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第9話「歌姫」

ディーヴァは冷たくなったノームを抱え歌い続けていた

迫りくる鎧の武士

「お主を貰うぞ!」

ディーヴァ目掛けて刀を振りかざした

ノームを喪った哀しみからかディーヴァはその場から一切動こうとはしなかった


家族を喪ったディーヴァはもうどうでも良かったのであろう

ディーヴァにとってノームはかけがえの無い家族であった、一瞬にして家族も同族も喪ったディーヴァは死を望んでいた

そしてただただ、鎧の武士に殺されるのを待っているかの如く無気力に歌を歌い続けた


だが、それを良しとはしない者がいた


政宗は一瞬でディーヴァの前に立ち身代わりとなった

政宗の右腕は宙を舞った

その拍子に飛び散った血がディーヴァの顔にかかった

ディーヴァの頬を伝っていた涙は政宗の血を含み赤く染まったいた

返り血を浴びたディーヴァは正気に戻り震える声で言った

「どうして…」

「約束したからな、ノームと、お主を守るとな」

「でも、私のせいで腕が」

「これは儲けた、一番厄介だと思っていた独眼竜の腕を奪えたのだからこちらが有利となったのは明白だな」


我が刀で斬られたのならもう独眼竜に勝機は無いな


そうして以前、鎧の武士は余裕を見せていた

「ディーヴァよ、気にするな、武士は腕の一本や二本無くなろうがこの命尽きるまで戦うものさ」

「政宗様…」

「いいぞ、独眼竜!さぁ始めよう命を賭けた戦を」

カキン、カキン!

いくら天眼を使っても腕一本では奴を倒す事は出来ないだろうな、しかし諦める訳にはいけねぇな!

政宗の意思とは反し次第に政宗の動きは鈍くなり天眼の青き光も弱まってきた

「はぁはぁはぁ」

無くなった右腕からの大量の出血は止まらず片腕での戦いは想像以上に政宗の体力を奪っていた


これは早く決着をつけなければ全滅だな

しかし、どうすればいい、奴は今だ片手だけで刀を振るい余裕すら感じられる

俺はこのまま終わるのか?


「お父さん、助けられ無くてごめんなさい、、、私、戦います、お父さんの信じた政宗様と一緒に!」

ディーヴァは抱えていたノームを地面にそっと下ろし涙を拭った

そしてさっきの安らか優しい歌とはうってかわって荒々しく激しい歌と変わったのだった


ディーヴァ、何を考えておるのだ?


しかし歌が始まると体のそこから力が沸き上がる気がした

「政宗!何か力が溢れてくる!何?この感じ、まだまだ戦える気がする!」

ジャンヌはそう言ってその一撃は地面をも割る様な剣を振るい魔族をどんどん切り殺していった

魔族達の断末魔が聞こえる

そして政宗にも変化があった


なんだこれは、歌が始まったとたんに力がみなぎってきた!


「おい貴様、決着をつけようではないか」

「ほぉ、先ほどまで虫の息だった奴が言うではないか」

すると政宗は以前より速く、そして重い一撃一撃を鎧の武士に当てていくのであった

「こやつ、こんな力をどこから?」

知らず知らずに鎧の武士は両手で刀を持ち攻撃を防いでいた

「そうか、これが歌姫の力か!よいぞ、ますます手に入れたくなった!」

戦いはより一層激しさを増した!

互いに刀をぶつけあいそれを受ける度にそれを支える足元の地面は沈んでいた

両者一歩も譲らず人の限界を越えた超人同士の戦いは互角の戦いを続けていた

「決着をつけるのでは無かったのか?独眼竜よ」

「言われずとも!これで終わらせる!」

そう言って政宗は力を振り絞り前に出て鎧の武士の隙をついた


この一撃で終わりだ!!

そう思って刀を振りかざすと

「あぁぁぁ」

唸りを上げて膝まついたのは政宗の方だった

そして失った右腕を抑え激痛に悶えていた

その斬られた淵からは大量の出血と黒い霧の様なものが出ていた

「やっと効いてきたか」

「くそ、何をした?」

「わしからのお主への褒美じゃよ」

「褒美だと?」

「まあ、お主はもう終わりだがな!」

鎧の武士は膝まついた政宗を蹴り飛ばした

「がはっ!」

「政宗!」

ジャンヌが叫んだ

「さぁ行くぞ、歌姫」

鎧の武士は手をさしのばした

ディーヴァは首を振った

「そうか、ならば独眼竜と別れを言うんだな」

そう言って鎧の武士は刀を地面で苦しんでる政宗の首筋へ当てた

「やめて!」

ディーヴァは急いで手をとった

「わかりました、あなたについて行きます」

「賢明だな」

「待て、ディーヴァ、行くんじゃない!」

「政宗様、助けてくださり本当にありがとうございました、生きて下さい」

お礼を言い残しディーヴァは鎧の武士と共に立ち去って行く


くそ、くそ!

なんだよこの腕の痛みは!俺はこんなにも無力なのか?


右腕の痛みはドクンドクンと波打っていた

護ると誓ったのに、また俺は負けたのか?

誰かの力を借りなければ誰も助けられないのか?

神に力を借りてもなお、奴に勝てなかった

頼む神よ、もっと俺に力を!


力が欲しいのか?

あぁ、欲しい!

なら、神ではなくこの俺がくれてやろう

誰でもいい!俺は力が欲しい!

気に入った!くれてやる!力の代償は覚悟しておけよ!!

力が手に入るなら覚悟の上だ!!!


そう聞こえた気がした

そして右腕の痛みの間隔は更に短くそして痛みは激しさを増したのであった

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