#7-4
「第三回今井くん争奪戦、画力対決ー。どんどんパフパフ」
「今回は美術の時間に描いた風景画です!わたし、自信ありますよ~!」
目の前に2枚の絵が出される
1枚はほんの少し揺れている、誰も乗っていないブランコがメイン
奥に公園の出入口があって、子供が数人描かれている
もう1枚は公園の出入口をメインに、空を多く描いている
こちらに子供は描かれていない
描いているのは同じ公園だろう
「このブランコの方かな」
「どうしてですか?」
「少しブランコが揺れていて、子供が出入口にいる。誰かがそれを見ているってことは、帰らない子がいるんだよね。僕もそういう子だったから、親近感…かな」
「なんで友達と一緒に帰らないんですか?」
心底不思議そうな顔で聞かれる
「それぞれ事情があるからね、僕には分からないよ」
「先輩はなんでなんですか?」
こうして他よりも熱心に聞くのには、理由があるだろう
昔のことだし、他人だ
正直に言ってみても良いかもしれない
心配させないように、なんて言って、子供ながらに見栄を張っていただけなんだから
「そもそも一緒に遊んでないんだ。ひとりで公園に行って、遊んでいる風景を見ながらひとりで適当に時間を潰して、いかにも自分がそこに参加していたかのように母親に話すんだよ」
「あの子も…そうだったんですかね」
「どうだろうね」
「そうだよ。だから私の絵には人がいる。だから柿谷さんの「出入口に視線が向いた絵」には誰もいない。柿谷さんの前には誰もいなかったから」
なんとなく、そういう幼少期だっていう雰囲気がないわけではなかった
でも本当にそうだったんだ
「あっそ、これで勝った気になんてならないでよ。これはただの1勝だから」
「そうだね」
桃矢さんの笑顔はとても歪んでいた




