表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
終焉: The demise of a World 【第六章】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/89

理由

 一瞬の出来事だった。

 堅い何かに体を噛まれ、空を飛び、この白い建物まで連れて来られた。

 (ゆう)は恐怖よりも、

 何故自分だけが連れて来られたかということに

 意識がいっていた。


 ひと際高い白い建物の白い前庭に

 獅子は降り立つと、

 口からそっと悠を地面に置いた。


 キィ――


 建物の玄関の扉が開いた。


 カツン……カツン……


 ゆっくりと少年が近づいて来た。


 2~3歳位年上に見える

 白い髪に皮膚に服に全てが白いその少年は美しい姿だった。

 優雅に歩いてくる姿を見ながら

 悠はアカツキノ大陸に上陸した時のことを

 思い出していた。


 なぜこんなにも閑散としているのだろう。

 ロボットも姿も他のヒューマノイドの姿も見えない。

 (きし)む機会音が聞こえてくるだけの寂しさを覚える景色。

 導かれるよう誘導されているように思える感覚。

 全てが完全であるような心象。

 人である自分自身が異物のようにさえ思えたことを。


 それらの感覚、感情が全て

 その少年に覚えるものと同じであり、

 そのものだった。


 悠は深く息をすることができなかった。


 前庭に座り込んだまま、

 少年がこちらに歩いてくる姿から目を離せなかった。


「君と話がしたかったよ、悠」


 座ったままの悠に手を差し伸べながら

 少年は話しかけた。

 悠はとても自然に、その手を握り立ち上がった。

 その手は、温かくも冷たくもなかった。


 白く透き通った美しい目を見ながら

「僕を知っているの?」

 と尋ねた。


「だって僕はジェノコードだもの。全て知っているさ」

 少年は表情も変えず答えた。

 そして、悠の手を取ったまま、

 建物の中へと導いて行った。

 一階の奥の部屋へと入っていくと

 見覚えのあるような部屋があった。


「この部屋から、ジェノコードもコードノヴァも全てが生まれたんだよ」


 その言葉に、悠は記憶が瞬時に蘇った。

 ソラクアで高祖父(こうそふ)と会った研究所の部屋と似ていたことに。


(ここからはじまったんだ……)


 悠は、ゆっくりと部屋の中を見回した。

 (かす)かにこの部屋だけに色彩が残っていた。


「この建物は源家が作った研究所だったんだよ」


 悠は聞きたかったことを尋ねた。

「なぜ、僕だけをここに?」


 少年は表情も変えず答えた。

「君こそアカツキノ大陸の王に相応(ふさわ)しいからさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