#5-6
「急に…ごめんね」
「ううん、どうせ暇してたから」
「ひとりだと店員さんに声かけられたときに困るし…その、男の子の意見が聞きたいと思って…ご、ごめんね、服の買い物になんて付き合わせて」
そんなに恐縮されることじゃないと思うんだけど…
「大丈夫だよ、行こう。どこか見たいお店はあるの?」
「特には…」
「じゃあ歩いて気になったところに入ろうか」
「うん」
「付き合ってくれてありがとう」
「ううん、僕も楽しかったよ。少し休憩してから帰ろうか」
「え、だ、大丈夫だよ。これ以上付き合わせるのは悪いし…」
正直自分が疲れただけなんだけど
「実は限定フレーバーが飲みたくて」
これも嘘じゃないし、良いよね?
「あ、そ、そうなんだ。…行こっか」
案内された席に座ると意を決したように口を開いた
「あ、あの…なんでわたしの方に来てくれたの…?」
同時だったのは僕が先約優先であることを察していたから、恨みっこなしでとそうしたわけか
でもそれだと、まるで2人が僕のことを好きみたいだ
自意識過剰は良くない
「赤城さんは理由に察しがついたからね」
「え?」
「本の感想はいつでも話せるけど、きっと黄朽葉さんはそうじゃないと思ったから」
「え…えっと…」
なんで視線が泳いでいるんだろう
「黄朽葉さんが声をかけられそうな男子って宇崎くんぐらいかなって。でも宇崎くんと2人で出掛けるわけにはいかない。ってことかなって思ったんだけど、違ったかな」
「ち、違うよ…」
「じゃあどうして?」
「それは…その…」
別に責めてるわけじゃないんだけど…
「あ、赤城さんに言われて…」
「え?どういうこと?」
「その…誘う練習してるの見られちゃって…。自分も誘うから来たら告白したら?って…来たってことは少なくとも嫌いじゃないわけだから、願掛けになるんじゃないかって」
「こっ告白って…!?」
というか赤城さんのことは言って良かったの?
あ、そうか
振られたことになるんだし、事情を言うには明かすしかないのか
でも事情を馬鹿正直に言う必要なんてない
どういうことだろう?
「わたし…」
「あ、ま、待って」
言わせちゃ駄目だ
僕が言いたいんだ
「情けない話しなんだけど…、さっき言った理由で言っていないことがあるんだ」
「わたしの方に来てくれた理由?」
「うん」
本当に情けない話しだよ
「目的が分からない方に行くって、リスクがあるって考えると思わない?」
「そう…だね」
「でも黄朽葉さんが好きだから…良いかなって。笑い者になったって、自分にも目的があったんだって自分が知っていればそれでも良いかなって」
「ほ…本当?」
「うん」
「嬉しい…すごく、嬉しい」
へにゃりと笑った黄朽葉さんの笑顔を初めて見た
その笑顔を可愛いと思って、守りたい、失いたくないと思った
L . HAPPY END 4
帰宅部編クリア




