だから、お別れだな
「俺たちには目的があるから、アステルダムには行けないよ。だから、お別れだな」
「ああ……」
転移門へ続く分かれ道で、オレたちは別れようとしていた。
「タクマ、ボクは……」
「オマエは、みんなについていけよ」
ジェリーはもともとブレイドたちの仲間なのだ。
だから、ジェリーはブレイドたちと一緒に行った方がいいのだ。
ジェリーがアステルダムに行こうとしていた理由がダイアモンドドラゴンを倒す方法を見つけるためなら、それはもう果たされたし……な!
「う、うん……」
「じゃっ!」
オレはみんなと道を分かれて進む。みんなの顔を見ないように。
「これでよかったのか?」
「…………」
後ろから、ブレイドがジェリーに尋ねる声が聞こえてきた。
オレはその答えを聞く前に進む。自分の足音に集中する。
スタスタスタ……
スタスタスタスタスタスタ……
なんでオレはジェリーの答えを聞こうとしなかったんだろう。
スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ……
スタスタスタ……スタスタスタ……スタスタ……ス…………
怖かったからだ。
それが分かった瞬間、オレの足は止まっていた。
「…………………………………………………………………………………………………………」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!
「ぅうぅうぇええええええええええんジェリぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい一緒に来てくれえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
「ええええええっ!?!?!?!?」
オレは気づけば元の場所までダッシュで戻って、ジェリーに泣きついていた。
情けない……情けない……けど……
「オマエがいないとオレはこの世界でひとりぼっちなんだああああああああ……ひとりぼっちはこころぼそいよおおおおお!!!!!」
「……!」
ブレイドたちのほうが強い。ジェリーはオレと同じ、レベル1の弱弱なクラゲ妖精だ。
でも、ジェリーは、この世界で出会った最初の、そして、たった一人、仲間だと言ってくれた相手だった。
だからオレはジェリーを失うわけには、どうしてもいかなかったのだ。
ジェリーはオレの頭を撫でた。
オレがジェリーを見ると、ジェリーは微笑む。
そして向き直って、ブレイドたちに宣言した。
「ブレイド……やっぱり、ボク、タクマと一緒に行くよ……!」
「そうか……」
ブレイドはそう言って笑って、親指を立てた。
オレはジェリーに言った。
最初の時と同じように。
「行こう! アステルダム!」
「おー!」
そしてもう一度、ジェリーとともに拳をあげる。
オレのチート人生は、ここから始まるのだ!