#3-4
「今井くんはどうして美化委員にしたの?」
「図書委員との2択だったんだけど、本はいつでも触れられるから別のことをしてみようと思って。黄朽葉さんはどうして美化委員に?」
「あまり皆がやりたがらないから…」
押し付けられたってこと?
気が弱そうとは言え、カースト1位グループによくやるよ
「なにか他にやりたいことがあったんじゃないの?」
「あっても、わたしは美化委員を選んだと思う」
「どうして?」
「争いごとが苦手だから」
つまり例え渦中にいなかったとしても、その争いを見せられることになる
それが嫌だから
あくまでも自分のためってことかな
「そっか。カースト上位は自分勝手だとばかり思っていたけど、そんな人ばかりじゃないんだね」
「カースト…」
俯いてしまった黄朽葉さんの顔を覗き込む
「どうしたの?」
「そういうのよく分からなくて…。誰だって、ひとりの人間としてそこにいるだけなのに」
「それも正しいと思う」
「矛盾しない?」
「世界に正解は沢山あって、正解だと言った数の多い回答が正解なんだよ。だから矛盾しない」
正解は多数決で決められることが多い
それが明確に数えたものでなくて、空気感からくるものでも、「皆が言っているから正しい」と思ったのなら、それは多数決だ
「じゃあわたしは2人と友達じゃなくちゃ駄目だね」
「…それが多数決の結果なら、そうなのかもしれないね。でも、そんなの可哀想だよ」




