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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
守紋と宿命:Heart or Crown【第三章 第一部】
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企み

 次の日、いつもより早い時間の早朝に

 第二王子“(りん)”は、東の庭園に向かった。

 いつも見ている風景なのに

 全てが輝いて見えた。

 初めての感覚だった。

 昨日と同じ木のところから、王女“(みお)”は歩いてきた。

「初めて廊下でお見かけした時から、毎日探しておりました」

 見つめる瞳には純粋さだけがあった。

「私もあなたを忘れることができずにいた」

 第二王子“倫”も素直な気持ちを言葉にした。

 それからは早朝、つかの間の時間を共にした。

 人目につかぬよう、

 また日々の暮らしの中で気づかれぬよう

 注意を払っていたが、

 二人一緒にいるときのまとう空気に気づく人はいるものだった。

 第三王子“(みん)”の傍によくいる尾々木(おおき)内大臣も、その一人だった。

 尾々木内大臣は、自分自身が一番自分の才覚を分かっているので

 これ以上、能力的にも出世できないことを理解していた。

 しかし、生来からの欲であろうか、

 権力に対する執着を捨てることができずにいた。

 第一王子“(けん)”が王位継承者であるとはいえ病弱な身であるがゆえに、

 いつか王位継承者が変わる機会をそっと待ち望んでもいた。

 そして、まだ幼い第三王子“明”ならば、

 上手く取り入ることができるだろうと

 何かと傍にいたのだった。

 尾々木内大臣は「このままでは大変はことになりますぞ」と、

 第二王子“倫”と王女“澪”のことをそっと王妃に耳打ちした。

 王宮の裏事など知る由もない王妃は、

 そのまま国王に相談した。

「ふむ、それは少し面倒だなことだな……二人は血が繋がっていないとはいえ、今は宇宇国(ううこく)の王族同士であるからな」

「どうすればよいでしょうか。いっそ、王女をどこかの国へ嫁がせましょうか」

「いや……倫の性格からすると、駆け落ちでもしてしまうくらいだろう」

 国王は王妃に伝えた。

「ここは私に任せてもらえるか?」

「もちろんです。分かりました」

 王妃はそう答えると王の居室から出ていった。

「ふむ……」

 国王はしばらく考え込んだ後、居室から出ていった。

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