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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
はじまりの守紋: The beginning【第四章】

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守紋の結び

「大昔から、人と動物、自然は共に生きていた。そして、動物と自然は幸運を運ぶ人の守護として存在していたそうだ。それらは守紋(しゅもん)という形で、私たち一部の人たちは扱うことができる」

 琴滋(ことじ)が、環の“鱗桜蝶(うろこさくらちょう)”の守紋符(しゅもんふ)を手のひらに置いた。

 すると、それはくるりと回転し、

 ポンッと一瞬で守紋符から桜と蝶の姿が現れた。

 と思ったら、桜の花びらの大群がぶわっと大量に現れ、

 (ゆう)の足元を覆い、空中へふわりと持ち上げた。

 同時に、蝶の大群がぶわーと現れ、

 環の足元を覆い、空中へふわりと持ち上げた。

 そして、二人の位置を入れ替え、

 ふわりと地上に降ろした。

 そして、それぞれの一つの桜と蝶に戻り、

 琴滋の横にフワフワと浮いてた。

 一瞬の出来事に二人は言葉を失っていた。


「守紋との結びつきは、イメージ力だ」

「イメージ力?」

 悠が声を出した。

「あぁ、そうなってほしい状況をありありとリアルにイメージするんだ。五感全てでイメージできるとより、守紋との結びつきが強くなる」

 琴滋が言い終わると、

 今度は、桜と蝶が、悠と環の足元に素早く移動し、

 ぐんぐんと体を超える大きさになり、

 悠は桜の上に、環は蝶の背中に乗り、

 フワフワと浮いていた。

 二人は落ちないようにしっかりと掴まった。

「すごい!」

 悠が嬉しそうに叫んだ。

 二人をゆっくりと地面に降ろすと

 それぞれの元の大きさの桜と蝶に戻り、

 琴滋の横にフワフワと浮いてた。


「守紋との結びつきのことを“守紋(しゅもん)(むす)び”と言われている。守紋の結びは、手のひらで守紋符から守紋に変えた人とその時に生まれるものだ。守紋符を普段から持っている人の専用の守紋ではないという訳だ。だから、今みたいに、環が持っていた“鱗桜蝶”を私が扱うことができたのだ」

 琴滋が二人に説明した。

「そうか。だから僕たちが持っていた四瑞(しずい)の守紋符も(りん)さんに渡しても大丈夫だったんだね」

 悠が明るい表情で答えた。

 琴滋は手のひらを出した。

 桜と蝶は、くるりと回転し、

 ポンッと一瞬で守紋符に変わり、琴滋の手のひらに収まった。

 そして、環に守紋符を返した。

「あぁ、そういうことだ。さて、今日はこの守紋の結びの力を高めてもらおう。悠は、“竹虎(たけとら)”、環は“牡丹蝶(ぼたんちょう)”で試してごらん」

「はい」

 二人は返事をすると

 “竹虎”と“牡丹蝶”以外の守紋符をしまった。


 悠が“竹虎”の守紋符を手のひらの上に置くと

 それはくるりと回転し、

 ポンッと一瞬で守紋符から竹と虎の姿が現れた。

 悠は、目をつぶった。

「……んん」

 ――ポンッ

 竹の葉が一枚増えただけだった。

「あははは」

 環の笑い声に目を開けた悠は、

 がっかりした顔をしてつぶやいた。

「環もやってみろよ……」


 環が“牡丹蝶”を手のひらの上に置くと

 それはくるりと回転し、

 ポンッと一瞬で守紋符から牡丹と蝶の姿が現れた。

 環は大きく深呼吸をした。

「ふぅぅぅ……」

 ――ポンッ

 牡丹の花びらが一枚だけ大きくなっただけだった。

「全然違うなぁ」

 納得いかない顔でつぶやいた。


「まだ、はじめたばかりだ。私は少し外すから、しばらくここで修練(しゅうれん)していてくれ」

 琴滋は、そういうと部屋の扉を開けて出ていった。

「よし!」

 二人は背を向けて、それぞれに修練をはじめた。

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