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ドゥームズ・デイ・クロック  作者: レグルス
聖組織編入編
3/16

新たなる旅立ち

 寥は普通の学園に通っている只の男子高校生だ。


 嘗て世界を救った兄の様に成りたいと願いつつも大した力も持たないし、能力者ですら無い。


 ただ、剣術を学び素振り等を繰り返して鍛えるので精々だった。


 今日も何時も通りに学園へ通う。


 朝礼が始まり、皆が席に着き静まりかえる。


 すると担任の教師は重々しく口を開いた。


「最近この近辺で、不可解な殺人事件が多発しています。皆さんも気を付けて下さい」


 尚、教育委員会は学園封鎖も検討しているとの事だ。


「やったー休み放題じゃん!」


「危ないから早く封鎖した方が良くない?」


 クラスの男子達は休める可能性が出来た事にはしゃぎ始める。


(殺人だなんて……絶対に許せない)


 寥はただ1人その犯人に対して憤りを覚えていた。


「それと、近々聖組織(エクスペリメント)の方が事件の調査に来るそうです」


 寥はその言葉に反応した。


 つまり犯人は能力犯罪者と言う事になる。


 寥は胸中で、一刻も早い事件の収束を祈った。



 そして、数日が経ったとある帰り道。寥は駐在所に勤務している数人の警察官の死体を目撃する。


 どの遺体も惨たらしく切り刻まれており、最早原形を留めて居なかった。


 その時だった。背後から不穏な気配を感じ取った寥は後ろを振り返った。


 気付くと其処には漆黒のローブで全身を包んだ5人の人影が佇んでおり、皆が血濡れた剣を手にしていた。


(ようや)く見つけた」


「七瀬の血を引く者……」


「悪いが死んで貰う」


 そして、男達は一斉に斬りかかって来た。


 寥はギリギリまで惹き付けてから、素早く姿勢を低くし、剣撃を躱す。


 急に標的を失った剣は互いにぶつかり弾き合った。


 男達はよろめき、その僅かな隙を突いて寥は男の1人を蹴り飛ばし、剣を奪った。


 そして剣を構え、男達と対峙する。


 しかし、実際に本物の剣を手にしてみるとかなり重量があり、思う様に扱えなかった。


 男達は先程の反省点を活かし、1人ずつ斬りかかり、連撃で攻め立てる様になった。


 寥は只その連撃を防ぐ事で精一杯だった。


 次第に腕が痺れ、体勢も崩れ始める。


「全く、こんなのがあの七瀬の血を引く者だなんて」


 何処からか声が聞こえ、気付くと美しい銀髪をなびかせた少女が目の前に立って居た。


 そして、回し蹴りの一回だけで男達を一蹴した。


「正直がっかりだわ」


 少女は振り返り、改めて寥を見つめる。


 その凛とした青い瞳は宝石の様に輝いていた。


「貴方が七瀬寥ね。うちの学園が貴方を特待生として迎え入れたいそうよ」


 少女は招待状らしき手紙を素っ気なく寥に突き出した。


 寥は其れを受け取り中身を読む。


「ー七瀬寥殿ー 汝を我が聖十字中央学園へ特待生としての入学を希望する。しかし、此れは危険な戦いへと足を踏み入れる事と同義である故、慎重に検討されたし。尚、我々は汝の意見を尊重するべきであると考えており、決して強制では無い事を了承して頂きたい。ー聖十字中央学園長飾槙 壮真(かざまき そうま)ー」


 寥にとっては願ってもいないチャンスだった。


 寥は躊躇無く承諾のサインを書き、少女に手渡した。


「貴方、本当に覚悟出来てるのね? 言っとくけど、さっき見たいな戦い方なんかじゃ話にも成らないわよ」


 少女はやや辛辣な言葉を寥に投げ掛ける。


 其れほど迄に危険な道だと言う事は、寥も覚悟していた。


「構いません。是非お願いします!」


 少女は何処までも真っ直ぐな寥の態度に呆れつつ、手を差し伸べた。


「フレデリカよ。一応宜しくね」


 寥は手を握り返し、挨拶をした。


 そして、身支度を整え、少女と共に新たなる舞台へと旅立つのだった。




 一方、人気の無い路地裏では寥を襲った5人が1人の少女の前に(ひざまづ)いて居た。


 少女は黒髪のツーサイドアップの髪型をし、制服の上から先端がギザギザした漆黒のマントを羽織っていた。


 外見年齢は、どう見ても男達より幼い。


「どう言う事かしら、此れは? 貴方達5人掛かりで只の人間1人殺せないなんて」


「申し訳有りません。ただ、聖組織(エクスペリメント)の学園生の妨害に合いまして……」


 少女は言葉を遮る様に、思い切り足踏みをすると共に、マントの先端を地面に突き刺した。


「は? 何? たかが聖組織(エクスペリメント)の候補生如きに負けたって言うの?」


 男達は畏縮し、黙って頷いた。


「ですが……」


「ですが? 何? 他に言い訳でも有る? 私は役立たず共の声を聞くのさえうんざり何だけど」


 少女は男達の方へ右手を突き出した。


 するとマントも彼女の手に合わせて動き、先端が男達の方へ向けられた。


「これ以上は時間の無駄だわ。貴重な私の時間を奪った"罪"。その身で償いなさい」


「まっ……待って下さい! 次こそは必ず……」


「失せろ」


 少女の言葉と共にマントの先端は鋭い漆黒の刃と成って、男達の首を()ねた。


 無惨に横たわる死体を見向きもせずに少女は足を(ひるがえ)し、その場を後にした……。

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[一言] (´°v°)/んぴッ フレデリカさんまじぱねぇ……
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