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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
守紋と宿命:Heart or Crown【第三章 第一部】
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宇宇国

 私は、(りん)宇宇国(ううこく)の第二王子だ。

 242年前の離間事変(りかんじへん)から、世界は三つに分断されていた。

 (いにしえ)からののアナログだけの世界“ソラクア”。

 アナログからデジタルに移行していく世界“ユニア”。

 そして、デジタルだけの世界“コードノヴァ”。

 一年前の夏、私は二人の少年と出会った。

 少年たちとの冒険の中で、三つの世界は再び繋がった。

 “歴史”も“本物”も戻ってきた。

 ソラクア、ユニア、コードノヴァの

 三つの世界が再び繋がった日から、

 世界は“ネオコードノヴァ”として再生されていた。

 それから一年。

 今、私は王位継承の争いに巻き込まれてしまっている。

 なぜ、こんなことになってしまったのか――。


 王位継承者である第一王子“(けん)”は、生まれながら病弱だった。

 病弱だったが、兄である第一王子“健”は聡明であり、

 日々の生活は問題なく送れていた。

 弟の第三王子“(みん)”は、理屈っぽく、野心家だった。

 そして、母である第一王妃も病弱だった。

 第三王子“明”を出産してからは、王宮から外に出ることはなかった。

 最新の技術をもってしても、回復の見込みはなく

 私が5歳の時に亡くなってしまった。

 第一王子“健”は6歳、第三王子“明”はまだ3歳だった。

 父である国王はその頃、

 沙々山(ささやま)総隊長を第一王子“健”の教育係として傍に置いた。

 軍部の最高位である沙々山総隊長がつくということは、

 実質、第一王子“健”が王位継承者であるということを

 国内外に知らしめたと同じことであった。

 私も王位は当然、兄が継ぐものだと思っていた。


 私が11歳になる時、父である国王に呼び出された。

 王の間に行くと、その部屋には第一王子“健”、第三王子“明”もいた。

 四人だけが王の間にいた。

 椅子に座った父の前に私たち三人は横並びで立った。

「お前たち三人に渡すものがある」

 そういうと椅子から立ち上がり、ゆっくりと近づいてきた。

 普段から父と接する機会が少なかったせいか、

 国王としての威厳なのか、

 緊張感が走った。

 ゆっくりと近づくと、第一王子“健”から順番に

 カードのようなものを一枚ずつ手渡していった。

 手のひらに収まる位の大きさのカードには

 綺麗な絵が描かれているようだった。

「それは“守紋符(しゅもんふ)”というものだ」

「――守紋符――?」

 初めて聞く言葉に、私は思わず声に出してしまった。

「説明よりも先に見る方が早いだろう」

 父は、第一王子“健”が手に持っている守紋符を取ると

 手のひらに浮かべた。

 すると、それはくるりと回転し、

 ポンッと一瞬で守紋符から鹿の姿が現れた。

 鹿の周りには植物の萩が浮かんでいた。

 父は、私たち三人の顔をゆっくりと見ながら言った。

「これは“守紋(しゅもん)”と呼ばれるている」

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