#1-4
「くっそー!今井くん強くない?」
「昔から得意なんだ。ひとりで遊ぶのに丁度良いしね」
小学生の頃から通い詰めて極めたからね
「これって対戦ゲームだよね」
「コンピューターのレベルMAXは倒し甲斐があるよ」
「え?!倒せるの?!」
にこやかに言うと、驚いた表情で身を乗り出して言われる
「8割くらいかな」
「見せてよ!」
目をキラキラと輝かせるクラスメイトに了解の返事をしようとすると、宇崎くんに遮られた
「7時だから帰るぞ」
「えー?1回くらい変わらないよ」
「そうやって10回やったことがあるのは誰だったか」
「分かったよ。今井くん、また今度見せてね」
友達と騒いで遊ぶような人種が19時という割と健全的な時間に切り上げるのは少し意外という気もする
「うん」
「今井くんさ、気になった女子とかいなかった?」
「えっ、まだ話したこともないのに」
「雰囲気とか見た目だよ」
「えー、うーん…」
「じゃあ2択だ。朝遊びに誘って来た田野と一緒にいたショートカットとロングヘアの子いただろ」
「うん」
正直あまり覚えていないけれど、いたと言うのだからいたのだろう
「どっちの方が好みだ?」
「強いて言うならショートカットの子かな」
「理由は?」
「ロングヘアって色々な場面で邪魔になるし、手入れに時間もかかる。だから効率主義なのかなって思って」
「…へぇ」
返答を間違えたらしい
「でも黒髪ロングのストレートは男子の永遠の憧れだよね」
にへら、と笑ってみせる
「だよな!」
「そういえば田野さんも髪が長かったね」
「俺がロングが好きだって言ったら伸ばしたんだよ。絶対俺のこと好きだろ!なのにいっつもあんな感じなんだ。なんでだよ」
話題を逸らしてくれたのかな
気を遣わせて、悪いことしちゃったな
「嫌いとか興味ないってわけではなさそうだよね」
「だろ!?」
「うん。だから、すっごくポジティブに解釈すれば「今更好きとか言いにくい」――んじゃない?」
なにも知らないからこそ、こんな無責任なことが言える
逆に、傍から見てどれだけ明白であろうとも、知っているからこそ明言することが出来ないこともある
僕に出来ることはこれくらいで、だけど僕にしか出来ないこと
そう言えるだろう
「………………………えっ」
顔を真っ赤にする宇崎くんを表現するには「可愛い」という言葉を使わずには不可能だろうと思う