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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
終焉: The demise of a World 【第六章】

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駆け引き

 (たまき)(りん)国王、志々度(ししど)総隊長、ゼン、(すず)の5人は

 (ゆう)が連れ去られた一際高い白い建物へと駆けていった。


 白い建物の周りはぐるりと高い塀で囲まれており

 かなり広い敷地だというのが分かった。


 門をくぐり、中へ入った時に

 倫国王は既視感を覚えた。


宇宇国(ううこく)の王宮の配置と似ている……」


 立ち止って配置を確認するように

 ぐるりと見回している倫国王の横で、志々度総隊長も

「そうですね」

 と同調した。


 倫国王が右側の広い敷地をじっと見ていた。

「宇宇国なら東の庭園の辺りといったところか。あの辺りだけ、他よりも新しく作られたように見えるな」

 東の方向には、建物はなくただ平地が広がっているだけだった。

「確かに、あの地面の部分だけ、素材が他よりも(わず)かに新しいようですね。行ってみますか?」

 志々度総隊長が言った。

「気になるな。確かめてみよう」

 倫国王の言葉に、5人は東の方向へ静かに歩いて行った。


 平地は、コンクリートでも鉄でもない初めて見る素材だった。

 真っすぐに長方形で大きく線が入っているようだった。

「下に何かありそうだな」

 倫国王が言葉を発するのを遮るかのように音がした。


 ブォォン――


 電子音と共に中央に何かが映し出された。

 5人は空中に映し出された映像を見た。

 そこには悠と少年が映っていた。


「悠とジェノコード?」

 確かめるように環が言った。


「この部屋から、ジェノコードもコードノヴァも全てが生まれたんだよ」


 映像と共に聞こえてくる言葉に5人は耳をすました。


「この建物は(みなもと)家が作った研究所だったんだよ」

「なぜ、僕だけをここに?」

「君こそアカツキノ大陸の王に相応(ふさわ)しいからさ」


 悠と少年は距離を保ったままお互いの顔を見ながら話し続けた。


「取引をしないか?」

「取引?」

「君をアカツキノ大陸の王にしてあげよう」

「何と引き換えに?」

「チップを持っているのが誰か教えてくれるだけでいい」

「……分かった」


 ブツッ――


 映像と音が急に途絶えた。

 瞬間、5人はこれはジェノコードの罠だと分かった。


「この映像も音声もジェノコードが作ったものだ。我々を不安に陥れるためだろう」

 倫国王が4人の顔を見ながら言った。

「もちろん分かっています」

 環が真っすぐに答えた。

 志々度総隊長もゼンも鈴も、もちろんだという顔だった。


(しかし、人の心は時として脆いものだ……)

 倫国王の心には、小さな気がかりが残った。


「この下に何があるかを確かめたいが、今は先に悠を探そう」


「倫国王、あれは……」

 志々度総隊長の視線の先を見てみると、

 遠くにある建物の前に何かが見えた。

 志々度総隊長が目を凝らしてよく見ながら続けた。

「獅子……じゃないでしょうか」

「悠をさらった獅子だ」

 環も即座に答えた。

「あの辺りは、宇宇国(ううこく)だと北棟の辺りだな」

 倫国王が周囲の建物などの配置を確認しながら言った。

「宇宇国がここの配置に倣って作られたなら、あそこから行けるのでは?」

 倫国王の言葉に志々度総隊長が答えた。

 そして、二人の頭の中には同じ場所が浮かんでいた。

 倫国王と志々度総隊長が中央の高い建物へと歩いて行った。

 3人は後ろをついて行った。


 倫国王は迷うことなく中央の高い建物の外壁の一部を手のひらで押した。

 ボコッと外壁の一部が押し込まれると、

 スーッと足元に人が一人通れるほどの穴が開いた。


 志々度総隊長を先頭に、環、鈴、ゼン、倫国王と

 穴からタラップで下へと降りて行った。

 そこには真っ暗な大きな空間が広がっていた。

 志々度総隊長が小さな声で言った。

「宇宇国では隠し通路があるだけで、こんな空間はありません」

 重々しい空気に5人は身動きできなかった。


 志々度総隊長が、暗く大きな空間に何があるか確かめようと数歩近づいていった。

 そこは人感センサーがあるようだった。

 フワッと明るく明かりがついた。


 ――!!!


 5人も目の前に広がる光景に言葉もなく立ち尽くしていた。


 おびただしい数のミサイルが上を向いて並んでいた。

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