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祝福の戦士  作者: りょう
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仕方なく戦う者

強力な人間と強大なクリーチャーが共存する世界。 "星の存在" という特別な力を持つ者たちが繰り広げる戦いが日常となり、この世界には腐敗が蔓延している。しかし、その中に現れたのは、誰も見たことがない独自の力を持つ少年、ハルト。彼の力の可能性は未だ未知数であり、その重圧に苦しんでいる。ハルトは自らの力を証明し、仲間たちと共に数々の試練に立ち向かいながら、力の本当の意味を理解し、成長していく。そして、彼の冒険がやがて世界を変える大きな一歩となることを、誰もまだ知らない。

木の窓の隙間から、朝日がほんの少し顔を出し、温かな光が簡素なキッチンを照らしていった。

ハルトは伸びをし、筋肉の痛みにわずかに顔をしかめた。

また一日が始まる、家事の日々だ。

その時、鶏の鳴き声が静寂を破り、新しい一日の始まりを告げた。


ハルトはあくびをし、目をこすりながら、朝食のあるテーブルに歩み寄った。

毎日同じ食事。

食事を終えた後、春斗は袖で口を拭い、庭仕事道具を手に取った。味噌汁の残り香が口に残る中、彼は軽くため息をつきながら、道具を握る手のひらにその重みを感じた。ふと、叔父の声が頭の中で響いた。


「さっさと終わらせろ、春斗。今日はやることが山ほどあるんだぞ!」


その声にはいつものように、焦りと欲望が込められていた。叔父は常に急かし、春斗にもっと働かせることで自分の利益が増すことを喜んでいた。


だが、春斗は気にしなかった。そんな言葉にはもう慣れていたからだ。毎日のように続く仕事の中で、叔父の無慈悲な態度に対しても、もう何も感じることはなかった。どんなに働いても、叔父は彼をただの道具としてしか見ていないことを、春斗は知っていたから。

うめき声を上げながら、春斗は最後の野菜の列を刈り取った。小さな畑を見渡し、背中に温かい日差しを感じる。悪くはない生活だが、それでも彼はふと思うことがあった。もし、叔父が自分の健康を、利益と同じくらい気にかけてくれていたら――。


最後の列を終えた瞬間、声が彼に呼びかけた。


「春斗!」


振り返ると、何年も自分を鍛えてくれた師匠が、真剣な表情を浮かべながら歩いてくるのが見えた。歳を重ねたその顔にはしわが刻まれていたが、春斗はその年齢を感じさせないエネルギーを、どうしても無視できなかった。


「師匠?」春斗は額の汗を拭いながら声をかけた。


老人はしばらく春斗を見つめた後、深くため息をついた。

「春斗、よく聞け。お前はボシュ王国の武闘大会に出るんだ。実戦で自分の力を試す時が来た。」


武闘大会——三つの王国から戦士たちが集い、数々の試練に挑む場。名誉のため、名声のため、あるいは己の限界を試すために参加する者もいる。だが、春斗はそんなものに興味はなかった。


「……武闘大会?」春斗はまばたきし、興味なさそうに答えた。「いや、遠慮しとくよ、師匠。」


沈黙が続いたかと思うと、老人は突然膝をつき、大げさに地面へ頭をこすりつけた。両手を必死に合わせ、涙ながらに懇願する。


「頼む、春斗! もう年なんだ! 腰が痛くてたまらん! わしが死ぬ前に、最後に弟子の勇姿を見せてくれぇぇぇ!」


一言ごとに大げさな演技を加え、春斗の同情を引き出そうと全力で芝居を打っていた。


春斗はまばたきし、しばらく師匠を見つめた。


……マジかよ。今このタイミングでその芝居をやるのか?


