第1話「独眼竜、異世界に降り立つ!」
とある異世界の王国にて
「お前のせいで俺達は戦いに負けたんだ!責任を取れよ!」
怒る国民
「先代がいきなり殺されて僕の様なボンボンがいきなり王様なんて無理だったんだよ」
肥え太った新国王
「私の息子を返して!戦いに出たっきり帰って来ないの!」
泣きわめく女性
「お前の様な豚を肥え太らせる為に税金を払ってるのじゃない!戦いに勝つための税金だと言っただろ?」
新国王を掴みかかり怒号を浴びせる男性
「僕の性じゃない、相手が強すぎたんだ!」
「じゃあ何故お前は太って俺達は痩せていくんだ?」
「ちゃんと食べないからじゃないか?」
その一言に国民達の目付きは変わった
「戦いに負けて魔族に植民地にされてただでさえ何も買えないのに戦いの時から高い税金で食べれなかったんだ!これも全てお前のせいなんだよ!」
怒りのあまり国王を殴った
「ぶぴっ!?痛いー、誰に手を挙げてるのかわかるのか?無礼者!」
「おい、みんなーこいつどうするよ?」
「死刑、死刑!殺せ!殺せ!!」
「えっ?」
次の日、火炙りの刑になった国王は皮肉にも豚の丸焼きの様になった
「これから俺達どうすればいいんだよ…」
「あいつを殺しても何の意味も無かった」
「神様助けて下さい!」
すると火の中から音がした
カチャ、カチャ、カチャ
何かが火の中から出てきた
それは屈強な鎧と大きな三日月を象った兜を被った男であった
男は言った
「どこだここは?」
「だ、誰なんだ?お前は?」
「お前とはなんだ!無礼者!我が名は独眼竜、伊達政宗であるぞ!」
俺は名を名乗った瞬間、ズキンと頭痛がした
何かの記憶が流れ込んできた
俺はあの時代では長生きした方だったが死んだ
最後は時の天下人の元、天下を納める事も無く死んだ
悔いは無いことは無かった
あの時代は楽しかったなぁ、戦いが戦いをもたらした
戦いに明け暮れて勝てば天下一に近づいたのに
しかし、俺は遅かった、産まれてくるのが
後十年早ければ、俺が天下を納めてたはずだ
男に産まれたからには天下を握りたかったな
「後悔があるのか?」
「誰だ?」
「後悔があるのかと聞いておる」
「あぁ、後悔はある」
「それはなんだ?」
「天を握れなかった事」
「ならば天を握るチャンスをやろう」
「どういう事だ?」
「お前の人生をもう一度始めてやろう、そして天を掴め」
「もしや、あんたは神なのか?」
「さぁ、どうだろうな…」
すると目映い光が俺を照らした
それと同時に失った右目が焼ける様に熱くなっていた
「くっ、熱い!」
「それは私からのせめてもの恩恵だ、次の世界に何もなかったら困るだろう?」
そして光は俺を包んだ
「ぐぁーあああ」
目が覚めると見たことの無い建造物の中に立っていた
そこには無礼者どもが俺を見て立ちすくんでいた
いったいどうなっているんだ?
俺は確かに死んだはず、やはりさっきのはあの世では無かったのか
神の計らいによって俺は老いたはずの肉体も戦乱の時代暴れ回っていた若さを取り戻し力がみなぎっていた姿になっていた
なるほど、読めたぞ
これこそ、俺が望んで自分が天下を掴める好機という訳か
面白い!面白いぞ!
「ふはははは!」
そしてこれからは自分が天下を掴める機会に俺は歓喜した
「どうしたこいつ、いきなり笑いだしたぞ?」
こいつ呼ばわりした男を俺は鋭い眼光で睨んだ
「ひぃー」
その男は腰を抜かしていた
それもそうだ、俺は幾千もの戦いをくぐり抜け今までに数えきれない人を殺してきたんだ
殺気だけで人を殺めた事の無い人間を黙らすのは容易である
「おい、そこの、ここはどこだ?」
「ひぃー、ここは国王サマラ様が納めていたサマラ城です」
「城なのか?」
「はい」
俺の知ってる城とは違うな、南蛮人や西洋人が好んでいそうな思考の城だな
まあ良い気に入った
「城なら城主がいるのだな?」
「いえ、今日この城の城主は死刑になって火炙りになり、そこからダテ様が現れたのです」
「これは都合がいい、今日よりこの城は俺が貰う」
「な、なんと?」
それを聞いた国民は驚き動揺した
「不服か?文句がある者は前に出よ、切り捨ててやる」
「面白い、力が強いやつが王になれるならこの俺様が王だ」
筋肉がこれ見よがしに盛り上がった大きな斧を持った男が前に出てきた
「威勢のいいやつだ、ちょっと鈍った体でも動かすかな」
「いきなり現れて驚いたがお前の様な細い体、俺がねじ伏せてやるぜ!」
大男は大きな斧で斬りかかってきた
ガキン!
政宗はそれを刀で受け止めた
「いいねぇ、戦いは!それにちゃんと俺の刀も用意してくれるなんて準備のいい神だ」
「何ごちゃごちゃいってやがる、その細い剣と一緒にこの斧で真っ二つにしたやるよ!」
大男は渾身の力を込める
しかし、びくともしなかった
「何故、押しきれない?それとその細い剣はなんだ?折れないのか?」
「悪いがこの刀は俺の特注品で業物なんだよ、それにお前の様な柔な鍛え方してないでね、くぐり抜けた修羅場の数が違うんだよ」
ジリジリと大男の攻撃は押し返されていた
「そろそろ終わりにしようか?」
政宗は大男の斧を弾いた
それと同時にがら空きの腹を引き裂いた
「ぐぁっ!」
吹き出す返り血
政宗は血を全身に浴びた
「あぁ、懐かしい、この血の匂い、戦いを思い出すなぁ、ぞくぞくするなぁ」
これを見ていた国民達は一斉に地に這いつくばった
「もう不服の者はいない様だな、これよりこの城はこの伊達政宗が治める!これよりこの城から天下統一を果たすことにする!」
そして後ろに飾っていた旗を切りつけて刀を天に掲げ言った
「この城はこれより俺が愛する三日月の名をとり三日月城とする!俺を崇めよ!俺を称えよ!そうすれば、お前らの命を守りお前らに天下一を見せてやろう」
国民達は顔を見渡して
「うぉーー!」
歓声や拍手した
「ダテ様がいればこれで魔族に強いたげられなくてすむぞ!」
国民は喜んだ
これから始まるんだな、俺の二度目の人生!
天下統一が例え修羅の道でも俺は天下を必ず手に入れる!
三日月城となった瞬間、三日月城の城下町にて
「熱い、熱い、熱い!助けて!!?あれ?なんともない、それに一体ここはどこなんだ?」
怪しげな金髪の美少女が現れていた