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青春代行課-今井歩の部活動青春  作者: ゆうま
軽音部編
49/75

#8-6

「第四回今井くん争奪戦、書道対決ー。どんどんパフパフ」


「今回は古典の授業で習字を書いたので、それです!」


「古典の授業で書いたのか。俺もやったな」


「なんでなんですか?全然意味分かんないんですけど」


意味の分からないものを対決にするってどうなの

別になんでも良いけど


「毛筆が昔の書くものだったからじゃないか?手紙を書くときとかに、筆を執るって言うだろ」


「言いませんけど」


「柿谷自身が言うか聞いてるんじゃねぇ、一般的にそう言うだろって言ってんだ」


「はぁそうですか。まぁ知りませんけど」


え、知らないの?

一般常識的にそれはどうなの


「終わったことなんで、分かんないなら良いです。それより先輩、決めて下さい」


目の前に出された2枚の半紙には「歩」と書いてある

正直ゾッとした


「直接対決には関係ないんだけど、先にひとつ聞いても良いかな」


「良いですよー?」


「書く文字は自分で決めたわけじゃないよね…?」


「柿谷さんならまだしも、私がそんな気持ちの悪いことするはずがないじゃないですか」


こんな勝負をしている時点で桃矢さんも大概だよ


「ちょっと!わたしならってどういうこと?」


「そのままだけど?」


「ストップ、ストップ。決めるから落ち着いて」


「これで勝負が決まるんですから、ちゃんと決めて下さいね」


初めて聞いたんだけど

引き分けの可能性もあるけど、どうするんだろう

でも今聞くのなんか面倒…

後にしよう


「分かったよ」


じっと見られると居心地が悪い

早く片付けてしまおう


「…左にするよ」


「私の勝ちですね」


「そっか…」


桃矢さんなら話しは通じるだろうし、適当な期間で別れることも可能だろう

ここは柿谷さんの手前付き合ったことにして、後日話しをしよう


「じゃあ今日は帰ります。行きましょう、今井先輩」


「え?」


こっちも駄目か…!


「明日文化祭の話しするから来いよ」


「はい」


付いて来たは良いけどなんで黙ってるの

が話しかけなくちゃ駄目なのかな


「今井先輩、私は特別貴方のことが好きではありません。勝負も柿谷さんに無理矢理やらされただけです」


「それなら…」


「はい、適当な期間付き合ったことにして別れましょう。…という言葉を望んでいますね」


なにそのトラップ!


「そうだね。僕は彼女を募集していないし」


「最初に言っていまいたね。私も絶対に嫌な人なら必死で勝負をしない方へ持って行くんですけど、「特別」好きじゃないだけなんで」


「それは…ちゃんと付き合いたいってこと?」


「少なくとも、柿谷さんに付き合っていると思わせている間はそうです」


それまでに好きになってもらえるように頑張ります。ってことかな

期間を決めて、それでに好きになれなかったと言えば素直に別れてくれそうではあるし、別に問題ないかな

その期間は付き合っているフリをすることは間違いないわけだし


「…じゃあ、1ヶ月くらいにしようか。夏休みの間に自然消滅、とか良くある話じゃない?」


「別れる気満々ですね」


「付き合い続けることに設定はいらないけど、別れるなら設定は必要でしょ?それだけだよ」


「そうですか」






                     ***






「なんだか振り回されてるみたいだけど、大丈夫か?」


「うん、大丈夫。多分もう解決したよ。心配してくれてありがとう」


「解決…したのか。本当か?いや、良かったんだけどさ。なにか困ったことがあるなら言えよ、俺だってバレない範囲なら手伝うから」


「うん、ありがとう」








「今井くん、昇降口まで一緒に行かないか?」


「うん、行こう」




「歩先輩」


「沙理ちゃん、どうしたの?」


「今日一緒に帰ろうって連絡したじゃないですか」


連絡なんて来てたかな

確認するのも面倒だし、適当に話しを合わせておこう


「ごめん、こまめにチェックする習慣がなくて見てないや」


「そうですか。友達と遊ぶんですか?」


「ううん、部活があるのかな?昇降口まで一緒にってだけだよ」


「なんだなんだ、付き合ってんのか?」


顔を見なくても声だけでニヤニヤしているのが分かる


「ま、まぁ…そんなところ」


「邪魔しちゃ悪いな。俺はさっさと退散する!ごゆっくり~」


「あ、ま、また明日ね!」


「明日は創立記念日で休みだ。デートしてろリア充」


角を曲がっていたのに、顔だけ出して返事をしてくれる

あのとき鼻歌なんて口ずさまなければ、クラスでの楽しい生活が待っていたんだろうか


「部活行きますか」


「外堀を埋めるの?」


本当は分かっていたけど、ジトーっと見てみる


「…付き合っていることをクラスメイトに自然に知られるようにしただけです。行きますよ」


どんな理由にしろ、これが優しさだと


「柿谷さんにクラスの友達はいません。でも私はいます。言葉にすれば些細な違いでも、後に大きな違いとなるものです」


「うん、ありがとう」


先のことは分からないけれど、少なくともこの1ヶ月間は絶対にこの優しい彼女を大切にしようと思った

L HAPPY END 1

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