#3-2
「急でごめん」
「ううん、どうせ暇してたから」
「小説の話しが、したいと思って」
大方そんなところだろうとは思った
ただ、なんで少しもじもじしているんだろう
「そうだと思って色々持って来たよ」
「…察しが良い」
「でしょ」
赤城さんは結構読み込んでいて、随分話し込んでしまった
「あ、もう外が暗いね。帰ろうか。送るよ」
「うん」
「――あのさ、なんで私の方に来たの」
同時だったのは僕が先約優先であることを察していたから、恨みっこなしでとそうしたわけか
でもそれだと、まるで2人が僕のことを好きみたいだ
自意識過剰は良くない
「黄朽葉さんは目的が読めなかったし、行く理由がなかった。でも赤城さんは目的に察しがついたし、そうしたいと思った。それだけだよ」
「じゃあなんで私が誘ったと思う」
「僕と同じ理由だと思ったけど、別の理由があるの?」
大きく頷く
「黄朽葉に頼まれたから」
「え?どういうこと?」
「好きなんだって。でも自信がないから、来てくれたら告白する。だから協力して。ってこと」
全然「ってこと」とはならないよ?!
言って良かったの?!
あ、そうか
振られたことになるんだし、事情を言うには明かすしかないのか
でも事情を馬鹿正直に言う必要なんてない
どういうことだろう?
「言って良かったの?このまま帰ることだって出来るよね」
「頼まれただけで半日使うわけない」
「え、そ、それって…」
いやいや、違うよ
今恋愛の話しをしたから、そういう感じに思考が向いているだよ
「私も」
「あ、ま、待って」
さっき自分で否定したばかりじゃないか
でも、言わせちゃ駄目なんだ
僕が言いたいんだ
「情けない話しなんだけど…、さっき言った理由で言っていないことがあるんだ」
「私の方に来た理由?」
「うん」
本当に情けない話しだよ
「そうしたいと思ったのは、赤城さんが好きだから…っていうのが多分に含まれているんだよね」
「本当?」
「うん」
きゅっと手を握られる
「嬉しい。黄朽葉のこと好きなんだと思ってたし」
「なんで?」
「なんだかんだ黄朽葉のこと構ってた」
「嫉妬ってやつですか」
やっぱり、可愛いところもある
「うるさい」
握られた手が乱雑に離された
でも今度は僕がその手を握った
L . HAPPY END 4




