示される答え
少年の動きも一瞬止まった。
「これが聖剣か。『四瑞の出現は平和な世へ導く聖王の現れる前触れ』とな。私が聖王となろう」
少年が右手を伸ばした。
「お前に渡しはしない」
倫国王が力を込め柄を握り振りかぶった。
聖剣を振り下ろす軌道上で、少年が光を放つ聖剣を掴んだ。
青、赤、黄、黒の色の光がさらに大きく放たれ、
龍、鳳凰、麒麟、亀の姿が見えた。
そのまま、少年の手を切り裂きながら聖剣は振り下ろされた。
切り裂かれた半分の手が、ボトリと床に落ちた。
「この体が切れるのか」
少年は一歩下がり、切られた右手を確認するように顔の前に持ってきた。
倫国王は止まることなく
そのまま聖剣を少年の腹部へと突き刺した。
聖剣から放たれる青、赤、黄、黒の色の光が
龍、鳳凰、麒麟、亀の姿と共に
少年の体を覆っていった。
バチバチッと小さな電子音が聞こえ、少年の動きが止まった。
それを確かめてから、倫国王はゆっくりと聖剣を抜いた。
ドンッ――
ずっしりと重さが伝わってるほどの音と共に
少年はうつぶせに倒れた。
すぐさま、ゼンが足元を、志々度総隊長が頭の方を押さえた。
倫国王がしゃがみ込み、少年の首元を確かめようとした。
それを見た環が、少年のもとへ行こうとした。
――!
肩を掴まれた環が後ろを振り返った。
悠は無意識に環の肩を掴んでいた。
「悠?」
なぜ、行くのを止めるんだ?という表情で環が振り向いた。
「……簡単すぎる」
悠のその言葉に、環は少年のもとに行くのを躊躇した。
悠は、どこかわざと少年がチップを受け入れようとしているようにも思えた。
――ジェノコードの本体が少年じゃないとしたら!?
――チップを奪うために、僕たちにそう思わせているとしたら!?
悠はハッとして部屋の中を見回した。
ジェノコードもコードノヴァも全てが生まれたこの場所。
高祖父はきっとここに手がかりを残しているはず。
思い出せ――。
ソラクアで初めて高祖父に会った時、彼はどこにいた?
椅子に座っていた。
場所は……この辺りだ。
悠は、倒れている少年に気づかれないよう、
そっと後ろの壁際のパネルを見た。
何か手がかりがないか探すんだ。
悠はポケットの守紋符がボワッと熱くなるのを感じた。
その時、
環もポケットの守紋符がボワッと熱くなるのを感じた。
悠と環はお互いの顔を見た。
――はじまりの守紋!
擦れているがパネルの記号の中に
はじまりの守紋“流水”と“唐草”の紋様があった。
悠は、はじまりの守紋の紋様があるパネルを押してみた。
隣にスッと小さな空間が開いた。
(ここだ!)
悠は、急いで倫国王の方を見た。
(大丈夫だ。まだチップは出していない)
悠は、叫んだ。
「倫さん!そいつはジェノコード本体じゃない!チップをここへ!」
バチバチッ!
「やはりお前が持っているのか!」
急激に少年が起き上がり、志々度総隊長とゼンを振り払い、
「チップをよこせ!」
と叫びながら少年が倫国王の胸へ、腕を突き刺そうとした。
真っ暗な隠し通路を5人は歩いていた。
この先に悠がいるはずだ。と。
途中、歩みを少し緩め、
歩きながら倫国王は首につけていたネックレスをそっと外した。
そして、後ろを歩く環に人差し指を口元にあて、
黙っててという合図と共に、それを手渡した。
環は頷き、ポケットにしまった。
「チップはここだ!」
その声に少年の動きがピタリと止まった。
ネックレスを握りしめ片手を高く上げた環の手を見た。
悠は驚いた。
倫国王が持っているはずのチップをなぜ環が持ってるのかと。
いや、しかし本物か?迷ったり、確かめている間はなかった。
(こちらに来る!)
同時に環は、
牡丹蝶の守紋を倫国王の前に飛ばしていた。
紫と青色の蝶が舞いながら倫国王を守った。
同時に鈴は、少年が来る導線を予測し、
悠と環を守るよう金属のシールドレイヤーを出した。
同時に悠は、
竹虎の守紋を少年へと攻撃に出した。
同時に志々度総隊長とゼンは、
後ろから少年を攻撃しようと動いた。
同時に少年は、
環の持つチップをめがけて飛び出してきた。
鈴のシールドレイヤーが少年に弾き飛ばされる瞬間、
志々度総隊長の鎖窯の窯が、少年の腰を刺し、
ゼンの剣が少年の足を刺した。
悠の竹虎の守紋が、少年を床へと押し倒した。
その間に、
環は手際よくネックレスからチップを出した。
小さな空間にはチップが2枚入る場所があった。
環はそれを置いた。
ネックレスから出したチップはぴったりの大きさだった。
環が悠を見る眼に、悠は本物のチップだと確信した。
そして、もう一度、はじまりの守紋の紋様があるパネルを押した。
「誰かがはじめたなら誰かが終らせることもできる!僕たちが終らせる!」
蓋が閉じた。




