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運に寵愛された転換転生者【完結済】  作者: 大沢慎
第4章 獣人国編
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第78話 斬鉄剣・魔法斬り


 ソーマはマキナと丸眼鏡に経緯を説明するため、フィオナと共に二人が休む宿に戻った。

 現在は二人を起こし、ここまでの経緯を説明してフィオナを紹介したところだ。


「ふむ、してゴールドメイスの屋敷には未だ捕らえられている者もおるということじゃな?」


 フィオナ曰く、屋敷にはフィオナの他にまださらわれたと思しき者が数人いるとのことであった。


「ええ、でも私は魔族との取引のためか別室で少し特別扱いされてたみたいですわ。ほとんど顔は合わせられませんでしたが、残りは獣人だった気がします」

「なるほどのぅ。ではフィオナ殿を連れて突撃して残りの捕らえられてる者も救出出来ればゴールドメイスを人身売買の容疑で捕縛出来るのぅ。王国からの人員が揃い次第動きたいところじゃが……」

「そうだね、さすがに相手が多いとなると人手が必要だからな。武力行使に出る相手だけはこっちで無力化して、王国の人達にはどんどん捕縛してもらったほうがやりやすいね。フィオナさん、協力頼めるかな?」

「もうソーマ様ったら、フィオナと呼んでください。もちろんソーマ様達の為であれば協力など惜しみませんわ。それにしてもさすがソーマ様ですわね、パーティメンバーが揃いも揃って美人なんですもの、うふふ」


