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第6話「ノームの国」

「旅立たれるのですね、陛下」

セバスチャンが政宗を見送りに来ていた

「おう、留守はたのんだぞ、セバスよ」

「分かりました、お気をつけください」


政宗は今のままでは到底魔王の戦力には勝てないのは痛感していた

政宗の今の兵力はヒューマンの国三日月の兵士のみ

世界の7割も支配している魔族には数で圧倒されているのは目に見えていた

その為、まだ敵の手に落ちていない残りの3割の三国に同盟を結ぼうと赴く事となり、三日月国をセバスチャンに任せ旅立った


「政宗どうやって行くの?他の国にはかなりの距離があるけど?」

尋ねたのはジャンヌだった

ジャンヌは政宗に同行する事となった

「心配せずとも歩いては行かぬぞ」

そう言って政宗は笛を吹いた

ピィーという音は空高く響いた


しばらくするとバサバサという聞き覚えのある羽音が近づいてきた

そう、暁が来たのであった

「よく来てくれたな、暁」

政宗は来てくれた暁の頭を撫でた

その様子を見ていたジャンヌが少しムッとした表情で見ていた


暁の背に乗り暁は空高く飛び上がった、政宗とジャンヌはセバスチャンに貰った地図を元に最初の同盟国となるエルフの国へ向かった


エルフ

それは森を守る種族、武器は主に弓を好み、森の精霊の力を使い身体の回復を司る者である


そう三日月国の古い文献には記されていた

「エルフ族、なかなか興味深い種族だな、弓は俺も得意だが精霊だの回復だのが使えるのなら、俺の野望の為には必要そうだな」

「そうだね政宗、私もこの世界で人以外の者に会うのは初めてだよ、楽しみだね」

そんな事を話しているとエルフの国「ノーム」の入り口の森にたどり着いたのであった

「暁、お前は優秀だな、こんなに早く着けるとは思わなかったぞ」

「それにしても、流石森を守る種族だけあって上から見ても森ばかりだったね」

「あぁ、これは国というよりただの森だな、暁、お前は待っておれ、お前の背丈ではこの森の入り口は厳しいものがある」

少し寂しげな表情で暁は政宗の言葉通り伏せて待つことにした

「どうする?入るの?」

「俺に迷いはない、行くぞ」


そうして、二人は歩き出し森の入り口の中へ吸い込まれるかの様に入って行った


歩けど歩けど、ノームの国どころかエルフにも会えず森をただひたすら歩いていた

「政宗ー、私疲れたよー」

ジャンヌがそう言って座りこんだ

「ジャンヌ、お主のその格好からするに西洋の騎士なのであろう、こんな事で音をあげてどうする」

「そうだけど、何か景色は一向に変わらないしずうっと同じ景色を見ているみたいなんだけど」

「仕方ない、俺が先を見て来るから待っておれ」

「分かった、早く帰って来てね」

こうして政宗はジャンヌを休ませ一人森の奥へ歩を進めた

確かに歩けど歩けど景色が変わらぬな

どうしたものか

そうこう考えながら歩いていると目の前に座りこんだ人影が見えた

まさか!?

その人影には見覚えがあった

近いてみるとそこにはジャンヌがいた

「あれ?政宗、お帰り、早く帰って来てくれたのは嬉しいんだけどどうして後ろから来たの?」

「くそ、気付かなかった、俺達は罠にはめられた」

「わ、罠?」

「エルフの策略で俺達は同じところを何度も歩かされておるようだな」

「嘘、どうするの?」

「まぁ、それに気づけば問題無い、俺に考えがある」

そう言って政宗は目を閉じた


トクン、トクン、トクン

己の心臓の音を聞こえる

やがて心音はゆっくり穏やかなものとなり意識を眼帯の下にある右目に集中する

そして、政宗は心の眼を開いた

それすなわち心眼

政宗は戦国の嘘や偽りが罷り通る戦略の世界に生きていた

その事に気付かぬ阿呆は早死にする世の中に失った右目からは誠の理が見える心眼を手に入れていた

政宗の心眼の前にまやかしなど通じぬ


政宗はゆっくりと心眼を開いた

「ほぉ、やはりな」

「どうしたの?」

「目の前の左右からなる2手に分かれた別れ道、本当は3本あるようだ」

「本当に?」

「ああ、前を遮っている大木はまやかしだ、真っ直ぐ進める」

そう言って政宗が目の前の大木に直進すると体はすうっと大木の中へ入り真ん中の道へと出たのであった

「こんな細工があったのね」

「そうだな、まぁこの政宗の前にこの様な小細工など通用せぬ、先を急ぐぞ」

政宗は隠されていた本当の道をそのまま真っ直ぐ進んで行った

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