第2話「訓練に降り立つ!」
この世界の話を元々この国の王に遣えていた執事セバスチャンに聞くところ今まで魔族はいてそれはもう人間達などに悪さを尽くしていた
しかし最近はどうもその悪さのやり方が行き過ぎている様だ
人を、村を、町を襲い、逆らう者を殺し魔王は侵略した土地を植民地としていた
それはどうやら先代の魔王が死に新しい魔王に成り代わったのが原因みたいだった
そして魔王の領地は増えていき遂には世界の7割がた魔王の植民地とされている様だ
なるほど魔王を倒せば後は俺の天下の様だな
とりあえず魔王に対抗するには俺も領地を増やし敵を倒す為の戦略を整え無くてはならない様だな
「時にセバスチャン、残りの三割の植民地になっていない土地は分かるのか?」
「左様でございます、王よ、一つはエルフの国、もう一つはゴーレムの国、最後にドラゴンの国となっております」
「ほう、初めて聞く言葉だらけだな」
「説明差し上げます王よ、この世界は10の国で構成されています、まずはここ人間が住むヒューマンの国元サマラ現在三日月です。代々城の名前が国となっているので今のヒューマンの国の名前は三日月となっております。次に魔族の国になっております。今わかっているのはこの5つの国のみです。そしてこれら国は異なった種族ごとに分けられているのです」
「なるほど俺は人間の国の王となっているんだな?」
「左様です」
「しかし、敗戦し今は魔王の植民地とされていると言う事だな?」
「…はい」
セバスチャンは苦しそうに言った
「ふはははは!面白い!」
「どうされたんです?王?」
「この状況が面白いんだよ、どん底から頂点を目指そうではないか、なぁセバスチャンよ」
俺の堂々とした姿を見て一筋の涙をセバスチャンは流しながら膝まついた
「御意」
そう言った
人以外の種族、面白い
この世界は退屈しない
そして人やそれ意外の者達の王になる事
それすなわち前の世界より大きな権力を握れるという事だな
必ずなろう、天下人に
男なら天下を目指さなきゃ面白くない!
誰かの下でいるなんてもうまっぴらさ御免さ!
「セバスチャン、これより三日月国の戦力強化を計る為兵士を集めよ!」
「御意」
俺は兵士を集め、戦わせた
「貴様ら!こんな事では魔族に勝てんぞ!」
こいつらの戦いはなっていなかった
「戦い方を知らずのうのうと生きた貴様らだから力の前に屈指魔族に負けたんだ!」
「はい!」
兵士達はすでにぼろぼろだが政宗の気迫に圧され一生懸命返事をし、命令を忠実に聞いていた
こんな奴らを一から鍛え上げるのは骨が折れるし時間がかかり過ぎる
残りの三国を先に魔族におとされたら天下人への道は魔王にとられてしまう
さて、どうしたものか
ふむ…
政宗は考えた、より確実に力をつける近道を
そして思いついた
「貴様らを一から鍛え上げても時間がかかり過ぎる!経験に勝るものなし、今から門の外にいる魔族どもと殺せ!」
「ダテ様、無理ですよ、俺達なんかが敵いっこないですよ」
こいつらいっちょまえに俺に口答えしている様だな
「無理にとは言わん、逃げたければ逃げるがいい」
「ありがとうございます、ダテ様」
兵士達は安堵の顔を見せた
「しかし、この国に逃げ腰のやつは要らぬ、そんなやつはこの俺が今ここで切り捨てるがな」
抜いた刀を舐めて言った
「そんなぁ、めちゃくちゃな…」
そういいながらも政宗に逆らえない兵士達は魔族狩りの門の前に集まった
「貴様らよく逃げなかったな」
そう言った政宗に対して少し反抗的な目を兵士はしていた
「なんだ?その目は?不服か?」
誰も何も言わないが兵士達の目はそう物語っていた
「貴様ら、悔しくはないのか?あんな魔族ごときのいいなりで」
政宗の声に兵士達は聞き耳をたてていた
「この国は植民地と化せられている、貴様らは余は奴隷だ、魔族ごときの、お前達の愛する者も魔族の奴隷、殺されても好き放題にされても文句は言えないのだぞ?悔しいだろ?」
兵士達は考えうなずいた
「なら抗え、敵を殺せ、守りたい人を助けろ、それは俺達の力にかかっている」
「うぉーーー!」
兵士は吠えた
「いい目だ、行くぞ貴様ら!俺達の力で愛する者を救ってやるのんだ!」
「うぉーーー!」
「開門!!」
門が開いた
そこにはこの国を見張っていた魔族がいた
背は低いがハンマーを持ち牙をはやしていた
「セバスチャン、あれはなんだ?」
「はい、あれは通称ゴブリンと呼ばれる小人の魔物です、魔王の末端のしたっぱであります」
「訓練にはちょうどいいとは思わぬか?セバスチャン」
「はい、おっしゃる通りで」
「よし貴様ら!目の前の敵を殺せぇぇぇ!」
「うぉーーー!」
兵士は行った、ゴブリンを狩りに
いきなりのことでゴブリン達は怯んでいた
兵士達はゴブリンを手当たり次第殺していった
「よくも今まで俺達を好き放題にしてくれたな!」
「俺の家族を返せ!」
兵士は今までの怒りをぶつけるかの如くゴブリンを殺していった
「ほう、奴らなかなかやるではないか、なぁセバスチャンよ」
「そのようですございますね」
「俺もちょっと出てくる」
「王自らで向かわなくても私目におまかせを」
「いや、俺も武人、体が鈍っているのは避けたいし久々の殺しあいだ、楽しませてくれ、それに兵士達と時期にゴブリンどもに圧され始めるはず、せっかくの兵士を訓練でみすみす減らされても困るからな」
「わかりました、お気をつけください」
「あぁ、いってくる」
すぐさま、政宗目掛けてゴブリンが襲ってきたがそれを刀で一刀両断した
「うぎゃーーー」
あぁこれだ、戦いの感触
血の臭い、敵の断末魔、切った時の骨が切れた感触、殺されるかもしれない緊張感
いい、いいぞ、戦いは辞められないなぁ
体から溢れだす武者震いを抑え政宗は戦いの渦に消えていった