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求古綺譚:Lucky Lore  作者: いろは
失われた守紋:The Lost Guardian【第二章 第一部】
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後悔

 不意に、風が強くなってきたのに気が付いた。

 木々が大きく揺さぶられ、暗くなってきた。

 バチバチバチッと外で音がした。

 (たまき)(りょう)

(なんだ?)

 と思った一瞬には

 もう(ゆう)は勢いよく扉を開けて外に駆けて行ってた。

(早い!悠にはいつも迷いがない。だから僕よりもいつも一手早いんだ)

 環がそう思いながら、外に出た時には

 悠はもう竹虎(たけとら)守紋(しゅもん)を出していた。

 悠と竹虎の目線の先には、

 真っ黒な何かが浮かんでいた。

麒麟(きりん)か!」

 亮がじっとそれを見つめたまま言葉にした。

「いや…しかし…」

 何か違和感を覚えたように、それをじっと見ていた。

電子(でんし)守紋(しゅもん)か」

 環もよくそれを見てみると、

 物体としての質量を感じない存在だった。

 ジジッジジッと電子音のような音が微かに聞こえた。

 ホログラムのようでもあった。

「ようやくこの場所を見つけることができた」

 少し(いびつ)な雑音を感じるような声で

 電子守紋の麒麟が言った。

「なぜ、ここが分かった!?」

 亮が言った。

 環はさっき、ここが結界で守られていると

 亮が言っていたことを思い出した。

「ふははは。その子供のおかげだよ。千鳥(ちどり)と共に私を招き入れてくれたのさ」

 電子守紋の麒麟は勝ち誇ったように笑っていた。

 環は激しく後悔していた。

 見るからに、ここに来てはよくないものを導いてしまったことを。

 不用意に千鳥をここへ持ってきてしまったことを。

 だけど、雲龍(うんりゅう)に乗っている間にシャットダウンされていることは確認したはず。

 それでも、向こうからアクセスできるのか!?

 僕があれをポケットに入れて持って来なければ。

 そもそもコードを調べなければよかったんじゃないか。

 あの時、川を見なければよかったんじゃないか。

 もし、もっとコードを深く調べられる技術を持っていたら。

 もし、もっと知識を持っていたら。

 もし――。

 環の表情はどんどん暗くなって行き、

 力が抜けていくのを感じた。

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