だが、師匠の芝居はまだ終わっていなかった。ゆっくりと顔を上げ、涙を浮かべたような偽りの真剣な目で春斗を見つめる。


「わしは、お前に知っているすべてを教えた……! お前が試練に立ち向かい、自分の力を世界に見せつける姿を見たいんじゃ! わしのために出てくれ、春斗! 頼む!!」


春斗は腕を組み、目を細めて師匠を見つめた。彼はすぐにその狙いを理解した。師匠は自分の感情を操り、年齢を盾にして罪悪感を与え、無理やり同意させようとしているのだ。それでも、春斗は断ることができなかった。こんな馬鹿げた芝居を見せられて、断るわけにはいかない。


「わかった、わかったよ。」春斗は口元に引っ張られる笑みを隠しながらつぶやいた。「しょうがない、行くよ。」


師匠はすぐに立ち上がり、まるで地面で懇願していたことなどなかったかのように背筋を伸ばした。


「ありがとう、春斗! お前がどれだけ俺にとって大きな意味があるか、わかっていないだろう! お前なら絶対にすごいことになる! 俺は信じているぞ!」


その目は勝利の輝きに満ち、計画がうまくいったことに大満足な様子だった。


春斗は目を転がす。


「まさか、俺があの芝居に引っかかったと思ってるのかよ…。」


春斗がようやくボシュ王国に到着すると、街は活気に満ちていた。目を向けると、どこもかしこも人々や店、そして大会の準備をしている露店が並んでいた。普段よりもさらに人が多く、興奮が伝わってくる。至る所に大会を告知する旗が掲げられ、王国中から人々を引き寄せていた。


周りの騒音が響く中、春斗はどこか場違いな気がした。周りの人々は豪華な服を着て、彼らの祝福が空気の中に漂っていた。それは彼らを際立たせる特別な力だった。しかし、春斗は棒術の杖だけを持っていた――シンプルで頼りになるもの。それは力強い祝福を持つ者たちや輝くエネルギーの世界の中では、あまり目立たないが、それでも春斗にとっては十分だった。


春斗は周りの喧騒に動じることなく、登録デスクに向かって歩き始めた。カウンターに到着すると、ギルドの職員が書類から顔を上げ、春斗をじっと見つめた。職員は一瞬立ち止まり、春斗の質素な外見と、周囲に輝くようなオーラがないことを確認した。


「それで、どんな祝福を持っているんだ?」職員は無表情で尋ねた。


春斗は周りの喧騒に動じることなく、登録デスクに向かって歩き始めた。カウンターに到着すると、ギルドの職員が書類から顔を上げ、春斗をじっと見つめた。職員は一瞬立ち止まり、春斗の質素な外見と、周囲に輝くようなオーラがないことを確認した。


「それで、どんな星の祝福を持っているんだ?」職員は無表情で尋ねた。


春斗は棒術の杖をカウンターに置いた。


「祝福は持ってないよ。」と、春斗はあっさりとした口調で言った。


職員は目を瞬き、明らかに春斗の返答に驚いた様子だった。


「え… 何?」 もう一度、杖をちらりと見た。まるでそれが輝くか、光を放つことを期待しているようだったが、何も起こらないと、頭をかいた。


「これは… 初めてだな。ほんとうに、確かか?」

春斗はうなずいた。


「確かに。」


職員はしばらくじっと春斗を見つめた後、何かをつぶやいた。続いて、咳払いをしてから言った。


「まあ、参加はできるけど、誓約書にサインしてもらうことになるな。事故が起きても責任は取れんからな。」


春斗は気にすることなく、誓約書にサインをした。すでにここにいる以上、今さら引き返すことはできない。サインを終え、彼は混雑した登録エリアを見渡した。何かが空気に漂っていた――千の目が誰が勝ち抜くかを見守っている緊張感。祝福を持っていなくても、それが自分の実力を証明できないわけではない。



後書き


まず初めに、この物語を読んでくださった皆様に心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。長い旅路を経て、ようやくこの作品を完成させることができました。それもひとえに、皆様の応援のおかげです。


物語を書き進める中で、キャラクターたちが自分自身を見つけ、成長する姿を見ることができて、とても嬉しく思っています。特に春斗のようなキャラクターは、どこか自分にも似ている部分があり、彼の成長を共に感じながら書くことができました。


これからも、皆さんが楽しめるような物語を作り続けていきたいと思っています。次の章や新たな冒険がどのように進展するのか、ぜひご期待ください。


改めて、読んでいただきありがとうございました。今後とも応援よろしくお願いします。

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