第5話「開眼されし天眼」
ならば使え!私が与えたお前の天眼を!
そして、覚えておくのだ私の名は雷神、建御雷神である
雷神…!?
それに天眼だと!?
あやつが言っていた天眼…
まぁなんでもいい、力が手に入るなら、雷神、我に力を与えよ!
バチッ!
倒れていた政宗の体の周囲に電気が溢れ出ていた
「遂にあんたも天眼を使う様になったのね、これは楽しくなりそうね」
そう言って少女は三度目の剣を構えた
しかし今まで余裕そうだった少女の顔も少し強ばり政宗を警戒している様だった
政宗はゆっくりと体を起こした
腹からは大量の血がまだ流れていた
すると政宗は手にバチバチと電気を集め自分の腹に当てた、ジューと肉の焼ける音、血が沸騰した鉄の匂いがするなか政宗の腹の傷は塞がっていた
「自分の体を焼いて接合したのね、めちゃくちゃねあんた」
その異様な光景に少女は一筋の汗を流していた
政宗は一歩、また一歩と少女に近づいていた
その拍子に政宗の着けていた眼帯がシュルリとほどけた
眼帯で隠された眼は青く光を帯びていた
「やっぱり天眼が開眼したようね、私も本気を出さなきゃ」
すると少女の眼も青く光を帯びた
「あなたがたとえどんな力を手にいれても私には勝てないわ、私の天眼は先読みの天眼、あなたの攻撃は全て見えているわ!」
しかし、政宗は無言のまま歩いていた
「さぁ来なさい!」
次の瞬間、少女は自分の目を疑った
政宗は目の前から一瞬で消えた
そして、少女の天眼には映っていた
政宗の刃が自身の首に向けられていた事が
少女は安全な位置まで距離をとろうとした
でも、時すでに遅かった、政宗は一瞬のうちに少女の背後に立ち、刀の刃を少女の首元に向けていた
「私の敗けだわ、あなたを王だと認めなきゃね」
少女はそう言って剣を下に落とし両手を上げて敗けを認めた
政宗は勝利した
自分の勝利が分かったのか政宗は無言のまま倒れた
大量の出血と疲労から政宗の体はとうに限界を迎えていたのであった
「やっぱり限界だったのね、でも、政宗、あなたは私の仕える王にふさわしいぐらい強い人だったわ、きっとあなたなら成し遂げてくれると信じてる」
そう少女は呟いて倒れた政宗を抱き抱えた
少女との戦いを遠くから見ていたセバスチャンも一人ぼそっと「やはり天眼を開眼したのですね、伊達政宗…」
と言っていた
「ここはどこだ…」
目が覚めた政宗はベッドで寝かされていた
「お目覚めですか、陛下」
そこにはセバスが立っていた
「あぁ、ずいぶんと眠っていた様だな」
「左様です、1週間は眠っておられました」
「情けないな、敵一人倒すのにこの有り様とはな、案外この世界の敵は強者ばかりかもな」
「でも、陛下は勝ちました」
「そうだな、天眼と呼ばれた力のおかげだがな、だがこの力で俺は天下を握る」
「陛下の仰せのままに」
「なんだ、政宗、目が覚めたのか」
声のするベッドの下の方を見るとベッドにふて寝をしていたあの時の少女がいた
「なんだ、お主まだ居たのか」
「何よ、その言い方!私は政宗が心配でずっと側に居たのに!」
「そうですよ、陛下の看病の方もこの方が手伝ってくれたのです」
「そうだったのか、すまんな、ありがとう」
政宗の屈託のない笑顔を見て少女は少し顔を赤らめた
「分かったならいいのよ、分かったなら」
「時にお主、何故ここにいる?」
「そうだった、政宗、あなたはこの世界に何を望むの?」
真剣な顔で少女は聞いた
「俺の望み?」
政宗は考えた、しかしどのような考えを巡らせても答えは一つしかなかった
「天下統一を果たす事」
政宗も真剣な表情でそう答えた
「そうなのね、じゃあ私はその日まで政宗の傍に居るわ」
「何?そうなのか?」
「そうよ、私の天眼は未来を知らせてくれるの」
「おお、それは便利だな」
「でも、具体的な未来が分かるのは3秒までよ、後はまあ当たり安い占いの様な感じなんだけどね」
「その占いはなって出たんだ?」
「私の未来はこの世を統べるべきし王と共に行動しこの世界を平和なものにする使命があると出たの」
「そうか、なら良い!俺と共に来い!お前に俺がこの世を統べる瞬間を見せてやろう」
「ありがとう、政宗!」
「いいのですか?陛下、陛下は危うくこの者に命を奪われるところだったのですよ?」
「本当の器の広い男はそんな小さな事に一々気にしないものだ、セバスよ、それにこの者の腕は確かだ、戦いになれば強い味方は一人でも多い方が得策だろ?」
「陛下がそうおっしゃるなら」
「じゃあ政宗よろしくね!」
「そうだ、お主、名を何と申す?」
「私?私の名はジャンヌ!ジャンヌダルクよ!」
「そうか、ジャンヌ、よろしく頼むぞ」
こうしてジャンヌが政宗の仲間に加わった
(政宗、あなたが望む未来は長く険しい修羅の道、でも私は見守るわ、この目で、最後の日まで…)
そう決心した目でジャンヌは政宗を見つめていた