#7-2
「第二回今井くん争奪戦、裁縫対決ー。どんどんパフパフ」
「今回は選択授業で作った物なので物自体は違いますけど、綺麗さとか?そういう感じでお願いします」
目の前に黒色のブックカバーとフリルのついたピンクのクッションが置かれる
「あのさ…」
「どうしました?」
「…いや、なんでもないよ」
流石にすぐに分かるようなものを勝負にはしないだろうから、もしかして逆なのかな
知り合って間もないから2人のなにを知っているわけでもないし、どっちがなにを作ったのかなんて、僕には分からない
「ブックカバーかな」
「どうしてですか?」
近い…
「えっと…黒地にパステルってなんとなく好きで。糸だからあまり目立たないけど、お洒落…みたいな。縫い目も綺麗だし」
「だって、沙理ちゃん」
「驚いただろ。俺も驚いた」
「わ、私の趣味じゃないですからっ。妹に作ってって言われたから作っただけで…!」
別に慌てなくても良いのに
「僕は桃矢さん自身がこれを使うことになんの疑問も持たないよ」
「なんでですか」
逆になんで
「一般的に変だと思われてしまうであろう小太りのおじさんが使うとしても、僕はなにも思わない。人の趣味なんてどうでも良いじゃない」




