0_不穏なおしゃべり
アメリカ合衆国が世界で最も強大な経済力と軍事力を誇るのには理由がある。
物事を"正常に"進めるにはまずは下準備が必要だ。如何なる状況下にも情報は物事をより有利に進め円滑に計画を成すには必ず必要な行為がある。
「今回のアメリカ合衆国大統領選挙はウィリアム・リッジで決まりのようだな」
男は意味深な笑みを浮かべて日差しの効いた窓辺の椅子に我が身のふくよかな身体を預け、指には数万から数十万ドルもの大金を叩いて購入した高級リングをいくつも指に填めてどこか気だるげな態度でひじ掛けを撫でる。彼の前にはテレビに映り手を群衆に振る今回の大統領候補ウィリアム・リッジがソファに寛ぎ、男のデスクに置かれたPCから漏れ出るテレビ中継をつまみにワイングラスを口に当てた。
「知ってるか?1998年に謎の死を遂げた政治家ジョージ・ベンツェンはその日死体現場には本来いるはずがなかったと」
「ええ、もちろん。知っていますとも」
「誰かが手を回したのだろうな」
「ええ、どなたでしょうね」
アメリカ合衆国大統領選挙は一波や二波と毎度選挙には欠かせない"イベント"が発生する。今回も相変わらず人の"死"によって、選挙の流れが一変した。流石に人が死しても行われる選挙は稀ではあるが此度は誰でもない人間ではなくアメリカ軍の将官が幾人も急死したため世間には混乱が生じた。が、今では代わりが務め問題なく軍事は動き、"物事は正常に進んでいる"と言えるであろう。
「すべては"あなた"のおかげですね」
「ええ、私も欲しいものです。貴方のような有能な秘書を」
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