#1-5
「なに味にしようか今から迷っちゃうわね。今井くんは食べたい味があって行くのかしら」
「いつも同じ味にするんだ。チョコミント」
「あの歯磨き粉味のどこが良いの?」
「苦手な人は皆同じことを言うんだね」
好きな人にその物言いはないんじゃないの、と思ってしまう
それに人気の味なんだから、そんな風に馬鹿にしていると血の気の多い人に殴られるよ
「ところで…昨日と髪型違うね」
「え?あ、うん」
少し照れた様子で髪を触る
まだなにも言っていないんだけど
「その髪型も似合っているよ」
「ありがとう」
「唯は美容師を目指してるのよ。だからヘアアレンジが得意でアタシたちの髪もよくやってくれるわ」
「へぇ、すごいね」
「そんなことないよ。それに、練習させてもらってるの」
雰囲気で感じてはいたけど、大人しそうな子
でもパシリとかいじられキャラとか「そういう」わけではなさそうで、普通に友達っぽい
なんか意外
「じゃあ文化祭なんかは練習の良い機会だし、大忙しなんじゃない?」
「今年はそうなれたら良いな…」
これ地雷踏んだ
いじめられていたのを助けたとか、そんな感じかな
「楽しみだね」
「うん」
少しぎこちない笑みを浮かべる黄朽葉さんを見る田野さんの微笑みは、すごく優しいものだった