1章 鹿と馬
1、日本は孤立した。海外とは行き来や連絡が取れず、完全なる鎖国状態となった。
2、たくさんの不思議な現象が起こった。各都道府県に階段が現れ、どこにつながっているのかは、不明だった。階段の入り口にⅠ~Ⅴの数字が書かれている。
3、不思議な生物が発生された。人語を話し、敵意はないようだ。生物は適正者を探しているらしい。不思議な生物は動武と言う。
4、ステータスを見ることが出来るようになった。基本は自分自身でしか確認ができない。
5、不思議なプレートが発見された。ステータスが表示できる物だ。プレートは神機と呼ばれる。
6、動武は適正者が見つかると従者となる。従者になった生物は変化できるようになるらしい。
7、動武はランクがある。Ⅰ~Ⅴとなっているらしい。Ⅰから上がる動武もいれば、最初からランクが高い動武もいる。ランクが高いほど、強力らしい。
8、動武は階段の先にある宝を探している。宝を全て持ち帰れれば、日本はこの状態から解放されるらしい。階段の先は迷宮と呼ばれている。
9、日本は、この状態から解放されるよう迷宮を攻略するための協会を作った。適正者協会。
10、適正者協会は適正者を多方面で援助できる体制をとっている、また、迷宮内には様々な道具があることから、それの買い取りやその他依頼を出していたりする。適正者向けの企業も数多く参入し、日本はかなりの先進を果たした。
以上が1年前に日本に起こったことだ。
とあるゲームがそのまんま現実に起こったようで当時は興奮した。
ただ、適正者にならなければ迷宮に入ることすら出来なかったので、どうにか適正者になろうと動武を探して歩き回ったのだが、動武に出会っては適正ではないと言われる日々。
数多くの動武に適正ではないと言われたので、もはや、適正である動武は存在しないのだろう。
高三である当時は自分は適正者になるのだと思ってしかいなかったため、就職活動もまともにせず、適正である動武を探し続け、卒業してしまった。
適正者になれていない今はただの無職だ。そしていつからか探す熱も冷めてしまい、家族には探しに行くと出て行っては公園のベンチで時間をつぶす毎日だ。家族には働けとは言われないものの、かなり居心地が悪い。
「さすがにそろそろあきらめて就職するしかないよなぁ。」
俺は誰に言うでもなく、独り言を発していた。
「そうだなぁ。俺も適正が見つからないんだよなぁ。」
「・・・ん?」
そこには小さい馬?のような動武が宙に浮いていた。