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運に寵愛された転換転生者【完結済】  作者: 大沢慎
第7章 竜人族と光の神編
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第182話 抗争と制圧


 ソーマ達を乗せた船はゲイブレアの街へと近づく。

 光の神の民は上空と地上から攻め入っており、ゲイブロス派との激しい攻防が続いているようだ。

 どうやらどちらも光属性所有者が多いらしく、所々でホーリーアロウやホーリースピア、対物魔結界の魔法が見える。


「丸眼鏡、タケルはどこだ!」

「街の中心部で暴れまわっておる。地上と上空、どちらも相手取っておるようじゃ」

「街なら漁に出る為の船を止めてる桟橋があるゼ!」


 リュージの案内にソーマが船を操作し、桟橋へと舵を切る。

 かなり水飛沫を上げて進んでいるが、どちらの勢力も海など気にしている余裕がない上に認知阻害結界も使っているのでソーマ達には気付かないようだ。


 桟橋が見えてきた。

 ソーマは速度を急速に落とし、桟橋横にクルーザーを停泊させると、研究者達にそのまま動かないようにと伝えて街へと飛び出た。


「リュージ! 案内しろ!」

「おう、こっちだ!」


 リュージは竜の翼を広げて上空に舞い上がると、タケルの元へとソーマ達を先導した。

 光の神の民は突然のソーマ達とリュージの出現に驚いているが、ゲイブロス派の応戦も激しい為構っている余裕など無いようだ。


 街は木や岩の家屋がほとんどだが、煙が上がっているのは一部の家屋だった。火属性を使える者が多くないのが幸いしているのだろう。


 身体強化のスキルを得て上空を飛ぶリュージはかなりの速度で、ソーマ達も疾風と身体強化系スキルを使って追い掛ける。

 その間、フィオナは全員に歌のバフを掛け終え、目に付く負傷したゲイブロス派の民にはソーマと共に回復魔法を掛けていった。

 光の神の民は白の装束を着ているため、見分けが付きやすい。

 そうこうしているうちに、タケルが戦う街の中心部の広場へと辿り着く。


「おらタケル! テメェ何やってんだ!」

「リュージ! 待っていたぞ!」


 タケルが心底待ちわびたと言わんばかりの笑顔でリュージの方を振り向く。

 なんだかんだと街の実力者ナンバー2を自称することはある。その実力をタケルも認めているのだろう。


「おいおい、オレがいねぇとダメってかぁ?! まあオレ様が来たからに――ぶべっ!!」


 腕を組んで自信満々な表情で葉巻に火を付けようとしたリュージの背後から、光の神の民が槍でリュージの頭を殴る。


「ってえなゴルァ! テメエ人が話してる時に殴るんじゃねぇよ!」


 リュージは頭から血を流しながら自身を殴った竜人の胸ぐらを掴むと、そのまま地上に向かって思い切りぶん投げた。

 竜人はとんでもない速度で地面に頭から激突し、小さなクレーターを作って力なく倒れてしまった。


「ほお、これが身体強化の力ってヤツか、なかなか良いもんだな」


 想像以上に投げる力が強くなったのを確認したリュージは、満足そうに腕を回している。


「あいつ、槍の先で殴られたのに普通に怒っただけかよ……」

「へっ、タフさは一流ってか! おい竜人のにーちゃん! 助太刀するぜ!」


 ソーマとマキナは地上で襲い来る竜人達を適当にあしらいながら、タケルの元へと駆け寄る。

 タケルとリュージも上空で合流し、背を合わせるように守りあっていた。


「すまない、心強い!」

「うむ、今のところ長老殿の方は無事のようじゃ」


 丸眼鏡の言葉を聞き、タケルは安堵の表情を見せた。

 そこに、金色の長髪に黒銀の大太刀と防具を纏った、白装束の竜人が現れた。


「ふむ、ヒルコ様が仰っていたのはこの者達のことだな。ゲイブロス派が他種族と手を組むなど、にわかに信じ難いと思っていたのだがどうやら本当のようだ」

「おうおうコテツ様の登場かい、随分本腰入れてきてるじゃねぇか」

「ソーマ殿、こいつは私とリュージで受け持つ! そちらは他の竜人を頼む!」


 コテツと呼ばれた金髪の竜人と、タケルとリュージが上空で睨み合う。

 付近の竜人達も三人の戦いが気になるのか、様子を伺っていた。

 どうやらタケルとリュージが組んで戦わなければならぬほどの強者らしい。


(お、これはチャンスだな)


 ソーマは動きが膠着したのを見計らい、小声で丸眼鏡とフィオナにピアスを通して指示を出した。

 フィオナは指示に従い、タケルを含めたゲイブロス派に小さな声で歌のバフを掛けていき、丸眼鏡は光の神の民の四肢と翼をリキッドメタルを使ってミスリルの枷で拘束していく。

 上空を飛んでいた竜人は次々に地上へと落ち、地上の竜人達も立ってられずに倒れていった。


「ほう、変わった術を使う者がいるな? さすがは他種族と言った所か。グズグズしてる暇は無い、悪いが瞬殺して――」


 そして、コテツが何やら喋っている間にも丸眼鏡はオリハルコン製の球状監獄を瞬時に作り上げ、コテツを拘束した。

 内部で心眼系のスキルを使われて脱出されても面倒なので、丸眼鏡はすぐに動けぬよう監獄内を液体オリハルコンで密閉した後に硬化させ、口のところだけに通気口を小さく開けた。

 コテツを入れたオリハルコンの塊は大きな音を立てて地面に激突する。


「よし、マキナと丸眼鏡は二人で組んで光の神の民をどんどん拘束してくれ。俺とフィオナはゲイブロス派の竜人を順次回復していく。タケルは長老さんのところに行ってやってくれ! リュージは拘束した相手の竜人を見張ってて!」

「っし丸眼鏡ッち、あたしが無力化してっからそいつらの拘束頼むぜ」

「了解じゃ、殺さぬようにの」


 マキナと丸眼鏡は特に光の神の民が多い場所目掛けて駆けていく。


「フィオナ、東の桟橋からここまでの竜人は回復してきたから北側を頼む、俺は南側を回ってくるから、西で合流しよう!」

「分かりました!お気を付けて!」


 次いでソーマとフィオナも散会し、広場にはタケルとリュージが取り残された。


「あ、あの者達は一体……一瞬でコテツとその他の竜人達を無力化したぞ……」

「正攻法での戦いが強いだけじゃ勝てねぇってことじゃねぇのか? それよりテメェはさっさとババァのとこ行きやがれってんだ」


 タケルは未だに信じられないと言った顔で、長老の元へと飛んで行った。

 リュージはその姿を見送ると、コテツが入っているであろうオリハルコンの塊に腰掛け、満足そうな表情で葉巻に火を付けた。


「ったく……とんでもねぇ奴らのパーティに入っちまったゼ」



いつもお読み頂きありがとうございます。

本日小説タイトルと小説情報を変更し、第一話を修正致しました。

ストーリーに変更はありませんので、引き続き楽しんで頂けたら嬉しいです。

今後とも宜しくお願い致します。

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