五家の会談
宇宇国の倫国王の戴冠式から、一週間が経っていた。
そこには、五家の当主全員が集まっていた。
名前のない森の大木の元で円になって座っていた。
源家当主、
林家の亮当主、
壌家の志音当主、
火宮家の焔当主、
金子家の鐘当主の5人がいた。
源当主が口を開いた。
「『四瑞の出現は平和な世へ導く聖王の現れる前触れ』と聞いてはいたが、まさかこの目で見られるとは思わなかった」
「誰もが伝説に過ぎないと思っていたでしょう」
亮当主が落ち着いた声で言った。
「しかし、さほど乱れていない今の世を考えると……」
源当主がこの先を言うかどうかを迷うような表情で続けた。
「おそらく、近いうちに良くない何かが起こるであろう……」
「やはり、源当主もそうお考えでしたか」
焔当主が深刻な表情で口を開いた。
「まずは、各々、備えを万全に体制を整えておくことか……」
4人は頷いた。
「あの二人の少年をしばらく預かりたいのですが」
志音当主が口を開いた。
「ほぉ、麒麟児といわれるあの二人か?」
焔当主が力強い太い声で言った。
「はい。偶然か必然かは分かりませんが、あの二人は四瑞の守紋を手にしました。しかし、守紋についてはほとんど知識を持っていなかったようです。しばらく集中して守紋の力を高めておきたいと思うのです」
「ふむ、それも必要かもしれんのぉ」
少し考えて
「志音当主に任せよう」
源当主が答えた。
「環の母親には私から伝えておこう」
亮当主が、志音当主に言った。
「そうじゃの。悠の両親にはワシから伝えておこう」
源当主が、志音当主に言った。
「ありがとうございます」
志音当主が答えた。
5人の中で一番、縦にも横にも大きくガタイのよい焔当主は、
白い衣服で清々しい青年である鐘当主に向かって言った。
「鐘当主。そちらの体制はどうだ?」
「はい。いつでも大丈夫なように整っております」
「さすがだ!我が六古衆もいつでも、参画できますぞ!」
「それは頼もしい」
焔当主と鐘当主の会話を信頼した表情で3人は聞いていた。
「今のところ、東湖の湯場に来る守紋にも変わりはありません。しかし、異変があればすぐに皆さんにお知らせいたします」
亮当主がそう言うと
「こちらも」
「私も」
5人はそれぞれ、顔を見合わせながら頷いた。




