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召喚獣のお医者さん  作者: 梶木 聖
⑶ 王都ローレリア
58/62

58.資料室と雨

 ポツポツと硝子(ガラス)に当たる水の音がする。


 教会の資料室の小さな窓の外では、どんよりと厚く立ち込める雲からあまり強くない穏やかな雨が降り続いている。

 夜中に降り出した雨は次に日付が変わるまで止まないはずだ。


 これは予報ではなく、予め決められた事実(・・)なのだ。


 レオは資料室の床に行儀悪く胡座(あぐら)をかき、膝の上に資料を広げ本棚にもたれて座っていた。

 資料の解読に熱中していたせいか少し目の奥が痛い。

 疲れた目を休ませるため少し高い場所にある小さな窓を見上げ、雨を眺めながらひとりため息をつく。


「本当に予定通りなんだな」


 レオは朝一番に王国軍本部の直属の上司へ数件の報告書を提出した後、今日もセントラル教会の資料室で様々な年代の資料を漁り続けていた。


 正確に言えば、聖女の歴史書の第3章に記載されている、かつてクレムポルテ王国に存在した11人の聖女と同じ時期の神官たちの日記や各種の記録だ。


 聖女を主題とした資料は、資料室内をいくら探しても、レオの借りた聖女についての歴史書と聖女アメリアの世話係の日記だけだった。

 しかし、国家として保護をしなければならないほどの大きな力を持つ聖女だ。いくら戦争で情報を秘匿するために資料を焼き払ったとは言え、日々の記録等に聖女について一切言及されていないとは思えない。


 特に聖女は神々が選定する存在であるため、ガイア教との関連が非常に強い。それならば歴代の聖女も教会で保護され、ガイア教の神官たちと深く接していた可能性がある。したがって、神官の日記や記録には聖女について何か触れられているのではないかとレオは推測したのだ。


 結果としては大当たりだった。

 はっきり「聖女」とは書かれていないものの、各年代の資料には、それぞれの聖女の個人名に絡めて様々な事象が記録されていた。


 この雨についてもそのひとつだ。


 聖女が誕生するとその国では天候が安定すると言われているが、それは単純に災害が起こらないという意味だけではなく、9日間晴れた後、丸1日雨が降る、という10日周期できっちりと天候が変動するようになるらしい。

 そして、今日がユーヒメ像が光り始めた日、つまりトモカが誕生したと思われる日からちょうど10日目だ。

 おそらく今日は夜まで雨は止まない。


(ま、予め天気が分かってりゃ予定が立てやすくて良いよな)


 もちろん通常でも、夕日が赤くなれば翌日は晴れるとか、ツチネズミを外で見かけたら翌日は雨が降るとか、ヒカリキツネの光が青っぽくなると雪が降るとか、そういった昔から大陸に伝わるよく当たる言い伝えはあるのだが、それはあくまでも不規則な天気を予想しているだけだ。天気の方が予め規則的に決められているのとは訳が違う。


 レオはしとしとと心地よく響く雨の音に癒されながら、引き続き資料に目を落とす。


(このあたりは……血の鎖のことなのか?)


 ただでさえ古い時代の言葉であるため読みにくいのだ。しかもあまりはっきりと言えない事柄が多いせいか、解釈に苦労する言い回しが多い。


 レオが悩みながら読んでいると、ガタン、ギイィィと扉の(きし)む音が資料室に響いた。続いて聞こえてきたトントンと軽く跳ねるような不思議な足音は、間違いなくトモカだ。

