湯場
環と悠は、まず守紋の湯場に行った。
そこでは、雪輪兎が気持ちよさそうに温泉に浸かっていた。
すっかり元気になった様子だった。
「あら、なんだか汚れて、疲れた様子ね」
雪輪兎がいつも調子で話しかけてきた。
悠は今回の出来事を雪輪兎に話した。
「瑞雲麒麟の守紋符は環が持っているのね」
雪輪兎は悠に確認するように聞いた。
「うん、そうだよ」
雪輪兎は何か言いたげそうな顔だった。
「守紋符を入れる金蘭簿も温泉に浸けると元気になりますよ」
澪が話しかけてきた。
そして、澪が環と悠の金蘭簿を温泉に浸けてくれた。
「守紋符を入れる金蘭簿も温泉に浸けると元気になりますよ」
そういって、澪が環と悠の金蘭簿を温泉に浸けてくれた。
守紋たちも次々に温泉に入ってくつろいでいた。
「私が見ていますから、お二人も隣の湯場へどうぞ」
澪に言われるがまま、環と悠も隣の湯場へ行った。
はじめて入る温泉はとても心地よかった。
体の芯からほぉっとして、
悪いものが全部体から出ていく感じがした。
しばらくすると今度は良いものが体に吸収されていく感じがした。
心も頭も体も再生されていくようだった。
「僕はいつも君の迷いなく早いところが羨ましいと思うんだ」
温泉に浸かりながら、環が言った。
「僕は君の思慮深く、賢いところを羨ましく思っているよ」
お互いの顔を見て笑った。
「僕たちはいつも人として対等だと思う」
悠が茜色に染まっていく空を見上げながら言った。
「そうだね。上も下もないんだね」
環も同じ空を仰いだ。




