

 ゼンが風化したような景色を眺めながら言った。


「もう、何十年も何百年も人が住まなくなった文明跡みたいですね」

 環も続けて言った。


「しかし、先ほどよりは、宇宇国(ううこく)の王宮がここに(なら)って作られたというのがよく分かる」

 倫国王が、崩れた建物跡などの配置を眺めながら言った。


「そうですね。ちょうどあの辺りが王宮の中心部ですね」

 志々度総隊長が、前を指差しながら言った。


「アカツキノ王族のことが何か分かるかもしれない」

 倫国王は、志々度総隊長が指差す方へと歩いて行った。

 5人も後をついて行った。


 崩れた王宮に行くと、地上は瓦礫ばかりだった。

 倫国王は迷わず向かっていった場所があった。

 下を見ながら歩き、ある場所で立ち止った。

 そして、上を見上げ、再び足元を見た。


「ここは……」

 志々度総隊長が、声をかけた。

「そうだ。王宮の間の裏の真下だ。同じ間取りなら、ここには王だけの知る隠し通路と部屋がある」

 倫国王が、下の土を掘り始めた。

 5人も黙って手伝った。

「あ、ここから硬いですね」

 悠が言ったように数センチほど、掘ったところで硬い何かが出てきた。

 鉄のような扉が出てきた。

「鹿と太陽……」

 倫国王が呟いた。

 扉には、王族の紋様が彫られていた。

 しかし、扉はとても重く開けることは難しそうだった。

「私が試してみよう」

 ゼンが剣を抜くと、剣に刻まれた火炎宝珠(かえんほうじゅ)から炎が上がった。

 そして、火で包まれた剣で扉を切ってみたが、傷一つ付かなかった。


「もしかして――」

 倫国王が胸のポケットに手を入れた。

 そして、一枚の守紋符(しゅもんふ)を出した。

 萩鹿(しゅうろく)の守紋符だった。

「宇宇国の王位継承の守紋(しゅもん)。これならどうだろう」

 倫国王が、扉の紋様のところに、

 萩鹿(しゅうろく)の守紋符とともに手を当ててみた。


 ガタンッ……。


 ゆっくりと扉がスライドし、階段が見えた。

 倫国王を先頭に、6人はゆっくりと階段を降りて行った。

 一歩進むごとに、壁の明かりが灯り、

 部屋全体が見える明るさになっていった。


「ぅわぁ……」

 悠と環はあまりの美しさに思わず声が出た。


 大きく広がる空間には、

 数々の美術品や書物、剣などありとあらゆる物が置かれてあった。


「これ、全部、本物……」

「名前のない店でも見なかったものがたくさんある」

 悠と環は、一つ一つ眺めていった。


「すごいな。医学書や器具まである」

 ゼンも驚きながら見ていった。


「宝剣も武具も残されているなんて」

 志々度総隊長もじっくり観察していた。


「文化や芸術、技術を継続して残していくのは時間も労力もかかる。これだけ残っているということは、国が安定していたのかもしれない。争いで壊すのは一瞬だからな」

 倫国王が彫刻や壺に手を触れながら言った。


「シガさんも同じようなことを言っていました」

 環が言った。


「文化や芸術が花開くのは、国が安定している時期が多いんだ」

 倫国王が続けて言った。


「なんだこれは?」

 鈴が、興味を示したものに倫国王が答えた。

「あぁ、これはレコードだ」

 そして、ゼンマイを巻いて、ヘッドを回るレコード盤の上に置いた。


 部屋中に音楽が満ちていった。


「あ……シガさんが歌ってたのと同じ」

 悠がそういうと、志々度総隊長も懐かしそうに耳をすました。

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