 レオが座っている場所からは本棚が死角となって幸い入口の方は見えない。


 レオは少し微笑むと、音を立てないようそっと資料を本棚に戻し、本棚を陰にしながら進んでトモカの背後に回る。トモカは乳白色の女性神官用の服を着ているようだ。

 トモカが通り過ぎた所で後ろからガバッと抱きしめた。


「ひぎゃっ」


 驚いたトモカがおかしな声を上げる。レオは笑いを噛み殺した。


「ククッ変な声」

「レ、レオ! 後ろから驚かせるのやめてよ!」


 トモカは顔を真っ赤にして怒っている。ローブの後ろから飛び出す白い尻尾の毛が膨らんで太くなっているところを見ると、本気で驚いたようだ。

 レオはトモカを軽く抱きしめ、トモカの頭に顎を乗せたまま謝る。


「ごめんごめん、今日の講義終わった?」

「うん終わったよ。でも復習しないと覚えられなくて……」

「オレももう少し資料読むし、ここで一緒に勉強する?」

「ふふ。そう思って、ピーターさんに借りた本持ってきた」


 トモカは少し恥ずかしそうに微笑み、腕に抱えた本を見せてくれた。貴族の10歳くらいの子供が読むような挿し絵の入った簡単な物語だ。おそらく文字を読む練習のために借りたのだろう。


「じゃあこっち来て」


 レオは身体を離すとトモカの背中に手を回し、さっきまで自分が座っていた場所に誘導する。


「そこに机もあるんだけど、オレ床に座った方が集中できるんだよね。トモカは机を使って?」

「ううん、私も床に座る方が好き。……それに、レオの近くにいたいし」


 その言葉を聞き、レオはバッとトモカを見下ろした。トモカは俯いており表情はよく見えない。

 ガツンと心臓が跳ねた。

 トモカの方から自発的に明確な好意を示す言葉を発してくれたのは、これがはじめてだった。


「分かった、じゃあ近くにいようか」

「……ん」


 辛うじてなんでもないフリをしてそう答えると、トモカが白い耳の内側をほんのり赤く染めつつ頷く。やはり自分から言うのは恥ずかしいようだ。


(ヤバい可愛い何これ)


 レオはぎゅうっと苦しくなった胸を手で押さえる。空気が薄くなったかのように呼吸が早くなった。

 普段のレオであれば「なんなら膝に乗せてあげようか」などと軽口を叩く余裕もあるのだが、今はそんな余裕さえない。

 果たして二人きりで我慢できるだろうか。

 トモカを今すぐに強くかき抱いて壊してしまいそうなほどの衝動が体内を駆け巡っていた。


 レオは近くの本棚の枠に額を当て、フーッと長いため息をひとつついて心を落ち着ける。


(よし、大丈夫だ。……多分)


 レオは顔を上げると、先ほど読んでいた資料を本棚から取り出し、本棚を背にして床に座った。

 そして、トモカを見上げてその隣の床を指差す。


「トモカ。ここ、おいで」

「はい」


 トモカは素直にレオの隣に座った。

 お互いの服の袖が触れ合うくらいの近さでトモカが隣にいる。

 レオが隣に座るトモカの方を見ると、トモカも大きなグリーンの瞳をこちらに向けていた。

 視線が絡まり合い、時が、止まる。


 窓の外から聞こえる雨だれの音がやけに大きく頭に響いた。


 レオは何かに導かれるように、そっとトモカの頬に手を伸ばした。トモカはレオを見つめ返したまま動かない。

 親指でそっとトモカの頬を撫で、横髪に手をゆっくりと差し込むと、緩やかに髪をかき混ぜる。

 髪に差し入れた指で後頭部を軽く引き寄せると、微かにトモカの唇が開き、その肩が小さく震えた。レオはそれを見てごくりと唾液を飲み込む。

 トモカの顔はほんのりと紅潮しているが、レオを拒むような様子はない。


 そして見つめ合ったまま次第に顔が近づいていき、唇から漏れるお互いの息が感じられるほどの距離になった。


 と、その時。


 ブーン。


 低く小さな振動音が資料室に響いた。

 それと同時にガチャッと扉が開く音が聞こえる。


 レオは小さくため息をつくと、トモカから身を離した。トモカも赤くなって離れ、慌てて髪を整えている。

 振動音を発したのはレオの右手(・・・・・)だった。そして振動音と共に中指の根元で青い光が明滅する。天才魔導具士のケミックに作ってもらった指輪型の聖魔法センサーだ。レオの11月通りの部屋には置きっぱなしにできるような場所がなく、仕方ないのでそのまま身につけていたのだ。


