表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

第8話「鎧の武士」

「これは、惨いの」

一足先に村に帰った政宗は悲惨な光景に目を疑った

美しく幻想的だった木々は燃え、何人ものエルフ達が殺され死体の山を築いていた

すると後ろからカチャ、カチャ、カチャと聞き覚えのある音が近いてくるのであった

「これは珍しい、エルフ以外もいたのか」

後ろから声が聞こえ振り返ると全身を甲冑で包んだ者がいた

その鎧は顔までありその者の顔は分からなかった

しかし政宗にはひとつだけわかる事があった

「お主、武士だな?」

そう政宗は鎧の武士に言った

「そうだったこともあったかなぁ、久しいな独眼竜よ」

こやつ、俺を知っているのか?

「お主は一体…」

そういいかけたところで話をやめた

その鎧の武士の手にはズタズタに斬られたノームの姿があった

「貴様!ノームを離せ!」

政宗は怒り吠えた

「そう大声で言わぬともお前に返そうではないか、こいつにもう用はない」

ノームは投げられ地面に叩きつけられた

「ノーム、大丈夫か」

「わしはもうダメじゃ、そなたの申し出を断っておきながらこんな願いはおこがましいと思っているが娘を守って欲しい…」

「分かった、ノーム」

「ありがとう、そなたを信じてるぞ」

「お父さん!」

後から来たディーヴァがノームに駆け寄った

「今、傷を治すから」

そう言ってディーヴァは歌い出した

「よい、ディーヴァわしはもうダメじゃ」

しかしディーヴァは涙を流しながら歌を続けた

「見て!政宗、ノームの傷が治っていってる」

ノームのズタズタに引き裂かれた傷はみるみる癒えていくのであった


それを見ていた鎧の武士は

「そうか、お前が歌姫だったか、やっと見つけたぞ」

そう言って鎧の武士はディーヴァに近づくのであった

「何をするつもりだ?」

政宗はその間に立ち塞がった

「独眼竜、お主には用は無いのだがな」

「答えろ」

「そう殺気立つでない、ただ俺の野望の為にその娘が必要だから連れて行こうと思ってな」

「それは生憎だが断らせて貰おうか、いましがたお主にやられたノームからこの娘を守って貰いたいと頼まれたところだからな」

「面白い、この俺とやり合おうと言うのか、なら少し相手を願おうか」

そして鎧の武士は刀を抜いた

政宗も刀を握りいつでも抜ける様に臨戦体制に入った

お互い相手の様子を伺っている


こいつ、やはりできるな、隙が無い、一瞬でも行動を間違え様なものなら一撃で殺される

鎧の武士からの尋常じゃない殺気と修羅場をくぐり抜けて来た数がそれを物語っているみたいだった

するとジリジリと鎧の武士が近いてくるのであった

「独眼竜、我が野望の為に消えて貰おう」

すると目にも止まらぬ速さで動き一瞬にして政宗の背後に回った

ガキン

政宗もギリギリのところで刀を抜き、これを凌いだ

しかし鎧の武士の攻撃は止まらない

片手で刀を握っているのにも関わらず政宗はそれを両手で刀をしっかり持って受け流した

敵の力は相当なものだった

「政宗、私も加勢する!」

ジャンヌが剣を抜いて言った

「待て!敵は相当な手練れだ!俺がやる!ジャンヌはディーヴァを守ってやってくれ!」

そう政宗はジャンヌに言った

「分かった!政宗、死ぬなよ!」

「あぁ、任せろ」

「ほう、話をしながらとは余裕だな」

「まだまだ本気ではないからなぁ、まああんたもそうだろ?」

「そうだな、少し本気を出そうか」

すると鎧の武士の動きは数段速さを増し攻撃も重みを増した

「ぐ、」

政宗は攻撃を防ぐので精一杯だった

「お主の本気を見せて欲しいものだな」

そう言って鎧の武士の攻撃はますます激しさを増し次第に政宗は防ぎきれなくなっていた

「これは不味いな」

政宗の体は徐々に刻まれていっていた

「そろそろ本気を出してくれるのか?」

「あぁ、後悔するなよ?」

天眼を開眼する!

政宗の右眼は青く光を放った

「やはり天眼か、面白いのぉ」

こいつ、天眼を知っているのか、ますますヤバそうな敵に出くわしたものだな

まあよい、一瞬で決着をつけてやる!

政宗の動きは雷鳴の如く素早く動き敵に攻撃をくらわした


「よい動きだ」

しかし、鎧の武士はまだ余裕を見せて政宗の攻撃をギリギリのところで防いでいた

キン、キン、キン、キン

しばらく高速で刀のぶつかる音が響いていた


すると、攻撃の最中ジャンヌの声が聞こえた

「こいつらどこから現れたの!?」

ジャンヌ達の方を見ると魔族が群れをなして迫っていた

「魔族だと?」

政宗は驚いた、そしてひとつの考えにいたった

「お主、魔王か?」

「時にはそう呼ばれていることもあるのぉ」

「魔王、お主の狙いはなんだ?ディーヴァをどうするつもりだ?」

政宗は聞いた

「それは天下を我がものにする野望のために必要なこの世の理なのだよ」

「理?」

「まあお前には関係の無いことだがな!」

「しまった!」

魔王と呼ばれている鎧の武士は話をしていた隙にディーヴァに迫っていた

「歌姫よ!抵抗の出来ぬ様に四肢を切り落として連れて行こうかのぉ!」

「こいつ本当にヤバい!ディーヴァ!逃げて!」

魔族と交戦していたジャンヌは身動きが出来ないでいた


でもディーヴァは動かなかった

ノームの為に涙を流して歌い続けていた


そのノームの体の傷はディーヴァの力で癒えきれいであった、しかしその体に温もりはなく冷たくなっているのであった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