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運に寵愛された転換転生者【完結済】  作者: 大沢慎
第7章 竜人族と光の神編
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第178話 マキナの賢王取得


 長老が解読を初めてから七日が経った。

 タケル曰く、まだ半分ほどしか進んでいないようだが、コツを掴んだようであと数日で大方解読を終えるとのことである。

 リュージはソーマ達との稽古が気に入ったらしく、初日から毎日顔を出しており、つい二日前からはすでにかまくら式住居で寝泊まりするようになっていた。


 ソーマ達は相変わらず稽古に励んでいたが、ソーマがどうしても気になると言うことで、昼休憩に全員の前で話をすることにした。


「で、気になることってのはなんだ?」


 マキナは肉を頬張りながら聞く。


「アマテラのダンジョンのことなんだけどさ、スキルを得られるって言うのと魔物でレベル上げ出来るって点でなんとかして行けないかなと思ってね」

「うむ、確かにSランクスキル一つ得るだけでかなり違うからのぅ。ステータスプレートを授かることが出来るのであればリュージ殿でも色々考察出来る上にレベルも上げられるのであれば、確かに行けるのであれば行きたいの」


 そうなんだよね、とソーマは丸眼鏡に同意し、リュージにタタガーナダが管理しているアマテラのダンジョンについて聞いた。


「ダンジョンは向こう側の山の真ん中くらいにあってよ、四六時中監視してるヤツらがいるはずだゼ。向こうもレベル上げはそのダンジョン頼りだからな、潰されたら困るんだろうよ」

「なるほどね。丸眼鏡、ここからでも監視状況って分かる?」

「うむ、ちと待たれよ」


 丸眼鏡は探知魔法を使ってダンジョンの様子を探った。

 どうやらゲイブレアから見てほぼ正反対の山の中腹に穴が開いた箇所があり、その入り口に二人、付近には10棟ほどの家屋が立てられており、20人ほどの竜人が滞在しているらしい。


「なるほど、向こうはどれだけ探知に優れてるんだろうね」

「おいおいソーマ、まさか乗り込むってんじゃねぇだろうな? なんかありゃ真っ先に疑われるのはゲイブレアだゼ?」

「うむ、認知阻害系の魔法を使えれば良いのかもしれぬが……ソーマ殿やフィオナ殿であればアマテラから授かる光巫女の加護のスキルを得られれば取得出来そうなものじゃが、順番が逆じゃしのぅ」


 ソーマ達が乗り込んだことがバレればゲイブレアに矛先が向くのは間違いない。

 結局、今は諦めるしかないと思っていたところでマキナが口を開いた。


「そもそも向こうのそのダンジョンは聖地復活のダンジョンなのか? ちげーなら聖地復活のダンジョン探せば良いじゃねぇのか?」

「んーどうなんだろうね。たしかに聖地復活ダンジョンが別にあるとしたら、レベル上げって面では良いかもね。でもステータスプレートは得られないし、クリアしてスキル授かるのは良いけど向こうのステータスが強化されると結果的にゲイブレアが危なくなるかな」

「あーなるほどな、ややこしいぜ」


 やはり今はアマテラのダンジョンに潜るべきではないと結論付けたソーマ達は、解読を待ちながら稽古に励むことにした。



 それから数日後。

 解読が終わると連絡があった日に、マキナがついに賢王を取得した。

 全員がマキナを祝福するために駆け寄ってくる。


「ついに賢王か。クラスチェンジを3回したのはマキナが初だね、おめでとう」

「うむ、これでパーティ内で最も火力のある魔法を放てるようになったと思うのぅ」

「へへっ、やるじゃねぇかマキナちゃん」

「おめでとうございます! 早くステータスプレート見せて下さいっ!」


 皆に祝福され、マキナは照れくさそうにステータスプレートを出した。

 丸眼鏡も皆に見えるよう、ムフフの本を出してステータスや新たに取得した魔法を記していく。


――――――――――

名前:マキナ

職業:闇の大魔賢騎士(闇の魔術師→闇の魔剣士→闇の大魔導騎士)

レベル:60


・ステータス

(世界樹の復活により全ステータス10%アップ)

(魔神神殿の復活により全ステータス10%アップ)

(クラスチェンジ1によりHP、ちから、ぼうぎょが10%上昇)

(クラスチェンジ2によりMP、ちりょくが10%上昇、全ステータス5%上昇)

(クラスチェンジ3によりMP、ちりょくが20%上昇)


HP 485(D)

MP 855(S)

ちから 489(D)

すばやさ 578(A)

ぼうぎょ 471(D)

ちりょく 848(S)

こううん 433(D)


こうげきりょく(近) 2489

こうげきりょく(遠) 1689

ぼうぎょりょく 1081


・取得魔法


高位魔法

攻撃 風破剣(1)…強力な風属性を剣に付与する


超位魔法

攻撃 灼熱覇王砲(1)黒炎龍王砲(1)

――――――――――


「おー、職業が闇の大魔導騎士から闇の大魔賢騎士に変わったね。MPとちりょくが20%上がって、さらに面白そうな魔法も覚えてる」

「うひょー! まーたカッコ良さそうな魔法覚えたな! おいリュージ、お前受けてくれよ!」

「おいおい冗談じゃねぇよマキナちゃん、いくらオレがタフだからって下手したら死んじまうだろ」


 マキナは神滅竜砲の構えを真似してリュージに向かって撃とうとするも、リュージは勘弁してくれとすかさずソーマの背に隠れた。


「でもせっかくですし見てみたいですわね」

「うむ、壁にでも放ってみたらどうじゃ?」


 フィオナと丸眼鏡の言葉に気を良くしたマキナは、早速皆を背にして壁に灼熱覇王砲と黒炎龍王砲を一発ずつ放った。

 やはりリュージの神滅竜砲のようにマキナは両手を前に出して撃ち出すと、灼熱覇王砲は灼熱天柱をビーム上に水平に放てるような魔法で、黒炎龍王砲はその火と闇バージョンのような魔法であった。


