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第34話「鉄屑」

「政宗様!その怪物は自然で出来てます!火を!」

「出来したぞ!ディーヴァ!」

(私も政宗様の役に立てましたわ)

「そうか、火か!政宗!火はオレ達に任せろ!リザードマン、火を頼む!」

「御意!」

ディアーナに命令されたリザードマン等はそのままトロールに突進して行った

そしてリザードマンの口は火を溜め少し溢れながらもトロールに近いた

「よし!放て!!」

そのディアーナの掛け声と共にリザードマンは灼熱とも思われる荒々しい炎を吐いたのだった

すると、予想通り火はトロールの自然で出来た木の皮の体はみるみる燃え広がって直にトロールは火ダルマとなっていった

「殺ってやったぜ!」

ディアーナは手でガッツポーズをリザードマンに向けた

リザードマンはそれに答え視線をトロールに戻した

火ダルマとなったトロールは山火事の様に勢い良く燃えている


誰もが勝利を確信していた

だから仕方の無い事だった、ディアーナ達は油断していた

燃え盛るトロールの炎の中から金属で出来た槍が無数に伸びそれは目にも止まらぬ速さで全てのリザードマンの胸を貫いたのだった

「う、嘘だ、ろ?」

一瞬にして目の前で奪われた配下であるリザードマンの命

ディアーナは慌てて駆けよろうとした

「政、宗?行かせてくれ!」

駆けよろうとするディアーナの前に手を伸ばし、政宗はそれを制したのだった

「ディアーナ!まだ戦いは終わっておらんだぞ!」

政宗は怒鳴った

その声は一瞬にしてディアーナを正気に戻したのだった

「すまない政宗、取り乱した」

「兵士を無くした気持ちは痛いほど分かる、だが今は目の前の敵を倒さねばな」

そう言って二人はまた木の皮が丁度焼け落ちてその姿が現となっているトロールを見た

自然の木々等で形成されていると思われていたトロールの体は鉄屑が固まってできている機械の様な形を成していた

すると今まで人の様に両足で立っていたトロールは両手を地面に着けて獣と同じ形を成した

そして獣の形を象った顔からは口と思われる部分が上下し、微かで重い声を出した

「人にして、は中々や、るな」

「は、話せるのか?」

ディアーナは驚いた様にいった

「その様だな」

政宗はそう言うとそのトロールの前に立った

「お主、何故この国を襲う?」

政宗の問に少し間を開けてトロールは答えた

「我、この世の王、たる魔王に生み出、され、この世を魔、王の物にし、この世を終、焉に向かう為、国を破壊、する」

(そうか、やはり魔王の差金か)

「ならばやむ終えん、お主を俺が破壊する!」

政宗は刀を抜きトロールへと向けた

「貴、殿では、我、破壊出、来ぬ」

「俺はやる前から諦めたりせぬ!」

政宗はそう言ってトロールへと飛び込んだ

「オレも政宗に続くぞ!」

続け様にディアーナもトロールへと向かった

「ギェャーーーー!」

鉄屑のトロールは金属の擦れた音に近い様な何とも聞いた事の無い耳障りな奇声を上げて金属の槍を無数に伸ばしてきた

(天眼!!)

政宗の眼帯の下に青い光が帯びた

「うぉぉぉーーー!!」

電光石火の如く駆ける政宗の速さはトロールの無数に伸ばしてくる槍よりも速かった

政宗の刀は光、トロールの槍を弾いていった

ギン、ギンと重い金属音だけが響いた

(くっ、何て堅さだ)

トロールの金属は政宗の刃を遠さなかった

「おぅーりゃーー!」

ディアーナも力の限り攻撃を加えているがトロールには効いていない様だった

「うちも加勢するでありんす」

貂姫もそう言ってトロールを攻撃していたが歯が立たなかった

「くっそ!どうすればいいんだよ!」

ディアーナは恐ろしく頑丈な敵に苛立ちを覚えた

「お前だけは許さねぇんだよ!!」

痺れを切らしたディアーナは我武者羅に大刀でトロールを叩いた

斬れない敵に対して刃は斬るのでは無く叩く物と化した

政宗も同じだった

刀は斬る事を忘れ、ただトロールに対し打撃を与えるだけであった

当然の事ながらそんな事ではトロールにダメージを与える事もなく政宗達は疲労が重なるばかりだった


(どうもおかしいな)

政宗は考えた、敵の攻撃は速い

しかし、最初に比べ避けられない速さでは無くディアーナも容易く攻撃を避けていた

両者、決め手にかけていた

不毛な戦いが続いていたがトロールは一向に当たらない攻撃を続けていた

それが政宗には不思議であった

(何か仕掛けるやもしれん)

そう思った政宗は天眼で強化された脚力でトロールよりも高く飛び上がった

(何だあれは!?)

上空から見下ろして気づいた

トロールは二本の尾があり、それが地面に突き刺さっていた

そして、そらは地中を移動する事でその上の土が少し盛り上がっていてその先にはディアーナの姿があった

「ディアーナ!逃げろ!!」

政宗は叫んだがその尾はもうディアーナの足元の寸前のところまで迫っていた

政宗の声に気づいたディアーナであったが理解出来ず政宗の方を見ていただけだった

(くそ!間に合ってくれ!!)

政宗は上空から目にも止まらぬ速さでディアーナの元へ向かうのだった



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