 フィオナは悪気のない笑顔を浮かべながら少し頬を赤らめている。

 その様子にソーマはげんなりし、マキナは興味なさそうにし、丸眼鏡は眼鏡にも劣らぬほど目を丸く見開いて口をぱくぱくとさせていた。




 翌日の午後。

 王国から派遣された騎士団及び官吏(かんり)合わせて10名と共にソーマ達はギルドの大会議室を借りてゴールドメイス一斉捕縛の手順を確かめ合っていた。

 王国からの派遣に加えて魔族と取引に向かった獣人が戻らないとあって、ゴールドメイス内は騒然としているようだ、と探知している丸眼鏡から報告が入る。


「うむ、捕らえている獣人も地下通路から逃すようだの。そちらは官吏一人と騎士団三人で対応をお願いするかのぅ」

「うん、もう時間がないからあとは手筈通りに。じゃあ行こうか」

「よっしゃ、殺さない程度に暴れてやらぁ!」


 三人はそういうと、フィオナと官吏を連れてゴールドメイスの門へと向かった。



「現在ボスは取り込み中ですので少々お待ち下さい」


 ゴールドメイスの見張りは緊張した面持ちで調査団に対して口を開いた。


「明らかに時間稼ぎじゃの、ちと手荒じゃが……」


 丸眼鏡は見張りの頭に礫弾を当てて気絶させると全員で突入した。

 屋敷内では既にゴールドメイスの面々が臨戦態勢を取っており、調査団に対して次々と剣や槍を持つ獣人が襲い掛かってきた。

 フィオナと官吏は主に丸眼鏡が守りつつ、ソーマとマキナで次々と掃討していく。


「そらそらどうした! 海賊潰しのマキナ様と渡り合えるヤツはいねぇのか?!」

「お前と渡り合える奴がこの中にいたらさすがにこの程度の規模でこんな商売してないだろ」


 派手に暴れまわるマキナとは裏腹に、淡々と礫弾と峰打ちで気絶の獣人の山を築いていくソーマ。

 そしてついにボスのドリアがいる間へと辿り着く。

 マキナがその入り口の大きな扉を盛大に蹴り破った瞬間、中から初めて魔法が飛んできた。

 ソーマと丸眼鏡は瞬時に結界と障壁を張る。

 襲い来るのは二属性複合の中位範囲魔法、炎熱嵐(えんねつらん)だ。


「お、炎熱嵐ったぁやるじゃねぇか! さすがにボスとなると魔法も使えるか!」

「うむ、ドリア殿。分かっておると思うが魔族との人身売買及びギガントタートルの闇取引、さらに今地下通路から逃しておる数名の誘拐容疑により逮捕する」


 ドリアの周りには数人の獣人達が剣を抜いて構えていた。

 その獣人達にドリアが檄を飛ばす。


「おいオメェら! 王国相手だろうが構わねぇ! 一人残らずヤっちまえ!!」


 その声と同時、出てきた獣人達の中に見覚えのある虎男をマキナが見つけた。


「あ? おめぇはあれだな、ギガントタートルの洞窟の入り口にいた……」

「……お、お前達は!!」


 虎男は思い出したのか突然狼狽える。


「おいジョー何やってる! うちで一番の強さ見せてやれ!!」

「あ? こいつがここで一番なのか? あたしらの威圧にビビって泣きながら命乞いしたこいつが?」

「う、うおおおおおお!!!」


 やけになった虎男が剣を大きく振りかぶってマキナに向かって突進する。

 マキナは喧嘩キックをその虎男顔面に叩き込んで吹っ飛ばした。盛大に吹っ飛んだ虎男はドリアの背後の壁にべタンと張り付き、情けなく地面に落ちて動かなくなった。


「で、さっき炎熱嵐ぶっ放したヤツはどいつだ? おまえか?」

「い、いけオメェら! 何やってる! 数で畳み掛けろ!!」


 焦ったドリアが手下をけしかけるも向かってくる敵を殴るわ蹴るわでぶっ飛ばしていくマキナ。


「く、くそぉおおおおお!!! 食らえ、炎熱嵐!!!」


 ついにドリアがマキナに手をかざし、詠唱を結ぶ。

 ソーマと丸眼鏡が結界と障壁を張ろうとするのをマキナが制した。


「お、待ってたぜ、守りは張んなくて良いからな! うぉらぁあ!!」


 マキナが目の前に躍り出ると、放たれた炎熱嵐に一閃、剣を薙ぐ。

 その瞬間、眼前を覆う程の炎熱嵐が消滅し、さらにはドリアの背後の壁に大きく剣線の跡が残っていた。


「斬鉄剣・魔法斬り! におまけの斬空剣! 見たか!」

「え……おまえいつの間にそんな技を」


 マキナは渾身のドヤ顔をソーマに向け、勝ち誇ったように剣を回して納刀音を響かせた。



 かくしてゴールドメイスはソーマ達によって根こそぎ捕縛され、馬車によって王都へと移送されることになった。


「ココネ様、この度はご協力ありがとうございました!」

「うむ、しかしこの後も大きな件が控えておるからの、三日後に動くゆえそちらも頼むのぅ」


 官吏はココネに敬礼すると移送用の馬車へと駆けて行った。


「とりあえずゴールドメイスは一件落着だね。あとは領主か」

「うむ、まさかゴールドメイスが魔族と繋がっていたとなると領主の立場もかなり危ういからのぅ。おそらくギガントタートルを横流ししていた金も受け取っておるじゃろうし」


 領主がギガントタートルの狩猟を規制してゴールドメイスにその狩猟を一任していたのだから、もしかすると領主も魔族と繋がっている可能性も捨てきれないな、とソーマ達は考えていた。


「にしてもマキナ、おまえいつの間にあんな技を……」

「あ? おまえが見張りやってる三日間でな! 不斬剣もあとちょっとのところまで来てるぜ!」

「マジかよ、俺も気合い入れていかないとな」


 マキナの伸びに焦りを感じ始めたソーマ。そのソーマの腕に何か絡まる感触が。


「あ、あのソーマ様、私はどんな稽古をすればソーマ様達のお役に立てますか?」

「のっ……のぉぉおおおおおお! や、やはり三角関係トゥオライアングルゥゥォアアアア!!」


 頭を抱えて取り乱す丸眼鏡を見て、ソーマは別の意味で頭を抱えながら、とりあえずくっついているフィオナを引き剥がすのであった。



いつもお読み頂きありがとうございます。

昨日日間ランキングで210位を頂きました!

んぬふぅーっ!!

評価、ブクマしてくださった方々、本当にありがとうございました!

そしていつもお読み頂いている方々も本当にありがとうございます!

現在165話まで書き上げており、物語は折り返したような気がします。

必ず完結させますので、是非完結までお付き合い宜しくお願い致します!

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