(聖魔法……、ピーターさんか)


 扉を開け、入り口からは死角になっているこの場所へ迷わず進んできたのは、予想通りピーターだった。


「レオナルド様、陛下より少々ご連絡が。……おや、トモカさんもご一緒でしたか。それはそれはお邪魔をしてしまいましたな」

「まったくだよ」


 ニヤッと笑うピーターにレオは座ったまま半ば本気で拗ねてみせる。


(やっとトモカと普通にキスできそうだったのに!)


 なかなか口づけを許可してくれなかったトモカが、ようやく拒まずに受け入れてくれそうだったのだが。

 レオは大きく嘆息する。


「で、陛下からの連絡って何?」

「明日の朝、帰城し王国軍本部へ参るよう、とのことでございます」


 レオは目を見開いた。


(王国軍本部?)


「呼んでるのは陛下だろ? 執務室じゃないの?」

「いえ、確かに王国軍本部と仰っておられました。どうやらグレイス王妃陛下もいらっしゃるご様子」

「マジか。ねぇ、それってトモカと関係ある?」

「いえ、特に何も伺ってはおりませんが……」


 父母が揃ってレオを呼び出すなど滅多に無いことだ。

 何を言われるのだろうかとレオは憂鬱になる。

 しかし、既に王都に戻っていることが2人にバレているため、すっぽかすこともできない。


「分かった。ピーターさん、伝言頼んで悪いんだけど『参上いたします』と伝えておいてくれる?」

「畏まりました」


 ピーターはそう言い残して大きく頭を下げ去っていった。

 何となくその姿を視線で見送ってから、隣に座るトモカの方を眺める。

 トモカは既に手元の本に視線を落として一生懸命に読み始めている……と思ったが、白い耳の内側が真っ赤になって若干呼吸を荒くしている所を見ると、単に恥ずかしくて顔が上げられないだけなのかもしれない。


 今ならここで強引にさっきの空気に持っていくことも不可能ではないかもしれないが、そういった無粋な強引さはレオの趣味ではない。


(まぁいっか。ゆっくりで)


 レオは仕方なく、一生懸命本を読む(フリをしている)トモカの肩に少しだけ体重を預け、資料を読み始めた。やがてトモカも手元の物語を解読するのに集中しだしたのか、呼吸も安定する。


 資料室には甘く幸せな静けさが広がり、窓の外の雨粒の音と2人のページをめくる音だけがいつまでも柔らかく響いていた。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 翌朝。

 やはり予定通り雨はすっかり止み、王都ローレリアには美しい空が広がっていた。


 レオは11月通りの自宅で軍服を纏い、まだ薄暗い通りを歩いて城に向かう。

 まさか長期休暇中にも関わらず、こう何度も仕事着を着る羽目になるとは思わなかった。


(あ、でもこれ着てた時、トモカの反応が可愛かったんだよなぁ)


 時々こちらの服装でデートしてみるのも楽しいかもしれない、とレオはニヤニヤと妄想する。

 王城に着いてしまうのが非常に憂鬱なため、現実逃避をするための妄想だった。


 しかし、そんな姑息な現実逃避もいつまでもは通用せず、レオは王城の敷地内にある王国軍本部まで到着してしまった。

 入口を入ってから石の床を進み、一番奥の総司令室に向かう。

 その扉を叩いた瞬間、奥から何故か真っ青な顔をした中年兵士が扉を開いてくれた。


「れ、レオナルド様、おはようございます」

「おはようございます。第2部隊副隊長レオナルド、国王陛下及び総司令グレイス閣下のお召しにより参上いたしました」

「聞き及んでおります。中へどうぞ」


 開かれた扉からスタスタと中へ入ると、中年兵士が青くなっていた意味がすぐに分かった。


 部屋の最奥に置かれた高級な椅子には、既に男物の軍服を纏った母グレイスが深く腰掛け、足を組んでイライラとその足先を揺すっている。派手なため息に混じって時々舌打ちの音も聞こえる。これはすこぶる機嫌が悪い。