 今まで灼熱天柱はパーティの切り札として何度も窮地を切り抜けた魔法だが、一つだけ欠点があるとすれば放った場所から上空に立ち昇る、名前の通り柱状にしか放てないという使い勝手の悪さであった。


 しかし灼熱覇王砲と黒炎龍王砲に関しては任意に相手に向かって放てる上に、マキナは縮地もあるので超至近距離からそれらの超高火力魔法をぶっ放すという反則級の戦略を組める。

 こと対人戦においては縮地と組み合わせれば、いつどこからどのタイミングで一撃必殺の超位魔法が飛んでくるか分からないという、とんでもないアドバンテージを得ることになった。


 風破剣に関しては実際に丸眼鏡が作り出した鋼鉄の柱を紅竜刀で斬ってみた。

 以前ソーマが越理の剣を用いてマキナと鉄柱を斬り比べた際、マキナが鋭い切れ味で綺麗に両断したのに対し、ソーマはまるで鈍器で引き裂いたかのように切り口がぐしゃぐしゃにひしゃげていたことがあったが、風破剣も似たような効果をもたらした。


 神速の剣撃は剣閃の跡が真空状態を引き起こし、ともすれば肉体を斬った後に傷口が真空に引き寄せられ、斬ったのに切断面がピタリとくっ付くということが起こる。

 これに不斬の概念を付与したものが不斬剣なのだが、風破剣はその剣閃で作られた真空を乱し、まるで風で破砕するような流れを作り出す魔法である。


 例えば手足のような細い部位を風破剣で切断すれば、小さな切り口を大きく開いたり、綺麗に切断しないことによって回復魔法による結合を不可能にしたりということが可能で、有用な魔法と言えよう。


「丸眼鏡が賢王取った時も滅茶苦茶強くなって驚いたけど、やっぱマキナも賢王らしくとんでもなく強くなったね」

「うむ、わたくしは非戦闘時と対多人数戦や補助方面じゃが、マキナ殿は強力な個に対して有効じゃの。現状パーティで最も足りてない大火力を手にしたと言うのは大きいのぅ」

「お願いですから模擬戦で今回取得した魔法使わないでくださいね」

「ああ、オレもフィオナちゃんには完全に同意だな」


 ソーマと丸眼鏡がパーティの戦力を大幅に上げたマキナの賢王取得を喜ぶのに対し、フィオナとリュージはあいつなら熱くなって模擬戦中に撃ちかねないぞと戦々恐々としていた。

 マキナはそんな二人に、勝者の余裕を見せつけるように言う。


「わーってるって、仲間に撃つほどバカじゃねぇよ!」


 しかし二人は全く信用出来ないのか、フィオナはジト目で、リュージは腕を組んでマキナを睨んだ。


「おい、恋愛バカに筋肉バカ、お前らにバカって思われるのは心外だぞ」

「あら、前に私との模擬戦で灼熱天柱撃ったバカはどちらさんでしたっけ?」

「おいおい、力は正義だろうがよ、貧弱な力で嫉妬しちまうからってそりゃねぇんじゃねぇのか?」


 三人は「やんのかぁ?」とか「上等ですわ」とか言いながら、模擬戦をする順番を決めるためにコイントスを始めた。

 そんな三人を横目で見ていたソーマと丸眼鏡は、若干呆れている。


「まあ、ああやって闘志剥き出しで模擬戦やってるうちに軍神の覇闘気とか取っちゃいそうだし、俺も早く剣王取れるように頑張るかな」

「うむ、わたくしも杖術藩士と覇王の豪闘気を取れるよう稽古を続けるかのぅ」


 じゃあこっちはこっちで模擬戦やりますか、とソーマと丸眼鏡は隅で模擬戦を始めるのであった。



いつもお読み頂きありがとうございます。

以前からずっと思っていたことですが、今週中に小説のタイトルを変えようと思います。

それに伴いまして、第一話と小説情報を若干修正致します。

それ以外の部分に関してはほとんど修正致しませんのでご安心ください。ストーリーにも全く影響はございません。


変更に至った経緯ですが、実は書き始めた当初はタイトルなんて何でも良いかと思っていた節があり、とにかく王道なろう系ファンタジーを書きたいという理由で、今から見ればかなりテキトウにタイトルを付けておりました。

それから多くの方々に評価・ブクマや感想を頂き、レビューを頂き、毎日読んで頂いている中でランクインを果たし……僕自身も作品への思い入れや愛が深まっていく中で、どうもタイトルと小説の内容がしっくりこないという状態になっていきました。

実際の所スキルガチャ要素が一話にしか出てきませんし……。


ということで、新たなタイトルは現状では「運に寵愛された転換転生者」を予定しております。

設定としては転生の際に神が一つのステータスの正負を転換出来るというもので、ソーマの悪運を幸運に転換するというものです。


急なことで大変申し訳ありませんが、何卒ご容赦下さい。宜しくお願い致します。


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