あ! ようやく見つけた!
「あ! ようやく見つけた!」
脇から声。振り向くと、ブレイドたちがいた。
こっちに向かってきている。
「シーッ!」
オレは慌てて静かにするように指を立てる。
だが、もう遅かった。
ダイアモンドドラゴンに見つかってしまったのだ。
「――グアアァアッ!!」
ダイアモンドドラゴンが吠える。
その視線の向き先はオレ……ではなく、ブレイドたちだ。
「げえっ! ダイアモンドドラゴン!」
突進してくるダイアモンドドラゴンに、ブレイドたちは飛びのいて回避する。
「ジェリー、逃げて!」
「えっ……? どうしてボクのことを知っているの……?」
サーシャがジェリーに目掛けて叫ぶ。
ジェリーはわけがわからず混乱していた。
「お前も、俺達の仲間だろ!」
「!」
ブレイドの声に、ジェリーは驚いた表情だ。
「ここは僕たち『夜明けの星』がなんとかするから、キミは逃げなさい!」
「『夜明けの星』ってお前らだったのか。でも、ダイアモンドドラゴンに負けたんだろ!」
「キミよりは戦えるさ!」
インテルがオレに叫ぶ。
だが、そういうわけにはいかない。
オレは、チャンスをモノにしないといけないのだ。
ブレイドはダイアモンドドラゴンの攻撃を受けきれず、弾き飛ばされる。
「くっ……スキルさえ使えれば!」
ブレイドが悪態をつく。
オレは、【フォーカス・アナライズ】でダイアモンドドラゴンを解析した。
解析できたのは、ダイアモンドドラゴンのスキル。
【スキル無効】
効果:スキルが全員ランダムで一つ使えなくなる。また、自身から一定範囲内ではスキルによる遠距離攻撃は消滅する。このスキルの使用中は素早さが半分になる。
なるほど。このスキルのせいで、みんなスキルが使えなくなっているのか。
ブレイドたちは絶体絶命の状況だ。
このままでは死んでしまう。
「い……いやだ、死なないで! みんなにげて!」
ジェリーが叫ぶ。
なにか、なにかないか?
考えろ、考えろ、考えろ!
…………そうだ!
「ぅ…………はーっはっはっは!」
オレは、高らかに笑う。
ダイアモンドドラゴンも含めて、全員の意識が一瞬、こちらに向く。
なにしてるんだ? ってな。
だから、オレは宣言してやるのさ。
「――ヒーロー見参!」
「バカなのか?」
だれの呟きなのかは分からなかった。
オレ自身も結構心臓バクバクなのだ。
だが! 今回に限ってはオレはバカではない!
「聞け! オレのスキルにより! オマエたちはスキルを取り戻した!」
「なんだって?」
ブレイドたちが驚く。
ダイアモンドドラゴンのスキル【スキル無効】は、スキルが一つ使えなくなるスキル。
無効になったオレのスキルは、【インテリジェンス・マッスル】。
このスキルは固定ダメージを与えるスキルだが、スキルをこれ以上取得できなくなるスキルでもある。
つまり、このスキルが無効になれば、【スキルコピー】を使える!
そして、そうなれば、ダイアモンドドラゴンのスキルをオレ自身が取得し――
「――――ダイアモンドドラゴンの【スキル無効】を、オレの【スキル無効】で、無効にしたのだ!!!!!!」
――ブレイドたちは、スキルを取り戻した。