 大柄でスタイルが良く、目鼻立ちがくっきりとして、長くうねる艶やかな黒髪を腰まで伸ばしたグレイスは、姿だけ見れば年齢の割に大変美しい。しかし、その気性は非常に短気で激しく、自分にも他人にも厳しいため、部下たちは強い尊敬と同時にかなりの畏怖を植え込まれている。

 比較的人懐っこく呑気なレオとは、実の親子にも関わらずおよそ正反対の性格だった。


 おそらくレオがその気性を引き継いだであろう父・国王ガルドはまだ部屋にはいないようだ。

 レオは椅子の少し手前まで歩みを進めると、そこでスッと片膝をついて座り、俯いた。


「おはようございます、閣下。レオナルド参上いたしました」


 グレイスはイライラと揺する足を止めもせず、面白くなさげにレオに声をかける。


「なんだ、お前1人か」

「はい?」

「トモカさんはどうした」


 そう聞いてグレイスが扉の方をじっと眺めている。

 果たしてその目は国王を待っているのか、トモカを待っているのか。


「トモカをお呼びではなかったので、本日は私だけですが」

「そうか……。そうだな」

「本日の用件はトモカに関することでしたでしょうか」

「いや、まだ詳しくは伺っていないが、聖女の件とは無関係だ。……おそらくな」


 グレイスはチッと再び舌打ちをした。


(トモカにイライラを癒してもらおうと思ったのか)


 レオは外には出さないものの、心の中でニヤニヤと笑う。


 その時、レオの背後の総司令室の扉が勢いよくバンッと開いた。

 泣く子も黙る総司令閣下の部屋にこんな豪快に入ってこられるのは、国王ガルド以外にありえない。


「やぁおはよう、グレイス、レオナルド!」

「陛下、おはようございます。それにローザ様も」


 グレイスがすぐに椅子から立ち上がり、椅子を空け、その横に片膝をつく。


 レオが扉の方を首だけで振り返ると、国王ガルドと共に、後ろから紺の落ち着いた色のローブを纏うセミロングの若い女性が入ってきた。レオは一瞬だけ目を見開き、すぐに前を向き直し頭を下げる。

 父ガルドと女性がレオの前方に立ったことを確認し、レオは神妙に挨拶を行った。


「おはようございます。陛下、────そして姉上。いえ、ローザ様」

「おはようございます、グレイス閣下、レオナルド様」


 ローザと呼ばれた女性はニッコリと微笑んだ。


 ローザは国王ガルドの第2妃アンナの娘であり、レオにとっては1歳歳上の姉であった。闇属性および時空属性の魔力の持ち主であり、変装を好み、身分を隠した諜報活動や調査活動を得意としている。王国軍第1~第3部隊とは別に設けられた、数人しかいない国王直属(・・・・)の諜報部隊の副隊長でもある。王国軍の兵士の中でも諜報部隊の存在すら知らぬ者も多く、レオも諜報部隊に何人所属しているのか正確には知らない。

 また、この姉の夫は、第2部隊の隊長であり、レオの直属の上司に当たる。


 国王ガルドは少し迷った素振りを見せるが、結局グレイスの空けた椅子にどっかりと座った。グレイスには抵抗しない方が安全だと判断したのだろう。


「集まってもらったのは、少しお前たちに知っておいてもらいたいことがあってな。聖地ハイムで妙な動きがあるとローザが報告してくれたのだ。ローザ、報告を」

「はい。現在一時的にこの部屋を時空結界に置いております。今からお話しますことは、どうかご内密にお願いいたします」


 レオは神妙に頷く。

 ローザはそれを確認し、凛とした涼やかな声を発した。


「実は数日前より、聖地ハイムに竜人が複数人入り込んでいることを確認しております。もちろんハイムは大陸唯一の聖地ですので、何人(なんぴと)も無下に追い出したりはできません。しかし国境の兵士によると、ここ数ヶ月、竜人が通過した記録は一切ないと。つまり、身分や外見を偽装して入国したか、国境の正規の検問を通らず、別のルートで入国したかのどちらかと思われるのです」

