ビョウドウ・バンザイ~凡人の凡人による凡人のための世界
ほらほら、こぼれるよ。
ちゃんと飲んで飲んで。
おお、いいね。ほらほら、ぐっとぐっと。かけつけ何杯ってやつだ。ほら。
なあ、つくづくさ。
今の世の中って、本っ当に平等でスバラシイ!と思わないか?
…なにそんなぽーっとした顔してんの。おまえも学校で習ったろ。
平等だよ、ビョウドウ。
ええとなんだっけ「本質的!平等!」だっけ。憲法にも書いてあるんだ。
ケンポー知ってるか?凄いんだぞ。何が凄いか知らないけど。
おまえみたいに、立派な人間がさ、知らないとかないでしょ。なあ。
例えばさ、不倫ってあるだろ。
法律にさ、不倫はしちゃだめだ、って書いてあるんだよ。
…なんでビョウドウから不倫なんですかぁ?
うるさいな。いいから聞けって。
おまえ、結婚してる?
ああ、してない。
うん、そうだ。お前は結婚してない。
うんうん。まあまあまあ。
不倫した?ん?あー、結婚してないんだもんなぁ。できないよなぁ。
それじゃわかんないかー!かー!
一回してみ?結婚しないとできないけど(笑)
もちろんバレるように。
そうじゃなきゃ面白くないんだ。
するとさ、裁判とかなっちゃうわけ。
不倫したから、離婚とか請求されちゃうのは、まあわかるんだけどさ、
愛が消えたんだし(爆笑)
それだけじゃなくて…それだけじゃなくてさ。
お金とか要求されちゃうんだよ。300万円とか。
いきなり払える?300まん。ああ、払えるの。
お金もってるねおまえ。ああ、くそ。
でもさ!ね!これすごくない?
よその女の子と、一回ヤったから、おまえは300万円はらえ!って。
びしっとした裁判官様がさ、命じちゃうの。びしーっと命令しちゃうの!
もうおかしくて!
これってバカバカしーって思うけど、
超々平等をがんばっちゃったんだなーって、思うわけよ。
裁判官様が、一発やったから300まーん!っていって、
そんなんはらえませーん、って男が泣きを入れるくらい、頑張った!
人類頑張っちゃった!
だってだって、そもそもさ、男と女なんてさ、
一緒にいたいから、いるわけ。
男としてはさ、たくさん自分の遺伝子残したい。
女はさ、優秀な遺伝子がほしい、ってのがふつーの動物なわけ。
だからさ、男っていうか、オスとしてはさ、
本能っていうか、遺伝子レベルでいろいろなメスとしちゃいたいわけよ。
で、女ね。メスもさ、自分が捕まえたオスがハズレだったら、
違うオスとしたくなってふつーなわけでしょ。
もっと強くてさ、優秀な遺伝子もらわないとって。
こんなハズレの子ども産んだらアタシやべーって。
するとどうなるってさ、動物だと大部分のオスは、
メスなんて手に入らなくなるのがふつーなんだよ。
ライオンとか、アシカの群れとかさ、
勝利した優秀なオス一匹が、メス10匹とかゲットしちゃうよ。
残りの負け犬…じゃねぇな負けライオンか。
そいつらもう子孫とりあげ。お家断絶けってーい!しびれるー。
そこでさ、凡人…じゃねーな凡ライオン9頭がさ、
「おれたちにもメスわけてくれぇ」て決めたのが、
一夫一婦の、近代的で!平等な!結婚制度ってわけじゃん。
誰も負けないように、って、平等の根幹なんだって思うよなー。
勝つための仕組みじゃないんだよ。
負けっぱなしの惨めなやつの恨みがさ、平等を育てたんだよ。
マイナスパワー!いえー!グレート!
劣ってるヤツでもさ、これなら結婚できるんだよ。
同数メスがいるんだから。
一匹とったらもう他が取れないでしょ。
最後はあまりもの同士かもしんないけどさ。気にすんなって。
もうこれで、寂しくない(爆)みたいな!(爆笑)
だからさ、現代って、平等で、みんなで幸せになれるんだ。
これって、すげーよ。
平等バンザーイってなもんだ。なぁ?
◇
あ?なんでこんな話すんのかって?
そりゃおまえ、
こんな弱者救済ルールで、
負けてるおまえってなんなの?おミソ?
っていうためだよ。
お読み頂き、ありがとうございました。
…すみません。
あくまでフィクションです。はい。
こちらと違い、読後感の良さでご好評いただいておりますメイン作品
「辰巳先生の国語科授業」もどうぞよろしくお願いします。(営業かよ