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運に寵愛された転換転生者【完結済】  作者: 大沢慎
第2章 元魔族大陸編
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第48話 妙なフラグを立てるんじゃない


 三人は第一層目へと転移した。

 そこは道幅5メートルほどの細長い洞窟になっており、先ほどと変わらずに薄暗く紫色に発光していたので、ソーマはまず灯篭を放った。丸眼鏡は「やはり火属性があると便利だのう…」と一人呟いている。


「あまりにも真っ直ぐで如何(いか)にも罠がありそうだな、とりあえず試してみるか」


 ソーマはそう言うと礫弾を放つも、何も反応しなかったので落とし穴の類を警戒し、さらに礫弾を転がすも、やはり反応は見られない。


「ふむ、わたくしの探知でも特に何も反応しませぬの」

「ってこたぁ何もねぇんじゃねぇか? とりあえず先進もうぜ!」


 マキナの言葉に一瞬考え込むソーマだが、これ以上は進まなければ分からないと思い、歩みを進めた。

 どうやらかなり長い直線の洞窟らしく、振り返って入口の壁が認識出来なくなってきた頃、突然小さな地鳴りと共に前方と後方から大量の魔物が襲ってきた。


「お、こういう感じか。ここで前後から来るってことはちょうど真ん中まで来たかな?」

「おいどうする?! かなり数が多いぜ!」


 マキナは弓を構えるもあまりの敵の多さに矢を射るのを躊躇した。


「んー、ここは俺と丸眼鏡さんの出番かな、わざわざ戦う必要もなさそうだ」

「うむ、賛成じゃの、ダンジョンの魔物は倒すと消えるゆえ、死体が積もり重なっていく心配もなかろう」


 ソーマの提案で丸眼鏡も察したのか、マキナと立ち位置を交代して前後に洞窟の広さと同じ地壁を作り上げ、三人の移動と共に地壁も一緒に移動させる。


「なるほどな、壁が破られねぇ限りは魔物が近づけねぇってわけだ」

「むむ、ソーマ殿の壁……まさか鉄かの。地属性魔法で鉄を出せるとは知らなかったのぅ。どれ……」


 丸眼鏡は早速自分の作った地壁の内側にもう一枚、鉄製の地壁を作り、強度を確認した後に外側の地壁を解除した。


(さすが練魔術師に魔術師スキル持ちだなぁ)


 ソーマはそんなことを思いながら地壁を進める。

 壁越しに魔物の大量の雄叫びが聞こえるも破ること叶わずにどんどん壁によって押し込まれ、壁の先は阿鼻叫喚となっていた。

 魔物からすれば数の暴力で前後から襲いかかるはずだったのが、逆に鉄壁が迫って押し潰されていくのだから堪らない。


 10分ほどそのまま進むとソーマ側が宝箱と次層のレリーフがある場に辿り着いたので、宝箱まで潰さぬようギリギリで地壁を解除し、残った魔物をソーマとマキナで掃討した。

 ちなみに丸眼鏡側の魔物は反対側に押し潰すと距離がどんどん遠くなって魔力消費が大きくなるので、相変わらず大量の魔物の雄叫びが聞こえている。


「あ! そういや宝箱の開け準備が決まってねぇな、一番大事なことを決め忘れていたぜ」


 マキナは宝箱の前で手をわきわきさせて目を輝かせている。

 彼女曰く、人生で最もワクワクする瞬間なのだから仕方がない。


「最初はマキナが開けて良いよ。その後は俺と丸眼鏡で、そこからみんな順番に回してこう」

「わ、わたくしはモブキャラゆえお二人で開けてもらっても構わぬ……」

「おいおい、いきなり一層目から役立っててあたしはなんもやってねぇのにそういうわけにはいかねぇだろ」

「……どうしたんだマキナ、強欲なおまえが宝箱を譲るなんて妙なフラグ立てるんじゃない」


 ソーマがそういうとマキナは「なんだてめえぶっ殺すぞ」と凄み、丸眼鏡は「フラグとはなんぞ? その妙に心ときめく言葉はなんぞ?」と目を輝かせた。

 宝箱を開ける順が決まったのでマキナは久しぶりのお祈りの言葉を口にして箱に手を掛けた。


「女神様、どうかあたしに最強の防具をお与えください!!」


 その様子に丸眼鏡は「なんぞ?!」と目を丸くして見ている。


「……あ? この宝箱あかねぇぞ?」

「魔神ダンジョンで女神に祈ったから魔神が拗ねたんじゃないのか?」


 マキナは「まさかよ」と愚痴り力ずくて開けようとするも宝箱はビクともしなかった。


「あんだよこれ! あたしの最強防具を出しやがれっての!!」

「とんでもなく禍々しい魔神の鎧とかが出たりしてな」

「てめぇはだぁってろ!!」


 マキナはもはや宝箱の上に乗って開け口を引っ張っているが、ソーマは「そこに乗ったら開くもんも開かないだろ」と冷静に突っ込んでいる。


「ふむ、もしかするとわたくし側の地壁の先にいる魔物も全部倒さないとダメなのかもしれんのう」

「あ、なるほどね。じゃあせっかくだしマキナにやってもらうか」


 二つ返事で了承したマキナは、丸眼鏡の地壁の先に火と風の二属性複合中位魔法、炎熱嵐(えんねつらん)を二発ほど放ち、丸眼鏡が地壁を消したのち、数匹生き残った敵に闇属性の矢を放つシャドウアロウを放った。

 シャドウアロウを受けた瀕死の魔物はみるみるうちに傷が消え、再度ソーマ達を襲い掛かる。


 一瞬たじろぐソーマとマキナだが、マキナは即座に風刃を放ち、ソーマは覚えたての光属性の低位攻撃魔法ホーリーアロウを放った。

 風刃で切り裂かれた敵は直後青の粒子となり、ホーリーアロウを受けた敵は瞬時に霧散する。


「なるほどね、闇属性の敵が多いってことか。光は逆によく通りそうだけど」

「はー、あたしの闇の加護ってAランクスキルが持ち腐れになるのかよ」


 マキナが恨めしそうにソーマを見ると、丸眼鏡がフォローする。


「そうでもないのう、マキナ殿が力が湧いてくると言っておったが闇の加護のスキルのおかげかダンジョンに入ってから全ステータスが1割ほど上昇しておる」


 マキナはステータスプレートを確認しながら「たしかにちょっと高い気がするな」と満足気だった。


「おっしゃ! 気を取り直して闇の加護持ちのあたしが一発目の宝箱開けるぜ!」


 そう言って祈りの言葉を口にしたのち、マキナは宝箱を勢いよく開けた。

 なんとそこには……。


「おい! 鎧が出た……けどこれおい……」


 禍々しい瘴気のようなものを纏った魔神の鎧が出たのであった。



いつもお読み頂きありがとうございます!

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しばらくの間、12時と19時の二話更新でお送り致します(^^)

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