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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
守紋と宿命:Heart or Crown【第三章 第一部】
36/76

五家

 かつて(たまき)の母である(しおり)は、東湖(とうこ)麒麟(きりん)に言われたことは二つあった。

 一つは

『もし私が闇に落ちることがあれば、世界は暗黒の時代になるだろう』

 そして、もう一つは

『もし将来、私があなたの子供といるならば、聖王(せいおう)が現れる日も近い』

 という言葉だったことを志音(しおん)は三人に伝えた。

 そして、半年前、環と(ゆう)が麒麟の闇落ちから救った。

 その時のことを()の当たりにして、

 環の叔父の(りょう)は、悠と環が麒麟児(きりんじ)ではないかと

 考えていることも三人に伝えた。


五家(ごけ)の話をしておこう」

「五家ですか?」悠が尋ねた。

「古からこの大陸では、林家(はやしけ)火宮家(ひのみやけ)壌家(じょうけ)金子家(かねこけ)源家(みなもとけ)の五家が存在している。守紋(しゅもん)の里の守り人たちだ。(いにしえ)から動物や自然は守紋という形で人を守護してくれている。だが、それは誰にでも分かるものではなくて、今はもう、五家と王族の一部の人しか分からないと言われている」

 志音は続けた。


「林家は、木を(つかさど)り、東湖で名前のない島の湯場(ゆば)の温泉を守っている。環の一族だ。

 壌家は、土を司り、ここ奈国(なこく)の名前のない店で錬金術を守っている。私たちの一族だ。

 火宮家は、火を司り、南で名前のない洞窟を守っている。

 金子家は、金属を司り、西で名前のない港を守っている。

 源家は、水を司り、北山(ほくざん)のふもとで名前のない森を守っている。悠の一族がそこにいる」


「ぼくの一族?」

 悠が身を乗り出して聞いた。

「あぁ、そして四瑞(しずい)の亀は、名前のない森を越えた北山にいると言われている。まずは、名前のない森に行ってみるといいだろう」

 志音は第二王子“(りん)”の目を見て続けた。

「倫。宿命ならば、四瑞と共に、聖王としてこの大陸を治めることとなるだろう」

「分かりました。私が聖王かどうかは分かりませんが、『四瑞の出現が聖王の前触れ』と言われるならば、確かめてみたいと思います」

 第二王子“倫”は桐竹鳳凰(きりたけほうおう)の守紋をしっかりと握った。

「悠と環はどうしたい?」

 志音が尋ねた。

「僕は、自分の一族に会ってみたいから、倫さんと一緒に行きます」

 迷うことなく悠が答えた。

「僕も行きます」

 環が答えながら、ポケットの金襴簿(きんらんぼ)から守紋符(しゅもんふ)を出して倫に渡そうとした。

 第二王子“倫”は手でそれを制するようにした。

「守紋符は、まだ君たちに持っていてほしい。私にその資格があるか君たちにも見極めてほしいんだ」

 環と悠は、第二王子“倫”の顔を見て頷いた。

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