【400字作文】右と左と西と東
地球の自転が止まった……。
NASAは先日、地球の自転が停止したことを各国政府に通達した。
それに伴い世界は暗闇と明るみに二分された。日陰の世界では地上から熱が奪われ平均気温はマイナス20度を下回る日々が続き、日向の世界では一晩中降り注ぐ日光により地表温度が上昇し水源の枯渇をもたらした。
これを人類滅亡の危機とみたNASAはとある計画への協力を世界中の国々に呼びかけた。
彼らの計画は全人類が同じ方角に向かってその場で走って、人々が大地を蹴る力によって地球の自転を再開させようというものであった。この計画は発表当初、あらゆる方面から不毛な計画と強烈な批判を浴びた。
しかし、協力要請は数週間の時を経て世界中に波及した。
そして、今日の実現に至ったのである。
計画は残念ながら失敗に終わってしまった。
後になって計画実行中に大事件が起きていたことが判明した。社会主義陣営のうちの複数の国が、アメリカを代表とする資本主義陣営とわざわざ反対の方角に向かって走ったのだ。
この事件は国際問題に発展し、第三次世界大戦が勃発した。今思えばこれらの一連の出来事は全て神が我々に与えた試練だったのかもしれない。
人間はその愚かさゆえ、神の試練を前にしても一致団結することができなかった。それどころか、自ら破滅の道を選択し自身の手で人類史に終止符を打ったのである。