「不法入国……?」


 レオは(いぶか)しげに眉を(ひそ)める。

 獣人と竜人は大きく種族が違い、竜人の見た目はトカゲの獣人によく似ているが、ほとんど魔法を使えない代わりに、とんでもない体力と筋力を持つ。そんな者が不法入国したとなると、なるほど穏やかではない。

 ローザは困ったように微笑む。


「おそらくエルフライア王国の者でしょう。トカゲの獣人と名乗っているようですが、あれは竜人で間違いないと思います。しかし、聖地にて他の信者に混じって毎日神殿に参拝しているだけで、特に他の怪しい動きも今のところ見えませんので、こちらとしても手出しができません。不用意に動けばエルフライアに交渉のカードを与えることになります」

「なるほど」

「そのまま参拝し、何事もなく帰ってくれるのであれば問題はないのです。しかし、エルフライアの者がわざわざ違法な方法で入国しているというのは、何か別の目的があるのではないかと勘繰らざるを得ません。」


 大陸で最も大きな国はクレムポルテ王国だが、2番目に大きな国がこのエルフライア王国だ。

 大陸の南にあるエルフライア王国とは、戦争中でこそないものの、かつては何度かクレムポルテと戦火を交えたこともある。全てクレムポルテ王国の圧勝に終わっている。

 そして現在も正式な友好国としての国交は特にない。


 しかし、前もって入国申請を送りそれが受理されれば、双方の国には入国できる。にも関わらず、不法入国するということは何か目的があるのだろうか。


 レオはその目的について思考を巡らせるが、ローザがそんなレオを強い瞳で見据えた。


「私の懸念は、今、こちらの国に聖女がいるということです」


 レオはぎょっとして半分だけ血の繋がる姉を見つめ返す。


「トモカですか!?」

「はい。トモカさんと仰るのですね。もちろん聖女の存在があちらに知れたとしても、既に当王国として保護している以上、余程愚かな者でなければあからさまに誘拐したりするようなことはないでしょう。国力はこちらの方が上ですからね」


 クレムポルテ王国は国力兵力共に、元々非常に豊かな国だ。国王ガルドの代になってから更に豊かになったと聞く。

 他国から何か理不尽な扱いを受けた際に、相手国を物量に任せてあっさりと潰してしまえるほどの国力はあるため、その国力差は自然と戦争の抑止力になる。しかし、愚か者と切迫した者にはそんな常識は通用しない。


「ただ、いることが他国に知られない方が安全なのは確かです。なのでレオナルド様、まずはトモカさんの素性の隠匿にご留意を。できるだけ一般人として生活させてあげてください」

「はい、この身に代えても」


 レオは胸を手に当て、了承の意を伝える。その表情は硬い。

 ローザはそんなレオを見てニッコリと嬉しそうに微笑んだ。


「それと、もしハイムにいる竜人たちが暴れるなどして問題を起こした場合、諜報部隊で手に負えなければレオナルド様たち第2部隊に応援を頼むかもしれません。夫にも先ほどそう伝えてあります」

「はい」

「グレイス閣下にも采配をお願いすることがあるかもしれません。その際はよろしくお願いいいたします」

「分かりました。お任せ下さい」


 グレイスはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 元々が戦士で血の気の多いグレイスにとっては、事前に思っていたよりも悪い話ではなかったようだ。


 娘に説明を全て任せていたガルドが、パンと手を打ち鳴らす。


「では以上だ。心に留めておいてくれ。ローザ、引き続きハイムの調査を頼むぞ」

「畏まりました、陛下」


 ガルド以外の3人が恭しく頭を下げた。

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