#4-5
「出掛けるの?休みの日なのに珍しい」
「今日は新刊の発売日だからね」
「外でやる趣味も見つけなさいよ」
「はいはい。いってきます」
「いってらっしゃい」
家を出たは良いけど、どこに行くか決めていなかった
どうしようかな…
駅中の本屋だと入荷の数に対して購入する人が多いかもしれない
近所に書店があったから、探索がてら行ってみようかな
なかったら取り寄せれば良い
「どうしたの」
「赤城さん、おはよう」
「おはよう」
自ら声をかけてくれたのは、恐らく僕がきょろきょろと辺りを見回していたからだろう
「この辺りに書店があると思ったんだけど、道に迷っちゃったみたい」
たはは、と苦笑いをしてみせる
「私も行く。付いて来れば」
「ありがとう」
「同じ本だったんだね」
「じゃ」
「待って」
「なに」
僕の視線が泳ぐのを見るとため息を吐く
「家どの辺」
「学校から北にほぼ真っ直ぐ歩いて10分くらい」
「じゃあ学校から5分くらいのコンビニまで行けば分かる?」
「うん」
どうやらそこまで案内してくれるらしい
ありがたい
「この道の1本あっち。じゃ」
そんなに近くだったんだ
「ありがとう」
歩き出していた背中に言うと、軽く手を挙げて返事をされた




