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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
守紋の記憶:Echoes of the Lost Realms
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 雪輪兎(ゆきわうさぎ)が雪輪を黒龍(こくりゅう)に向って投げた。黒龍に絡んだ雪輪は黒龍を凍らせたが、氷は直ぐに砕かれてしまった。

 黒龍が尻尾を動かすと強い雨が打ち付けた。(りん)守紋符(しゅもんふ)を出すと楓鹿(ふうろく)が現れ、すばやく楓を大量に出し、大きな屋根を作り雨が当たらないようにした。

「お前はどちらを選ぶ?」

 強い声で悠の方に向かって言ったと同時に、風で楓を吹き飛ばした。

 竹虎(たけとら)が竹の葉をものすごい勢いで、黒龍の周りを囲った。それは竹の竜巻のようだった。一瞬、雨が弱まったが、すぐに勢いが戻った。竹の葉は、黒龍の強い風で飛ばされていった。三人も守紋もずぶ濡れで、台風のような強い雨風に飛ばされそうだった。

「なぜ? 倫さん、なぜ選ばなければならないんですか?どちらも存在していてはだめなのですか!?」

  悠は、倫の方に向かって叫んだ。

「なくなればもう戻らなくていい。ソラクアだけで生きていきたい。」

 苦しそうな表情で答えた。

「どうして、コードノヴァでそんなにも苦しんでいるんですか?!」

「ソラクアで全てが自由に解放されたからさ。」

 雪輪兎と竹虎と楓鹿が、雪輪と竹と楓で強い風雨に壁を作って、二人を守っていた。

「それって――コードノヴァがあるから感じられたんじゃないですか?」

「そんなことはない!」

「自由だけになったその先に、何があるんですか!?コードノヴァとソラクアの両方があるから世界のバランスが取れているかもしれないのに!」

 黒龍の風雨はさらに強さを増していった。守紋たちはじりじりと後ろに下がっている。

「春の守紋があれば……」

 雪輪兎が悔しそうに言った。

 その時、後ろから数々の蝶が速いスピードで舞ってきた。そして、桜吹雪が舞い黒龍の全体を覆った。風雨が弱まった瞬間を見逃さず、雪輪と竹と楓も黒龍をさらに覆った。

「お、お前はどちらを選ぶ?」

 苦しそうな黒龍の声が聞こえた。

 悠はしっかりと黒龍の方を見て強い声で答えた。

「僕はどちらも選ばない!僕たちはどちらも選ばない!」

 その瞬間、ピタリと風雨がおさまり、黒龍は白い雲に覆われた。

「間に合った。」

 声の方を振り返るとそこには、(たまき)がいた。

「環!」

「悠もここに来たんだね」

 驚いた。同級生の環がそこにいた。

(どうして、僕だけがこの世界に来ることができるなんて思ったんだろう!恥ずかしい。他にもいて当然じゃないか)

 悠は複雑な思いで環を見たが、環は黒龍の方をまっすぐ見ていた。その視線と同じ方向を見ると、白い雲が少しずつ広がって龍の姿が再び現れてきた。灰色の雲はすっかりなくなり、晴れ渡った空に戻っていた。

「青くなってる」

 悠は思わず声に出た。黒龍から青龍になり、ゆっくりとこちらに向かってきた。

「闇夜からこの月を授けましょう」

 青龍はそういうと、手の上に浮かぶ丸い月を雪輪兎へ送った。月が雪輪兎を覆うとくるりと回転して、二枚の守紋符になり、悠の手のひらにふわふわと浮かんだ。守紋符には元通りの雪輪兎の紋様が描かれていた。もう一枚を見ると月の中でかわいらしく座っている兎の紋様が描かれていた。

月兎(つきうさぎ)の守紋が新たに加わったようだ」

 倫が教えてくれた。

「この体から鱗を授けましょう」

 青龍はそういうと、手の上に浮かぶ鱗を桜蝶へ送った。鱗が桜蝶を覆うとくるりと回転して、守紋符になり、環の手のひらにふわふわと浮かんだ。守紋符には、三角形が並ぶ鱗と桜と蝶が描かれていた。

鱗桜蝶(うろこさくらちょう)へアップグレードしたんだよ」

 倫が教えてくれた。

「雲からこの水を授けましょう」

 青龍はそういうと、手の上に浮かぶ水滴を楓鹿へ送った。水滴が楓鹿を覆うとくるりと回転して、守紋符になり、倫の手のひらにふわふわと浮かんだ。守紋符には、流水に浮かぶ楓と鹿が描かれていた。

流水楓鹿(りゅうすいふうろく)となったか」

 守紋符を優しく掴むと倫はそう言った。

「そして私は雲龍(うんりゅう)となり、そなたと共に行きましょう」

 青龍はそういうと、くるりと回転して、守紋符になり、悠の手のひらにふわふわと浮かんだ。


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