早く……見つけなくちゃ……!
「早く……見つけなくちゃ……!」
私、サーシャは焦っていた。
私だけが、本当のことを知っている。
急がないと。
ジェリーは、私たちのパーティの一員だった。
そしてジェリーはブレイドによくなついていて、ブレイドもジェリーの面倒をよく見ていた。
ブレイドのことが好きだった私にとっては、ちょっと嫉妬したりもしたけど。
妖精という種族はレベルアップが早く、とても特殊なスキルを覚えることが多い。
その分、レベル上限が低くて、みんなからは弱いと思われがちだけど。
でもあの子のことを、嫌いだなんて思ったことはなかった。
ジェリーはいま、記憶も、ほとんどすべての力も失っているはず。
だから、早く見つけて守らなくちゃ。
私たちはAランクパーティ『夜明けの星』のメンバー。
ブレイドはレベル46
『HPが最大値の5分の1より多いとHP以外の全ステータスが10分の1になるけど5分の1以下だとHP以外の全ステータス10倍になる』スキルと『HPが最大値の5分の1までしか回復しない代わりにドレイン技を打てる』スキルを持っている。
HPは低いけど、2つ目のスキルのせいもあって他のステータスは常に10倍。攻撃するたびに回復するし、致命傷は『身代わりの鎧』が受けてくれる。
私、サーシャはレベル20
『敵のスキルをランダムに1つ見れるけどレベルが上がらない』スキルと『敵のスキル・ステータスを1つ的中させると攻撃を1回完全回避して跳ね返し、外すと自身にバステがかかる』スキルを持っている。
レベルは上がらないけど、解析役にはもってこいだし、相手の危険な技ほど跳ね返せる。
インテルはレベル72
『賢さの値だけ固定ダメージを与えられるけどスキルをこれ以上取得できない』スキルを持っている。
彼はスキルを一つに絞った代わりにレベルアップによるステータス上げに特化した努力をしていて、実はかなり頼りになる。固定ダメージはいろいろな防御スキルをすり抜けてダメージを与えられて、実はかなり強いスキルだ。
私たちは、ある魔物の討伐の依頼を受けて、ここに来た。
Aランクだし、やれると思った。
でも、結果は散々。
ブレイドの『身代わりの鎧』も壊れてしまった。
このままでは全滅、というところを助けてくれたのが、ジェリーだった。
ジェリーのスキル:【不死の代償】
【不死の代償】の効果:致命的なダメージを受けた際、復活する。このスキルはレベルがMAXの時でないと使用できない。また、このスキルが使用された際、レベル・スキル・およびすべての記憶がなくなる。
ジェリーは命の恩人。
だから、助けないと。
私たちAランクパーティが勝てなかった魔物——ダイアモンドドラゴンが、まだ近くにいる。