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第4話「武士とは」

「ほぉ、俺が鍛えた兵士達を倒すとはお主なかなかやるな」

三日月城にたどり着く政宗はその有り様を見て言った

「しかし、お主はそんなに幼いがどうやってこの屈強な男達を負かしたのだ?」

「試してみる?王様?」

少女はニヤリと笑った

「この俺を見てその表情とは面白いな、一つ手合わせ願おうか、三日月城城主伊達政宗いざ参る!」

それと同時に政宗は少女との距離を一気に詰めた

「案外、呆気なかったな」

「それはどうかなぁ?」

少女の余裕の表情は崩れなかった

政宗はそのまま少女に刀を抜き連撃を浴びせる

しかし、少女にはかすりもしなかった

「あれー王様、もう終わりですか?」

少女は背中に背負ってる大剣の重さからは考えもよらない身のこなしだった

「陛下、このセバスもお力添えします」

「いや、よいぞセバス、せっかくこの世界に来てやっとこんなに強い武士に会えたのだ、楽しませてくれ」

政宗の表情は生き生きとしていた

「わかりました、陛下どうか御武運を」

「お主強いな、しかし避けてばかりじゃなくてその剣を抜いたらどうだ?」

「そうだね、じゃあ私も本気出そうかなぁ、だから王様も本気出してね」

「あぁ、行くぞ!」

政宗は全力を出した

足に込めた力は敵より速く動く為、腕に込めた力は自分より速く動く敵を捕らえ斬る為

敵目掛けて刀を振った


「はぁ、はぁ、はぁ」

しかし攻撃は一撃も当たらなかった

ギリギリのところを避けられなおかつカウンターを食らって政宗の体は斬られぼろぼろであった

全身全霊の力を使い体力もほとんど底をついていた

「あーあ、王様って本当に人が悪い、さっさと本気出してくれたら良かったのに」

「さて、何の事か分からんな、お主が何を期待しているか分からんが俺は手を抜いてなどおらんぞ」

「そうなの、じゃあこんなにも弱いあなたは私が仕える王としての器にふさわしくないね、さようなら」

そう言って立ち去ろうとしている少女

「待て!」

政宗は怒号を浴びせた

「どうしたの?」

「俺は武士だ、武士たるもの己が死ぬまで負けは認めぬぞ」

「そう武士って面倒な生き方なのね、だったら終わらせてあげる!」

そう言って少女は政宗に斬りかかった

俺はこの時を狙ってた!人はとどめを刺すときはいつも大振りになる!俺はその事を戦国の世で学んだ、ここから反撃に移る!

政宗の読み通り、少女はその小さな体からは想像もつかない大剣を持ち上げ上段からの振り落としでとどめを差そうとしていた

その瞬間の為に鞘にしまっていた刀を振りだした

抜刀、それは剣術における最高の速さがでる瞬間であった


よし、とったな

政宗は勝利を確信した

しかし、当たる瞬間、ひょいと少女は後ろに飛んでかわした

次のステップで政宗との距離を詰め

ぐさり

政宗の腹には少女の大剣が刺さっていた

「あなたの考えなんて私の天眼の前では無意味だよ、同じ天眼を持つもの同士なのにこんなにも力差があったのね、知らなかったわ」

「天眼…?」

「あら、天眼を知らなかったのね、じゃあ私には勝てないわね」

そう言って少女は無垢な笑みを見せた

「ぐはっ」

血を吐く政宗

まさかこの俺がこんな幼い娘に一方的に殺られるとはな

世の中は広いな

「陛下!」

セバスが叫んでいた

穴の空いた腹からは大量の血が流れていた

「あの時私を引き留めたあなたが悪いのよ」

そう言って大剣を抜いた

「さぁ、私の仕える王は何処にいるのだろうか、先を急ごう」

「待て、」

少女は政宗に背を向け帰ろうとしていたが後ろからの声に驚き振り向いた

「どうしてまだ立ってるの?」

少女の大きな瞳はあり得ないものを見た時の様に見開いていた

「どうして立ってるのかだって、それは俺が武士だからよ」

「もう限界のはずよ」

「限界?そんなものはない、二度も言わせるな武士は己の心の臓が止まるまで戦いを捨てたりしないんだよ…」

そう政宗は血を吐きながらも目は死んでなかった

その鋭い眼光はまだ少女を睨み戦いを諦めていなかった

「本当に馬鹿な生き物ね、武士って」

そして少女は剣を取った

「あなたの望み通りこれで本当にこの戦いを終わらせてあげるわ」

少女は剣を構え迫ってきた

あぁ、まだ俺は負けちゃいない、今この瞬間だって生きているからな

本当に戦は止められないな、痛みも死の恐怖も生を実感出来る

この死との背中合わせ、己の限界を知りそれを乗り越え様と抗う、抗えば人は強くなる

だから最後の最後まで諦める訳にはいかない

俺はいつだって抗い、諦めなかった


政宗は立ってるだけで必死だったが最後の力を振り絞り刀を少女に向けた

「はぁーーー」

少女が迫ってきた

「来い!!!」

政宗は吠えた、少女を迎え討とうとした


バタッ

しかし駄目だった、大量の出血から立っているのもやっとだった政宗は倒れこんだ

少女は倒れた政宗を見て斬るのをやめた

「最後の一撃を与えるまでも無かったのね」

「陛下…」

遠く離れたところでセバスチャンが見守っていた

「あんたみたいに諦めが悪い人、結構好きだったんだけどな」

そうして少女は剣を背中にしまった


薄れゆく意識の中、政宗は思った

今回も駄目だったか天下を握る事

俺は弱かった、本当に情けねぇ

こんな気持ちでまた死ぬのか

強くなりてぇな…


どうした、せっかくお前にやったチャンス諦めるのか?

まだ、私がお前にやった力を使ってないではないか


この声は、あの時の


さぁ使え、私の力を


そう言われたとたんに右目が熱くなった

なんだこれは熱い!

でも、強くなるならよこせ!力を!

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