#3-5
*#2-3と同じ内容になります
「出掛けるの?休みの日なのに珍しい」
「今日は新刊の発売日だからね」
「外でやる趣味も見つけなさいよ」
「はいはい。いってきます」
「いってらっしゃい」
家を出たは良いけど、どこに行くか決めていなかった
どうしようかな…
確か近所に本屋があったと思うけど、場所が曖昧だし小さな書店だったから入荷しているか分からない
少し遠くて面倒だけど、安パイの駅中にしよう
「あって良かった」
「止めて下さい」
「良いじゃん、ひとりなんでしょ?」
よくやるよ
ってあれは…
「待たせてごめん」
「今井くん…!」
「チッ、男連れかよ」
すぐに立ち去ってくれて良かった
「あ、ありがとう…」
「どういたしまして。本物の待ち合わせ相手が遅れているみたいだね。来るまで一緒に待とうか」
「待ち合わせ相手はいないの。人が行き交う景色をただ眺めるのが好きで…」
それがなんの役に立つのかは分からない
けれど、僕が趣味としている読書だってなんの役に立たない場合もある
共感は出来ない
でも黄朽葉さんにとっては必要なことなんだろう
「そっか、普通は絡まれる可能性の方が低いもんね」
「うん。初めてでどうして良いか分からなくて…」
女性がこんなことに慣れなくて良い世の中になれば良いなぁ
「あ、あの…今井、くん…?」
知らず知らずの間に黄朽葉さんの頭を撫でていた手を慌てて隠す
「ごめん」
「ううん、大丈夫。あの、わたし帰るね。さっきはありがとう。また学校で」
「うん、また」




