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バカ大学生創一シリーズ

バカ大学生創一シリーズ③~ちょっと思い付いた事~

作者: 砂臥 環

バカ大学生創一シリーズ、誰も待っていない第三弾。


《ざっくり登場人物照会》

創一……主人公の馬鹿大学生。名字なんだっけ……


真実……『しんじつ』と書いて『まこと』。名字は財前。


根岸……あだ名は『ネギ』。

「ちょっと思ったんだけどさぁ……」


 創一はいつものようにアパートの自室でゴロゴロしながら、レポートに勤しんでいる真実に声を掛けた。

 このレポートは創一もやらなければいけないものであるが、真実が真面目に行っているのに対し、彼は「休憩、大事!」などとのたまい、ちょいちょいゴロゴロしたりダラダラしたり、挙げ句、ゲームのレベル上げの方に勤しんだりしていた。

 休憩時間の方が明らかに長い。


 ただし、これはいつもの事なので真実は気にしていない。

 レポート〆切直前になって、夏休み明け直前ののび太かカツオかまる子の如く彼が慌てるのもいつもの事なので、それも真実は気にしていない。


 そして「ちょっと思った」の後に続く話が、大概くだらない内容であるのもいつものことだ。


「『リア充爆発しろ』って攻撃の決め台詞みたいじゃね?」


「……あ?」

 やっぱりくだらない内容だった。

 ……そう思いながらも真実はレポートを書く手を止めた。


 創一の話に反応したと言うよりは、丁度キリが良かったので煙草休憩をとることにしただけだ。

 そうは言っても真実も創一のくだらない話が嫌いではない。

「なんだそれ」

 真実はそう返事をし、鞄からごそごそと煙草を漁って炬燵の上に用意する。


 創一の巣と化したこのアパートの間取りは1DKで、6畳の和室と4畳のダイニングキッチンが格子の硝子戸で間仕切られており、風呂とトイレは別。

 少し古いが、創一には勿体ない物件だ。



 冬になったので創一は炬燵を持ち込んでいる。炬燵は彼の怠け癖に拍車をかけたが、それはまた別の話。



 真実は電気ポットに水を入れにキッチンに行き、二人分のマグカップを持ってくると炬燵の自分の位置へと戻った。

「……で?」

 電気ポットのプラグをコンセントに挿しながら、話の続きを促す。

「いや、何気に響きがカッコイイかなって。例えば」


『溜めてみる』。文章で表記するところの『……』を入れてみる。


「――リア充…………爆発しろ!」


 いつもより若干低い声を出し、L字形に作った指を顎に当てながら創一は言った。

「ほら!一気に『仕置き人風』になったろ?!」

「…………」


 くっだらねぇ。


(流石創一だ。予想を裏切らない、創一クオリティ。小学生か)

 真実は素直に感心している。『小学生か』 は寧ろ誉め言葉と受け取っていただきたい。

「ちなみにポーズも大事だ」

 今度は人差し指と中指を額に当てて、逆腕は肘に付けるというポーズをとる。

「…………リア充……爆発しろ」


「…………」

「……どうだ?!こうするとまるで『少年漫画のトドメシーン』を彷彿とさせるだろ!!」

 勿論主人公のバックには爆煙だ……と付け加え、やはりいつものように創一はドヤ顔でキラキラと瞳を輝かせながら言った。


 ――――完全に『リア充』、敵じゃねぇか。


(さしずめ『リア獣』と言ったところか……)

 そんなことを思いつつ真実は煙草に火をつけ一服すると、それでも創一の話に適当に乗ってやる。彼は調子づかせた方が面白いからだ。

「『俺達の闘いはこれからだ』的な煽り文が想像できるな」

「だろ?!」


 案の定調子づいた創一は

『月に変わってお仕置きよ!』のポーズ(ウインク付き)で

「リア充っ、爆発しろ☆」

 と言ってみたり、

『カーメーハーメー波ー!!』のポーズで

「リーアー充ぅぅぅ……爆発しろぉぉ!」

 と言ってみたりと、くだらないことを色々やった。


 そして案の定彼はレポート〆切前日に、焦ることになった。


 レポート〆切前日、真実は差し入れにコンビニでプリンを買い、創一にソレ渡すと直ぐに立ち去ろうとした。

「えっ?!帰っちゃうん?いーじゃん!手伝ってよ!!」

 必死に懇願する創一を可哀想な子を見る眼で一瞥するも、真実の答えは『否』。

「悪いけど、俺……これから誘われてて……合コンに」

「!!」


 合コン……だと……?!


 聞き慣れない単語に創一は驚愕し、耳を疑った。

「相手はっ?相手はどこの誰よ?!アタシを差し置いて!?」

「うわ、キメェ。お前は俺の何だよ?」

 何故かオカマの様な口調で創一は真実にすがり付いた。合コンが羨ましく、妬ましいのだ。

「あー……なんだっけ?東方女子短大?なんかネギの後輩とか」

「ネギ!何故俺を誘わん?!」

 ネギこと根岸君は創一にも声を掛けようと思ったのだが、日付けがレポート〆切の前日だったのでやめたのだ。

 つまり、創一の日頃の行いが悪いわけであり、根岸君に罪はない。


「じゃあ……レポート頑張れよ」

 そう言い残して部屋を出る真実の背中に創一は悲痛な叫びをぶつける。


「このリア充がっ……爆発しろおぉぉ!!」


 ……正しい使い方だった。

閲覧ありがとうございます!


創一の名字、山田でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「リア充爆発しろ」の正しい使い方を体をはって実演してくれるとは……! この2人の漫才、ほんと楽しいですよね。 今回のこれは特にツボにはまりました。
[良い点] >「相手はっ?相手はどこの誰よ?!アタシを差し置いて!?」 ごめんなさい、まぢで私いってました (゜∀゜)アヒャ~♪ (←記憶ありw) [一言] おさ~んて35を超えるまでだいたいこんな…
[良い点] ①から③まで読みました。 作者さまが主人公を好きなのか嫌いなのかはっきりわからない点がとても新鮮に感じました。 自分は嫌いな人間を書くのが苦手だからだと思います。 いつもながら潔く、小気味…
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